第49話 町探索
のほほんと進行中。
がんばれーマルエル~!ミーサー!
ミーサーちゃんのおかげでアールの具合は直ぐに良くなり、ひと悶着あったものの、そのまま授業は続けられた。
授業では、風魔法だけでなくせっかく披露したからと言って、火の魔法と氷魔法まで教えられた。
どうやらタリルは、アールの実力を考慮し、魔力の基本云々はすっとばし、積極的に教えていく方に方向転換したようだった。
ついでにピーラカンサが他にも生えていないかの探索も行われた。
ピーラカンサ以外にも色々な種類の魔木があることも教えてもらい、それらの魔木が生息していないかの探索もあわせて行われた。
魔木が多くなると、魔物が発生するらしい。
両者は共生関係にあるものが多く、こんな町中で魔物が出れば大変な事になる。
だが、幸いにもあの一本だけだったらしく、魔木は他に見つからなかった。
そんなこんなでかなり充実した授業になったのだった。
「「「ありがとうございました」」」
そうして授業が終了した時には既に、お昼を過ぎていた。
「はー、おなかすいた~」
──今日はみっちりやったなぁ!頭使ったし、糖分が欲しいぜ
──あら、マルにしては珍しいわね。お昼のデザートとして、リリスにチョコとかリクエストしてみる?
──いや、チョコはいらね。まぁ、ココアならいいかな
「うん」「空いた」「びよ~」
二人もお腹が空いたようだった。
モフはいらんだろ?と思うんだが、何故かお腹すいたアピールをしてくる。
「そうですね。……アール様、町に食べに行かれますか?」
タリルが魅力的な提案をした。
「え!?いいのですか?」
「ええ、今日は普通の日ですので出店は無いと思いますが。常設のお店はやってます」
「うわー、いってみたいです!」
「ふむ、では舘に連絡しておきましょう『コルンバ』」
と、タリルがタクトを振り、呪文を唱えた。
するとフワリと鳥の形をした影が現れた。
「おお!」
「“町に寄ります。お昼は結構です”エルフリッド邸のリリスメイド長へ」
と、その影の鳥に語りかけた。
『町に寄ります。お昼は結構です』
と、影鳥は繰り返し、パタパタと飛んでいった。
「──すごい……」
「あれは伝言の役割を担う“コルンバ”という魔法です。ほんのわずかな魔力で出来ますよ。20音程しか記憶出来ませんが、こういったちょっとした事を知らせるのに便利なのですよ」
「へー!」
なるほど!
移動中の父さんたちとどうやって連絡をとってるのかと思ってたんだ。これだったんだな。
「では行きましょうか」
「「「はい!」」」 「ぴよ!」
馬に乗り、元気に町へと向かった。
*****
前に来たときは市が立っていたが、やはり今日はなかった。
馬に乗りながら町を眺めた。
──こうして見ると、ちゃんとしたお店もいっぱいあるのね
──ああ、大衆食堂っぽいのから、あれは雑貨屋か?オモチャみたいなのがある
──ほんとだ。わぁ可愛いカゴがあるわ!あれいいなぁ~。モフの寝床にどうかしら?
── 別にモフは何でもいいんじゃないの?お!剣がある……って……あれ、偽物……?
「タリルせんせー。ぶきとかうってるおみせってないんですか?」
「あるにはありますが、少ないですね。武器を取り扱うには許可が要りますし、あまり必要ありませんから。鍛冶屋はそこそこありますよ」
「へー、そうなんですね……」
──そうなんだ!知らんかった!
──そっか~エルフだもんね。魔法の方が得意か。それにこの領は多民族だから、下手に一般人が武器とか持ってたら危ないのかもね
──なるほど~。だから色々考慮して、剣術はナルコスにおさまったのか。めっちゃ納得
「……装飾品……」
馬上から眺めていたミーちゃんがぼそりと呟いた。
そちらを見ると小さいながら、ネックレスやらイヤリングがズラリと並ぶ店があった。
「きょーみある?」
ミーちゃんと、サーちゃんもコクりと頷いた。
そういえばこの二人は装飾品を売って生活していたのだ。同業者としては気になるのだろう。
「あとでみましょーか。いいですか?タリルせんせー」
「そうですね。あまり時間は割けませんが、半時ほどならかまいませんよ」
「だって、よかったね!ミーサーちゃん」
「うん」「ありがと」
パアッと笑う二人の顔は可愛かった。
「石屋はないぴよか?」
モフがパタパタ羽を動かしながらタリルに聞いた。
「んー、モフさんが思うような石屋は残念ながら見たことはありませんね。あるとしたら宝石商でしょうか……」
タリルが苦笑交じりに応えた。
「せんせー!」
「はい、アール様」
「モフにほーせきはダメだとおもいます。おかねがいくらあってもたりません!」
マジで!コイツ絶対買わそうとするから。分かってるから。
「ふむ。そうですね。正しいご判断かと」
タリルが真面目な顔で頷いた。
「ぴよ!?」
そんな目をおっきくしてもダメなものはダメだ。
「いかないよ?モフはじぶんであつめるんでしょ?」
「ぴよ~~」
と、悲しげな声を出しながら、ふくふくとした身体がしおしおと萎れていった。
こんなしおらしくしたら、かわいそうに思えてしまう。
「そうだ。ボクが大きくなったら、珍しい石を一緒に集める旅に出るのはどう?」
小声でモフに囁いた。
「おお、楽しそうぴよ!いいぞ!ピヨのお供にしてやる!」
バタバタと羽を動かし、嬉しそうにそう言った。
「ふふ、ありがと」
──モフと石探しの旅……モフと一緒なのはいいけど、楽しくなさそう。石って……。私、宝石とかにもあまり興味ないんだよね
──んなこと言うなよ!寿命長いんだし、いいだろ?飽きたら違うことすりゃいい
──先のことだしね。まぁ頭の隅にでも置いておくわ
「ここなどはいかがです?珍しい料理を出しますよ」
とある店の前でタリルが立ち停まった。
そこは看板が出ており、多国籍料理のお店のようだった。メニューが書いてあるが、よく分からない。分かったのはスースの香草焼きくらいだ。
「おまかせします。タリルせんせーがいいところで」
何がいいかなんて分からないのだ。ここは任せるに限る。
「ではこちらにいたしましょう。三人とも食べられないものはありませんね?」
「「「はい」」」
馬を繋ぎ、店に入っていった。
そろそろ忘れていた人たち登場するよー




