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第58話 魔力量

どーもー!

すねら~と復活です!


なんかね、色々あって何も手につかない日々が続いてましたが、とりあえす続きを書こうって……筆者自身もう一度はじめから読み直した次第であります……。


ウルバスからカタログを貸してもらい、じっくり見たいからと部屋に戻った。

ベッドに転がりながらカタログをめくった。



──面白いな。写真じゃないのがまた面白い。これって……精巧な絵だ……


──そうね。印刷技術が未熟なのかな……これって……版画だよね~?北斎とか広重みたい。私好きだったなぁ~


──あーお前の部屋にあったよな?よくわからん風景画集……俺はじーさんの隠し持ってた春画見たときの衝撃思い出した


──ちょぉっとお、やめてよ!ほんと男って最低!


──はぁ!?あれこそ芸術だろーが!ってか、ヨーロッパでもてはやされたのはアッチ系の画だからな!ピカソとかゴッホに多大なる影響を与え……


──はいはい、もういいよ 。マルがスケベェなのは知ってる


──聞き捨てならん!男は皆スケベェさんだ!エロは世界を救う!


──(やかま)しい!



「モフ~このスケベオヤジを何とかしてぇ~」

隣で石を磨いていたモフにぎゅうっと抱きつきながら訴えた。



──お前、急に乗っ取るなよ!ビビるだろ。へっ、何とかできるもんならやってみろ~


──ほんとバカ!私だってじっくりカタログ見たいもん。代わってよ


──まぁ……しゃあないな……



「?スケベオヤジってなにぴよか?」

モフが?な顔で目をキラキラさせ質問した。

何かのお菓子とでも思っているのだろう。


「…………何でもない。それよりモフはどうして鞄に入ろうとしてたの?」


「ん?ん~~あの鞄、ピヨのポシェットと似てた。ピヨのポシェットと繋がってるか確かめようとしたぴよ」


「そうなの!?じゃあ同じ人が作ったとか?」


「それは無い、絶対ない、あり得ないぴよ」


「あ、そう。そんな三段活用しなくても……」


「…………あの鞄、欲しいぴよ」


「えっ、モフが石と食べ物以外に欲しい物があったの!?」


「あれ、ただの魔道具じゃないぴよ」


「へ?」


「欲しいぴよ!」


「ちょ、無理だよ?ウルバスさん、すっごく大事にしてるし、あの鞄がなかったら商売できなくなっちゃうって言ってたもん」


「欲しいぴよ!」


「石よりも?」


「…………この石と交換してもいいぴよ」


そう言ってポシェットから真っ赤な石を取り出した。


「…………これって……?」


「空間を作れるようになる石ぴよ!」


「は!?凄い、何それ!」



──テッテレ~「空間製造機~!」ってか!?ドラ○もんか!モフのポシェットはドラ○もんのポッケなのか!?


──そんな秘密道具ほいほいあげていいの?



「いやいやいやいや、モフ、そんなのあるなら、モフがその石を使ったらいいじゃん」


「これは本人の魔力量で空間の大きさが決まるぴよ。他と繋がらない閉鎖空間ぴよ!」


「……あ、そういう……えー……そんな、繋がるなんてあるの?」


「分からないぴよ。だから欲しいぴよ!この石あれば鞄持ち歩かなくていい、盗られない、ウルバス困らない!それにニンゲン魔力無いからちゃんとサービスするぴよ!」


そう言って半透明の、ナルコスにあげた石に酷似した、だがあれより一回り小さい石を取り出した。


「これ食べたら魔力増える!」

と、モフはどや顔で胸を張った。



──出た、モフの食べる石シリーズ!これ食べたらヤバいヤツだろ


──うわぁ~ナルコス浮かんだわ~



「……あのね、モフ。普通の人族はモフの石を食べたら死んじゃうかもなの。だから無理だよ」


「ナルコスは生きてるぞ?」


「アレはキュアリングしてたから……」


でも、それだけで大丈夫だったのか?

元々のナルコスの体力もあった気がする……。

不安定なキュアリングを普通の人族のウルバスに試したくはない。


「なら粉にして、毎日ちょびっとずつ飲むといいぴよ。少しずつなら、死なないぴよ、たぶん」


「!!なるほど!凄いよモフ!」



──そうか、そうだよ!キュアリングと同じだ。なるほどね、これならナルコスの魔力あげの時も粉にすれば、リスク回避出来るじゃないか


──そうよね!なーんだ、良かった~血を見るはめにならなくてよさそうね



「思い付かなかったよ~モフってば天才~」

ぐんっと引き寄せ、ふわふわにスリスリした。


「ふん!交換しに行くぴよ!」

むふーんっと胸を張り、誇らしげにそう言った。


「オー!って、ちょっと待ったぁ、モフ!」

調子よく振り上げた手で、そのままガシッとモフを掴んだ。


「何ぴよ?」



「…………」


待って、モフの事だよ?

よくよく考えたら何か落とし穴があるかもしれない。


そうだよ……モフが何かを食べさせようとする時、ろくなことが無かったような……。

ここは、ちゃんと確認しないと。


まず、この半透明の石で増える魔力量は、プライベート空間が作れるくらいって事だよね?

それって……結構高い魔力が必要なんじゃないのかな?


「念のため聞きたいんだけど……空間を作れる位まで魔力をあげるのって……10日くらいかかる?」


「ピヨピヨピヨ!アール面白いこと言うぴよね~10日では無理ぴよ!」


そう言ってモフがおかしそうに笑った。


「へ?そうなの?」


それ以上かかっては仕事に支障が出やしないだろうか?


「ウルバスは魔力が0ぴよ。空間魔法を発動するには、最低でもヒーリングの100倍は魔力がいるぴよよ」



──あ、ウルバスって魔力が0なのね。そうか……人族なら普通なのかな?


──ナルコスもカスだったし、人族は0~1くらいなんじゃないか?知らんけど。でも、じゃあ……赤い石が使えるくらいになるのって……



「……それじゃあ、魔力0のウルバスが空間が作れるほどに魔力がたまるのって……」


……何だか嫌な予感がする。



「ん~毎日飲み続けて……40~50年ってとこぴよ!」

どーんと胸を張り、偉そうに宣った。



「はい!?40~50年!?却下、却下~!50年もかかってたらウルバスおじいちゃんだよ。期待して損した!」


そんなこったろうと思ったよ!


「??たった50年ぴよよ?」


「あのねモフ、人族の50年は“たった”では無いんだ。普通50年かかるのを一瞬でって……ナルコスが血を見るはめになる訳だ……」


時間感覚が違いすぎる!さすが精霊……。

人族に半世紀は、長すぎだよ……。


「……ダメぴよか?鞄、手に入らない?」

しおしおとモフモフが萎んでいく。


「ああぁぁぁモフ~~!アイデアは良かったんだよ?ちょっと時間がかかっちゃうから、無理があるかな?ってだけで……」

ひょいと抱き上げ、落ち込むモフの頭をよしよしと撫でた。


「……モフは空間が繋がるのを心配してるの?」


「…………そうぴよ……危ないぴよ」


「そっか……ん~……じゃあ、ウルバスを引き込んだらどうかな?」


「引きこむ?」


「うん!仲間にしちゃうの。そしたら悪い事しても意味ないし、もししようとしたら、止められるでしょ?」


「悪いこと……ピヨの石を盗る?」


「そう、ここぞとばかりに盗んで……って、ウルバスそんな事しないと思うよ!?」


「分からないぴよ!……ピヨのピカピカの石に目がくらみ、けっけっけっと笑いながら手を伸ばし、むんずと石を掴み取ったウルバスは……」

モフが拳?を握り、語りだした。


「ちょおちょおちょお!モフってば変な石物語始まっちゃってるよ?」


どうどうとモフの拳をポンポン叩いた。



──まぁ、モフの心配も分からなくは無いけど……ウルバスは悪人じゃなさそうだし、今は放っといてもいいだろ


──うん、気の良いおじさんって感じだもん


──だいたい、人族の寿命なんてせいぜい長くて100年だろ?ウルバスが亡くなったあと回収すればいいじゃん


──ええ!?黒い……黒いよ、マル……黒マル


──いや、俺、別に何も負けてないけど?


──違う、その黒マルじゃない。ダメでしょ、ウルバスが死ぬのを待つみたいじゃん


──んー……でも、まぁ……あの世まで持っていける訳じゃないし……モフの元にある方が良いんじゃないか?ウルバスは良くても、他のやつに渡ったら、モフの心配も絶対無いとは言い切れないし……形見分けで、鞄もらっちゃおうって話だ


──私はマルみたいに割りきれないな~、ってか、ウルバス今元気に生きてるよ!そんな死んだ時の事……やめてよね。だいたい他人の持ち物を私たちが勝手にどうこう出来ないって


──そりゃそうだ。だから先の話だって



「もう!モフが黒いこと言い出すからこっちまでおかしくなっちゃったじゃん……」

ぶんぶんと頭を振り、悪い考えを追い払った。


「ピヨ?」

何にも悪いことしてませんって(つぶ)らな瞳でアールを見つめた。


……精霊だもんね……人の常識とか、通じる訳ないか……


「ま、すぐにどうこうは出来ないよ、うん……とにかくウルバスをこっちサイドに引き入れるから、モフも手伝ってね。味方なら、悪さなんかしないでしょ?」


「鞄、手に入る?」


「たぶん、いつかね」


「分かったぴよ!」


「よーし、じゃあ、ハイタッチ!」


「何?旨いのか?」


「ん~?美味しくは無いかな~。こうやって、手を……モフは翼を……上げて、トンって軽く叩くの」


パンっとお互いの手と翼を合わせ、そのままぎゅっと握りあった。


「ぴよ~~~アール~~~」

「うふふふふ~~モフ~~~」


あははうふふ、と、何となくラブラブな感じになったので、鞄の話はうやむやになってしまった。



「ねぇ、モフ、そういやナルコスって今どれくらいの魔力があるの?こないだパスを繋いだ時の魔力は、思ったよりヘロヘロだったんだよね。最初感じた時より減ってたって言うか……」


そう、あの時、あまりにも簡単に掌握できたのだ。

それに、パスを繋いだ感じもタリルやミーサーちゃんと繋いだ時よりスムーズに話せたし……。

何でだろ?


「ん?あの石は……ケケケ、サービスしてやってるぴよ。アレは魔力の土台を作るのも兼ねてる石ぴよ。ピヨが見えるには沢山魔力いる。ナルコスは元々ちょぴっとくらいはあったぴよ。だからそれを開いてやったぴよよ。今の使える魔力は……そうぴよね…….ヒーリングを3回ほどかけれるくらいぴよね」


「3回……」


増えてるんだろうけど……でも思ったより少ない気がする。

モフが見えるんだから、もっと魔力高いんじゃないの?イメージ的に。



──まぁ続けていけば、魔力量も増えていくんだろうから、問題ないかのかな?


──基準わからんもんな。3回のヒーリングが出来る程度でモフが見えるんなら、最初モフが見えなかったタリルはそれ以下ってならんか?


──うーん、それはあり得ないよね



「でも、ナルコスは今もモフのこと見えてるよ?ヒーリング3回分の魔力でモフって見えるもの?少なくない?」


「それはピヨがナルコスに見せてるからぴよ」


「あ~そうなんだ。じゃあヒーリング3回分……面倒だから3MP(魔力)でいいかな?それだけじゃ他の精霊は見えないんだね」


1ヒーリングが1MP換算でお願いします!


「そうぴよ。人族はほとんどが0ぴよ。その中で3MPは多いぴよ」


「そっか、ヒーリング出来ないって、大変だよなぁ……いちいちポーション飲んでたら面倒だ。持てる分にも限りがあるし……ふーん、じゃあ人族だけでA級冒険者の“風ノ旅ビト”は、本当に強いって事か……」



──いつか、パーティー組んで冒険者とかやってみるのも楽しいかもなぁ。アールと、ミーサーちゃんと、仕方ないからナルコスも入れて。タリルは……まぁ無理か。父さんのサポートだろな~


──ふふ、面白そう。世間を知るのにも良さそうね~。あ、もちろんモフも一緒よね!


──おう。ついでにモフの石探しもして……


──それは別に楽しくない


──なんでやねーん



「モフ~石探ししたいよね~?」

きゅっと抱きしめ、トサカに頭を乗せ、聞いた。


「行くのか!?いいぞ!すぐ行くか?」


しゅぽんっと腕から抜け出し、ぐいぐいと手を引っ張られた。


「はは!すぐじゃないよ。ボクが大人になったら……」

ポンポンと、ふわふわの背中を叩き、よしよしした。


「……びよ~~~」


そのいかにも残念そうな様子がかわいくて、すぐに行ってあげたくなる。


「モフ……ミーサーちゃんの事が落ち着いたら、近くの森とか、広場とかに石を探しに行こう」


「行く」

萎れていたトサカが嬉しそうにピンと立った。


「うんうん、行こうね。ミーサーちゃんも一緒に」


抱っこしながら、ちゅっとモフのトサカにチューした。


「ぴよ?」


「モフはかわいいな……精霊って皆かわいいのかな?」

なでなでグリグリした。


「……アールはやっぱり変なやつぴよ……」

なでなでされながら、ボンヤリモフが呟いた。


マジックバックは多々あれど、ウルバスの鞄はちょっと違うんだよね。


彼がどこでそれを手にいれたのか、謎じゃ。

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