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第46話 ラジオ体操

訪れていただきありがとうございます。

なかなか思うように動けない日々が続いておりますが皆さまいかがお過ごしでしょうか( ̄* ̄)


せめて小説の中の人たちだけでも自由をあげたい……好き勝手してても許して欲しい……そんな思いで執筆してます……


ちょっと真面目になってみた。


早く仮名だけ文章をやっつけたい筆者でした!

「「「おはよーございます!」 」」

ダイニングに仲良く3人で行くと、既にナルコスは席に着いて、朝食を食べ終わっていた。


「おはようございます、アール様。ミーちゃんさんサーちゃんさん、よくお休みになられましたか?」

にこにことリリスが二人に話しかけた。

二人とも片言ながら、リリスと会話をしていた。


「おはよう。悪いが朝食は先にいただいた」

ナルコスがエイナが淹れてくれたコーヒーを飲みながらアールを見てそう言った。


「はい、ごよーじあるんですよね?かまいません。ん~いいにおい!ボクのすきな、めだまやきだ!」


さっきミーサーちゃんと話していたばかりの朝食メニューだった。

嬉しいが……やはりリリスは隠密スキル持ちに違いない。


……壁に耳ありだな……気を付けないと……悪さ出来なさそうでちょっと怖いぞ。


席につき、給仕を待った。

ミーサーちゃんも物珍しそうにそわそわしながら配膳を待っている。


「リリス!ピヨのは?」

モフがアールの頭の上から、ぴょんっとリリスの肩に飛び乗り、給仕の邪魔をしながらピヨピヨ催促した。


「はい。モフちゃんのコンソメスープもちゃんとありますよ」

ふふ、と笑いながらモフをふわふわ撫でているリリスを、すっかり手懐けたなーと思いながら眺めていると、ふと視線を感じた。

なんと、ナルコスもリリスを見つめていた!



──ちょぉっとぉ~マル、これって……あの強面が優しい目してるんじゃない?アールに向ける目とは明らかに違うわよ?


──ああ、一気に距離が近くなった感じだ。昨夜俺たちが寝た後に何かあったのか?ん?……てか、俺たちって、いつ寝た?


──……さあ?



自分の部屋に戻った記憶が無い。


じーっとナルコスを見つめていると、それに気づいたのか、アールの方を見た。


「よく眠れたか?」

そう言って揶揄(からか)うようにニヤリと笑った。


「──はい……あの……ボク……?」


……昨夜の記憶が無い?

話していたのは覚えてるけど……あれ?やっぱり部屋に戻った記憶が無い……まさかナルコスの部屋で寝ちゃったんじゃ?

でも朝は自分の部屋にいたよな?


「夜更かしは子どもには毒だ。今日はタリルの授業だろう?しゃんとして臨めよ。オレはヤツが来るまでにしておきたい事がある。朝練サボるんじゃないぞ。覗きに行くからな。では後で」


ナルコスがそう言って席をたち、出て行く途中でふと立ち止まり、リリスの元に行った。

おもむろに、リリスの肩に乗っていたモフの首根っこをひょいと捕まえた。


「ピヨ?」

ぼけーっと、とぼけた顔でモフがナルコスを見た。


「──リリスの邪魔をするな。お前はアールといればいい」

ボソリと呟き、そのままボールのようにぽーいとアールに放り投げてきた!


「ピヨ~~!コンソメ~~~!」

ベローンと舌を出しながら跳んできた。


「モフ~~~!」

両手を広げ、飛んでくるモフをキャッチした。

よし、ナイスキャッチ!

ってか、ナルコスってばモフの扱い酷くない?


「──ナルコスせんせー…………」

よしよしとモフをなでなでしながらジトッと責めるようにナルコスを見た。


……そんなだからモフから痛い目にあわされるんじゃないか?


ナルコスもチラッとアールを見たが、フンと小馬鹿にしたように鼻をならし、何も言わずにさっさと出て行ってしまった。



──ナルコスも馬鹿ね……キュアリングの実践に協力するって決まってるのに……


──ほんとにな……めっちゃ痛い石飲まされる羽目になるぞ、たぶん。まぁ自業自得ってやつだ。血を吐いても俺は助けてやれないぞ?



「ナルコス……コンソメの恨み……ケケケ」

モフが不穏な事を呟いた…………。



なんだかんだで朝食を食べ終え、朝練をすることにした。

どうせやることも無いだろうと、ミーサーちゃんも朝練に誘った。もちろんモフも一緒だ。

そうして、3人+1匹で大木のある庭に出たのだった。


*****


2人と1匹を前に、アールはさながら体育の先生のように後ろに腕をくみ、大きな声で指示していく。


「いーですか?まずはじめは、ラジオたいそーです!ボクのまねをして、からだをうごかしてください!ボクが、いち・にー・さん・し、ってあいずするから、みんなは、ごー・ろく・しち・はち、っていって、ついてきてね!じゃあいくよ?はい!いち・にー・さん・し!」


「「5・6・7・8」」

「ぴよ!ぴよ!ぴよ!ぴよ!」


「にー・にー・さん・し!」


「「5・6・7・8」」

「ぴよ!ぴよ!ぴよ!ぴよ!」


そうしてラジオ体操第一を一通り教えたが、まだまだ二人とも、動きがぎこちなかった。

モフはモフなので、論外だ。


「もーいちど、はじめからやってみて」

と、二人に声をかけた。


『ねぇ……これって意味あるの?』

サーちゃんが適当に身体を動かしながらポツリと言った。


『ゆるゆるした動きだね~。あんまり運動って感じはしないな~』

ミーちゃんが素人の陥りがちな過ちの動きでそう言った。


そうぬるい事を言う二人に、ふつふつと闘志が沸き上がってきた。

……よろしい!では俺が、本来の本気のラジオ体操を伝授してやろうじゃないか。


きらーんと目を光らせ、シュタッとミーサーちゃんの間に入った。


ガシッと肘をもち、


「ダメダメ!ちがうよ、2りとも!ここはこう!ここはこーして、こう!まげて、のばすの!」


ピシッと伸ばさせ、ぐいっと横に引っ張った。

「へ!?」

「ふぁ!?」


二人が変な声を上げた。


「いい?やるからにはきちんとやらなきゃダメだよ?これは“きそくんれん”なんだからね!おへんじは!?」


「「はい!」」


「よろしい。でははじめ!はい、いち!にー!さん!し!」


「「5!6!7!8!」」

「ぴよ!ぴよ!ぴよ!ぴよ!」


「いいよ!はい、にー!にー!さん!し!」


「「5!6!7!8!」」

「ぴよ!ぴよ!ぴよ!ぴよ!」



チャンチャラチャンチャラランラン、チャンチャララーン~♪



──やった、エル!こっちの世界にラジオ体操ひろめられたぞ!


──いや、すこぶるどうでもいいよ!?



意味があるのか無いのかわからない事に闘志を燃やしながら、3人+1匹で朝の訓練をこなした。


素振りをしている途中で、ナルコスが来た。

手にはアールの物よりずいぶん細く軽そうな木刀を2本持っていた……。



━━━━━━━━━━



“────という訳ですので、戻りしだい滅ぼされたハーピー族・キュアノエイデス家のご息女との謁見をお願いいたします”


アリステアはタリルから急遽届けられた手紙を読みながら、事件の起こった5年前の事を考えていた。


キュアノエイデスが治めていたハーピー族の里が滅んだのは、知っていた。

だが、あの頃、交流のない他の種族の消息までを考える余裕はエルフリッド領にはなかった。


あの頃……滅ぼされたのはハーピー族の里だけではなかったのだ。あちこちで小規模な多種族の里が滅ぼされる事件が相次いだ。

エルフリッド領は豊富な魔力で結界を張っていたおかげだろう、攻撃される事はなかった。


アールが産まれ、改革しなければとの思いと、行き場を失い、さ迷える他種族の者たちに、生きていける場を提供してやりたいとの思いが重なった結果が、今のエルフリッド領の発展の原点だった。


だが、そうして習慣の違う多種族が集まれば、争いは避けて通れない。

なので、領律はかなり厳しい。甘っちょろい制裁では暴走する輩が出てしまうかもしれないからだ。


領の法律は揺るがせる訳にはいかない。


アリステアは手紙を閉じて、ふーっとため息をはいた。


……まぁ……理屈はそうなんだが………アールは納得しないだろうね……いくら聡いと言っても、まだまだ世間知らずだ……どうしたもんかな……。



「なんだか難しい顔をなさってるのね……」


エリザベートがちょんとアリステアの頬をつついた。


「──ああ、すまない、ちょっとね……」

その頬を触る柔らかな手を握りしめ、何でもないことのようにそっと膝に置いた。


「あまり嬉しいお手紙では無かったのかしら?」


「──そういう訳じゃないよ。ふふ、アールがガールフレンドを家に連れて来たらしい。しかもなんと、泊めたみたいだよ」

アリステアが少しおどけた風にそう言った。


「まぁ!!アールちゃんがっ!?」


エリザベートがあんぐりとした顔で両手で口を覆った。


「ああ、それも二人もね。さすが我が息子だよ。なかなかやるな」


ニヤリと少し悪い顔で言うアリステアは、時々見せるアールの何かを企む顔とよく似ていた。


「んまぁー!!あらあら、どうしましょう?……(わたくし)心の準備が……でも……アールちゃんが連れてくる子たちですもの、きっととても素敵な子たちなんでしょうねぇ……楽しみですわ」

両手を胸で合わせ、ドキドキする心臓を押さえるように頬を赤らめ、嬉しそうに呟いた。


「────ああ…………そうだね──うん、そうか…………やはり、大事なのは人だよね……。僕も楽しみだよ。ありがとうエリザベート」


そうなのだ。アールが連れてきた……。

ただのお礼だけで泊めたりタリルに楯突くような子ではない。いくら世間知らずでも、けして馬鹿ではないのだ。


「どういたしまして……?あの……私、何かお礼を言われる事を言いましたでしょうか……?」


「ふふ、初心を思い出させてくれたのさ。さすがエリザベートだ、我が妻よ。愛してるよ」

エリザベートの手を取り、甲に口づけた。


……僕は、どんな領地にしたかったのだ?なぁ、アリステア……


「あらあらまぁまぁ……私もですわよ……私のアリステア様……」


何も分からないような、あるいは全てを見通しているかのような優しい笑顔でアリステアの手に手を重ねた。


「……ああ、麒麟樹(きりんじゅ)が見えた。帰ってきたな……我が家に……」



━━━━━━━━━━



「アール、素振りの時右手に力が入りすぎるのを気をつけるように。ミーサーは……まず基礎体力をつけろ。あと一時間ほどでタリルが来る。準備しておけ。タリルが来たら交代でオレは出かける」


「はい!ありがとーございました」

「…………した…………」

「あ…………た……」


朝練が終わり、ふーっと息を吐いた。


……ああ、爽やかな風が吹いている……いい汗かいたぜ……気持ちいいなぁ……。


ふと木陰を見ると、二つの物体が転がっていた。


『……ちっともゆるゆるじゃ無かったねぇ~でも、アールは平気そうだ~』

ミーちゃんが、でろーんと半分寝転ぶような格好で木にもたれながら、はーっというため息と共にそう言った。


『アールは毎日こんな訓練をしてるの?』

ぐてっと大木の根本に座り込んでいるサーちゃんが、アールに聞いた。


「どーした?二人ともだらしないぞ!」

途中で飽きて石を探しにいっていたモフが、いつの間にか戻ってきてピヨピヨ鳴いている。


ひょいとモフを頭に乗せ、疲れきっている二人の側に行った。


「あー……いや、いつもはこのはんぶんかなー。きょうはきのうのぶんもあわせてやっちゃったから……。ふたりとも、はじめてだったのに、よくついてこれたね!すごいよ!」

慰めるように褒め称えた。



──マル、か弱い女子にやらせる事じゃなかったよね?


──まぁ、ナルコスに言われた事をやってただけなんだけどな……誘ったのは俺だけど……はっ!そうか!ナルコスが悪い


──マル


──はい、スイマセン。んーでもなぁ……基準が分からん。一回限界までやらせるのはアリじゃないか?


──いや、この二人剣士になる訳じゃないよ?か弱い女子に暇潰しにやらせるレベルじゃないから!


──そうか……剣士……おお!いいんじゃね?女剣士!ミーちゃんはちょっと違うけど、サーちゃんは才能を感じたぞ。なんだろう、こう、戦闘にセンスがある感じがする


──だから望んでないってば!ちょっと退きなさい!



どーんとマルを押し出し、エルがアールになった。


「ごめんね~ミーサーちゃん!ボクついいっしょにできるのたのしくて、ムリさせちゃった」


『ううん、しんどかったけど、楽しかったよ。しんどかったけど』

サーちゃんがヘロヘロになりながらそう言った。


『うーん、しんどかったけど……そうだね~、しんどかったかな?』

ミーちゃんが、アホな子のように繰り返した。


しんどいしか言ってないね……ほんとマルもナルコスも脳筋……げふげふ、熱心なんだから。


はははと、ごまかして笑っていると、ふと人の気配がした。



「アール様。ご精がでますね。お茶をお持ちしましたよ」


「あ、リリス!ちょうどよかった!では、きょうのくんれんはこれでおしまい!きゅうけいにしよう。おつかれさまでした」


よろよろと二人が立ち上がり、ふらふらとなりながらも姿勢を正した。


「ぴよ!」

「「おつかれさまでした」」

お互い頭を下げ、終わりの合図とした。



その様子をニコニコと眺めながらリリスが冷たいお茶を3人に渡した。


運動の後の冷たいお茶はまた格別に美味しいものだ。

ミーサーちゃんもほっと息をはき、生き返った!という顔をしていた。


「アール様、先ほどご領主様たちからご連絡がありましたよ。本日お帰りになられるそうです」

おもむろにアールに近づいてきたリリスが言った。


「ほんと!?やったぁ!」

待ちに待った報せにアールは花が咲くように笑った。


アールには昨夜の記憶がない……。


子供って突然すこーんって寝る時あるよね!かわいい(*^^*)


子供だからいいけど、大人になったアールが寝落ちしたらどうなるのだろうか……ぷるぷる

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