第55話 話が聞きたいだけ
コネを作りたいアール。
コネを作りたいウルバス。
ナルコスは阻止すべきか悩み中。
モフは何も考えてない……鳥頭だからね!
モフは何処に行ったんだろう?
いつの間にかモフが何処かに消えてしまった。まぁモフの事だから、何処ぞで誰かの邪魔をしてるのかもしれない。
「ふー……よし……」
ベットに転がり目を瞑った。さぁ会議だ。
M:ウルバスってどう思う?
L:いかにもやり手の商売人って感じよね
M:ああ、だからさ、儲け話したら色々話してくれると思うんだよな
L:儲け話か……そんなのある?
M:うーん、料理のレシピとかは?
L:地味すぎない?……エルフってさ、あまり人族との付き合いって無かったんでしょ?何でも珍しいんじゃない?
M:そうだろうな……でも物じゃ意味ないかも。俺たちと手を組んだ方が良いって思わせなきゃ。物だと父さんと取引した方が早いからな
L:そうか……うーん……アールにしか出来ないこと……儲かること……何かある?アールって一文無しだよ?
M:キュアリングは……ダメか……
L:それはヤバイでしょ。そうね……あ!モフに石を出してもらうのは?
M:それこそヤバくないか!?
L:もちろんレベル最弱の石だよ!使い捨てみたいな……そこら辺のキレイな石に魔力込めてもらって。魔宝石は貴重だと言ってたよね?
M:それはそうだろうけど……
L:アールからでしか手に入らない質のいい、でも使い捨ての石。どうかな?
M:モフありきだな。でもまぁ悪くないと思う
L:モフは一蓮托生だもん。協力してくれるわ
「……って、まだ戻ってないし。モフー!」
ムクリと起き上がり、呼んでみた。
と、突然ドンドンドン!と乱暴にドアを叩かれた。
「!?はーい!」
何事!?
こんな風にアールの部屋のドアを叩くなんて、リリスじゃない。というか従業員ではない。
あわててドアに向かった。
カチャリと開けると、左手にガシッとモフの頭を掴んだナルコスが、背後におどろおどろしい黒い気配を纏いながら立っていた。
モフはどことなくやってやったぜ顔でダラーんとされるがままだった。
……あぁ、なんかやったんだね、モフ……
「あ、モフ。どこいってたの?さがしたよ」
両手を広げ、モフを受け取り抱っこしようとした。
「………………」
だがナルコスがガッツリ持ったまま放そうとしなかった。
「……あの……ナルコスせんせー?」
……モフの頭がギュウッとなって、なんだかギチギチって音が聞こえてきそうなんだけど……。
「お前が差し向けたのではない?」
いや、ギリッギリッて感じかな?頭が、半分くらいの大きさになってる気がする……。
「……なにを?」
あれ、大丈夫か?
まぁモフだから大丈夫……いや、やっぱり潰れてるよ!?
「コイツだ。この邪魔な鳥」
めんどくさそうにモフを上下に振った!
「ビョ~~」
頭を半分にされながらも、鳴きながらモフはドヤ顔をしている。
「ちょっ、やめてあげて!いつのまにかいなくなって、さがしてました。ナルコスせんせーのところだったんですね!」
何の事か分からないが、どうやらモフが何やらしでかしたみたいだ。
濡れ衣はごめんなので、天使の笑顔でそう言った。
「…………飼い主ならちゃんと手綱を締めろ」
そう言ってモフをボフッと押し付けてきた。
ギュムッと抱きしめ、よしよしした。
「かいぬしって……モフはペットじゃないですよ?こういせーれーです!」
モフの脇に手をいれ、じゃじゃーん!と前に突き出した。
「精霊なんぞペットと変わらんだろ。躾のなってない犬みたいなもんだ」
ジロリと馬鹿にしたようにモフを見ながらそう宣った。
「……ナルコスせんせーって、たんさいぼうだ」
ボソリと呟いた。
そんなこと言うから面白がってモフがちょっかい出すんだ……。
「何か、言ったか?」
「ナルコスせんせーはモフのすばらしさをわかってないですねー。こういせーれーですよ?ボクもよくわからないけど“こうい”ってつくからにはきっとすごいんです!」
はぁっと呆れたように言った。
「オレは精霊なんぞコイツ以外は知らん。低位だろうが高位だろうが見たことも無いものを信じられるか。コイツはオレには邪魔しかしない。良いものとはとても思えんし、関わるのはごめんだ」
しっしっと追い払うように手を振った。
「アール、キュアリングの実験はピヨに任せるぴよ。楽しみぴよ!」
パタパタと翼を動かし、嬉しそうに言った。
だが、ギラギラと光る目が、可愛らしい口調と合ってない。怖い。
あーあ、ますます煽ってどうするんだろう?
まぁ、死ななければいいのか?と思う。
「こほん!ところで、せんせーはどこにいってたんですか?そろそろウルバスさんのところにいこうかなっておもってたんだけど……」
「ウルバスに何の話があるんだ?」
それを聞いて、気持ちを切り替えたのか、真面目な表情で聞いてきた。
「それは……どうぞ……はいってください」
……ナルコスには先に言っておくべきたよな。タリルはまだこっちサイドではないので言えないが……。
そう思い、部屋に招き入れた。
「……なるほど。やはり企んでいたわけか」
ふーっとため息をついて呆れたように言った。
「たくらむって……しりたいだけです。ボクはなにもしらないから。せかいのことも、5ねんまえのことも……」
ちょっと話を聞くだけだよ?
「当たり前だ。……5年前、大規模な魔族狩りが行われたのはアリステアから聞いた。お前を隠して育てたのはそういう事もあったからだ」
ナルコスがさも当然のように言った。
──ええ!?アールって隠して育てられてたのか!知らんかった!
──そっか……いくら普通はお披露目が5歳だって言っても、領主の跡継ぎなんだもんね。もっと皆が知っててもおかしくなかったのね……
──てか、ナルコスってかなり父さんに近い位置にいるんじゃないか?内情知りすぎだろ
──ほんとよね。どういう関係?絶対ただの知り合いじゃないよ
「それにあの時はここも今ほどしっかりした領ではなかったからな。他所の種族までは手が回らなかったろう。魔族達はそれぞれ戦々恐々としてたはずだ」
「……だからです。ウルバスはヒトゾクのしょーにんだから……せかいじゅうをたびしてる……いろんなことしってるかも」
「…………ハーピーの生き残りを探したいのか。ミーサーの母親を?」
「!」
「お前ならやりそうだ」
「……へへ……ばれましたか」
相変わらず鋭いな。
「危険だな。拐った相手が誰かも分からん。だがろくな者では無いのは確かだ。そんなことに今お前を関わらせる訳にはいかない」
「ちょくせつかかわるつもりはありません。でも……なにかすこしでもミーサーちゃんにできることないかなって……」
「アール、お前はまだ5歳で何の力もない。いくらお前が優秀だろうと関係ない。魔族を狩ろうとする輩はいる。お前なんぞすぐ目をつけられる。アリステア達の事を考えろ」
「それは……でも、きくことくらいはできます」
「やめておけ。あれはただの人拐い事件じゃない。……ミーサーの母親にしても、ミーサーに命の危険を犯してまで探して欲しいとは思わんだろう」
「────…………」
「強くなれ、アール。拐われた魔族に関する話はそれからだ」
「……ナルコスせんせー……」
「…………そんな目で見るな。ウルバスに会うなとは言わない。ハーピーの話をするなと言ってるだけだ」
「……わかりました。でもせかいのことはしりたいです。ヒトゾクでどんなものがはやってる、とか、ホンとか、あ、せかいちずとかあるのかな?」
「……まぁ、それなら……子どもらしいと言えば子どもらしいか……いいだろう。行くか?」
「はい!」
やっとか。
でもとりあえず話は出来るみたいでほっとした。
二人でウルバスの待つ部屋に向かった。
モフVSナルコスは圧倒的ナルコスの不利、なはず。
なんだけど、何故か負けない気もする。
脳筋だから?




