第44話 新しい街
忘れてないよ。
ちゃんと書くよ。( ̄* ̄)
同時進行中のお話になります。
エルフリッド領は魔境の森の奥にあります。
なんとなくの場所さえわかれば読むのに問題はなし!なはず。
「ウルバスさん、もうすぐエルフの里に入るぜ。そこに看板がある」
3人組の冒険者パーティー“風ノ旅ビト”のリーダーであるベジーの声がした。
確かに前を見ると大きな看板が見えた。
【エルフの里、エルフリッド領まであと3キロ!!ようこそエフリッド領へ\( ≧∀≦)/】
と、遠くからでも分かるくらいデカデカと描かれた看板が、道の端にたてられていた。
「はは……なんと……エルフリッド“領”とは……」
エルフの“里”ではないのか?
だが……やっとゴールが見えた……!
ウルバスはそう思い看板に近づき、ふと気づいた。
──ん?道が……光ってる?
看板から先の道が、白く光って見えた。
さらに近づき確信した。
なんと、道が舗装されていたのだ。
「──これは……驚いたな」
*****
ウルバスと呼ばれた男は、エルフや多くの魔族が住まう魔境の森に隣接する東カイロニア王国のシーロンという街に住む、商人である。
彼はここ何年かでよく耳にするエルフとの交易を申し出る為に数日前シーロンの街を出た。
シーロンの街は魔境の森に隣接している。
“魔境の森”は魔族や亜種族たちが多く住んでいる森で、強い魔物たちも生息しているため“魔境の森”と呼ばれていた。
人族にとっては危険な森ではあるが、魔族にとっては住みやすいため、魔族や亜種族と人族との交流も盛んだった。そういう場所柄シーロンは大きな街となっていた。
東カイロニア王国においても魔境の森との玄関口に当たるので、珍しい物や、貴重な薬草や食材が手にはいる街として有名だった。
街でコボルト族やドワーフを見かけることは当たり前であり、他にもリザードマンなど、時期によって多く見られる種族もあり、多種多様な種族と出会える街としても有名だった。
だが、エルフにはめったにお目にかかれない。
エルフは長命で美しく、豊富な魔力を有する者が多く、他の種族を下に見ており、滅多に森から出て来ない。
加えて人身売買の被害者となる事もあるため、余計に外界との接触を控えていた。
──それが、ここ数年変わったのだった。
あのプライドの高いエルフが積極的に他の種族と交流を持つようになったのだ。
ウルバスの住まうシーロンの街に、美しい緑の長い髪をしたエルフがやって来ていた。
フードを被り、一見人族をのようだったが、あの特徴的な耳で人目でエルフと分かった。
彼らはあちこちまわっていたようだったが、目的を終えたのか、しばらく滞在したのち魔境の森に帰っていった。
それから頻繁にシーロンの街でエルフを見かけるようになったのだった。
初めてエルフを見かけた時は皆遠巻きで警戒していた。豊富な魔力にものを言わせ、世間知らずなエルフが無理なことを言うのじゃないか?
──だが、普通に物を買い宿屋に泊まり、食事をするエルフ達に、いつの間にかただの観光客として接するようになっていった。
訪問が回を重ねるごとに街では特別な事ではなくなっていったのだ。
ウルバウは目ざとい商人だった。
これは絶好の商売のチャンスじゃないか?
そう思い、エルフと接触を図った。
宿に滞在していたイリュンというエルフのもとを訪れ、交易をしないかと申し出たのだ。
イリュンの返事は、
「私たちはエルフリッド様の命でこの地を訪れています。取引はエルフリッド様のご判断となりますので、次回この街を訪れる際にお返事いたします」
との事だった。
そしてそれから1年後、やっとエルフリッドとの話し合いの場を設けられたのだった。
秘密主義のエルフの為か、イリュンからはエルフの里の細かい事は教えてもらえなかった。
ただ、話し合いはエルフの里で行われるので、エルフの里を訪れるようにとだけ言われた。
イリュンの言うことには、距離で考えると約200キロ、馬で飛ばせば1日もあれば着くという事だった。
だがそこは魔境の森なのだ。一筋縄ではいかないだろう。
イリュンたちエルフがシーロンの街を訪れるのはそう難しくない。だが、魔力のない人族の自分にとっては魔境の森の奥に位置するエルフの里を訪れるというのは、かなり厳しい事だった……。
シーロンからエルフの里に行くには獣道のような道を行くことになる。しかも途中に渓谷があり、険しい道のりなのだ。
魔境の森でも、シーロン近くはコボルト族や、ドワーフ族の町がある。
ウルバスもそこまでは何度か行ったことはあった。今回もそこを経由し行くつもりだった。
そして、5年前にエルフの里に行ったことのあるというA級冒険者パーティー“風ノ旅ビト”を護衛に雇い、馬で出発したのだった。
やはり魔境の森と言われるだけあり、予想通り魔物と出くわした。それでもコボルト村を出るまでは比較的ましだった。
ここからはエルフの里まで知られている村は無い。あっても人族に友好的だとは言い切れない。渓谷もあるため、馬とはここで別れた。
1つ目の渓谷を過ぎた辺りからぐっと魔物が増え、旅の速度も遅くなった。
途中狂暴なジャイアントベアに襲われた。だが、さすがA級冒険者達だ、連携も見事に退治し、それを食料としたのは見事だった。
その後も野営をし、魔物を退治しつつ進み、渓谷を出るのに5日もかかったのだった。
だが、2つ目の渓谷を抜けた途端、いきなり道が開けた。
「──これは……人工的な道だ……」
いつの間にこんな街道が作られていたのか?
「いやはや……街灯まである……しかもこの道に入ったとたん魔物の気配が消えた……」
街道には結界が張られているようだった。
どうやらこの道はエルフの里まで続いているように思われる……旅が急に楽になった。
「……そう言えば……」
エルフたちがシーロンを訪れるのは“エルフリッド様の命”だと言っていたのを思い出した。
村長か、頭首か、それなりの人物なのだろう。
他所の種族の為にこんな風に道を作るというのは、なかなか革新的な考えを持った者であるにちがいない。
*****
「……エルフたちが作ったのか……?」
ウルバスはひとりごちた。
これは“ただのエルフの里”ではないかもしれない。結界を張った道だけでなく、舗装された道まで作ってある。
そんな事を考えつつあと3キロの道を歩いていると。
「あ、あれじゃない?」
“風ノ旅ビト”の魔術師アニスが、前方を指差した。
……門が見えた。
それは地形を生かした木で出来た門だった。
いくつも門があり、そこを通り抜ける度になんだか夢の国に行くような気分にさせられる。
「これはすごいな……」
“風ノ旅ビト”の拳士ケールが呟いた。
「ほんと……きれい…………」
アニスが花で彩られた門を潜りながら、嬉しそうにふふと笑った。
「おれらが5年前に来た時は、こんなじゃなかったぜ……」
ベジーがぼんやりと呟いた。
最後の門をくぐると、一際大きい彫刻のされた石で出来た白亜の門があり、そこには左右に衛兵らしき者が立っていた。
街で見かけたイリュンとは違い、鎧を纏った屈強な印象を受ける体格のいい者たちだった。
あの門衛は本当にエルフ……なのか?だが……
──とうとう、エルフの里?に着いた……
ウルバスの胸は高鳴っていた。
ベジーはベジタブルから、アニスもケールも野菜です。覚えなくてもいいけど時々現れる野菜達でした。
次はアール達のお話に戻ります。




