第43話 実験
忘れ去られるゾ!と読者様に怒られたので、投稿します!
(*つ▽`)っえい!
ナルコスは日課の鍛練も終わり、剣の手入れをしつつ、今の状況を思い返していた。
アールと出会ってから、毎日が怒濤のように変化している。
アリステアから自分の息子の剣の指南役をして欲しいと頼まれた時は、正直面倒だった。
人に教えるのが上手い適役は他にもいる。
まして人族である自分に、何故わざわざ頼むのかと。
アリステアの野望は知っていたが、こんな形で協力させられるとはな……
まぁ、アールは確かに他の者とは全然違う。
──アレは異質だ。
外身と中身がまるで別の者のようだ。
外見は名だたる職人の手で、細部にまでこだわり精巧に作られた人形のように美しく、まるで女神のように光り輝いて見える。
加えて人懐っこい笑顔だ。
その天真爛漫さに好感を持たない者など、いないとすら思える。
だか中身は……異様に頭が切れるくせに、何も知らない世間知らずな面もある。無邪気な子どもと計算高い大人が混在するかのように複雑だった。
──面白いヤツだ。
わずか5歳であそこまで自我を持ち、話していて面白い子どもに会ったことはなかった。
いや、子どもかどうかも怪しいが……。
知識の幅も、飄々とした態度に秘められたポテンシャルも、底が知れない。
胡散臭いが、性根は腐っていない。しっかりと根付く確固たる潔さを感じる。
「アリステアも面白い息子を持ったな……」
ぼそりと一人ごちた。
なかなか子を授からないと冗談めかしく愚痴っていたが、我が子を切望していたのは知っていた。
待望の子どもが産まれた事を聞いた時はこちらも嬉しくなったものだ。
剣の手入れをやめ、光に透かした。
そういえば魔道具にも興味を示していたな。元々魔力の高いエルフはあまり魔道具に興味を持たない。そんなものに頼らなくても自分で出来るのだから当たり前だ。
だが、アリステアも興味を示し、面白そうに俺の話を聞いていた。
親子とはそこまで似るものなのか……。
「……そろそろ見廻りに行くか」
本来のここに泊まった目的は双子のハーピーとアールとモフの監視だ。
まぁ何も無いとは思うが……。
だが、アールは予想を遥かに越えた斜め上の行動をする。
用心に越したことは無い。
立ち上がり、ドアに向かおうとしたその時、コンコンコンと誰かが部屋のドアを叩いた。
「アールです。ナルコスせんせー、ちょっとおはなし、いーですかー?」
鈴を鳴らすような、舌足らずの声がした。
……アールか。
チラッと時計を見た。20時か……子どもはもう寝る時間じゃないのか?
……まぁ……眠れんか……
「……ああ、入れ」
剣を置き、ドアを開けに行った。
──おし!部屋に入ってしまえばこっちのもんだ。ふへへ
──……なんかマルが言うとやらしいのよね……
──は?お前な……そんな風に言われると、逆にやりたくなるからヤメロ
──ぎゃあ!やめてね!?アールが変態になってしまう!
──ふん!いいから入るぞ
「こんばんは、せんせー。おやすみでしたか?」
「いや、今から見廻りに行こうかと思っていた所だ。お前こそ寝ないのか?子どもは寝る時間だろう」
「きょーはおひるねしちゃったから、あまりねむくないんです」
「そうか……で、何の用だ?」
「はい。おねがいがあって。あと、いっぱいききたいこともあって……」
じっとナルコスを見つめた。
「……そうだろうな」
ナルコスに座るよう促されたので、ソファーに座った。正面から見つめ合っていると、なんだか圧迫面接みたいな気になるんだけど?
「で、なんだ?」
探るように見据えられた。
「えーと……いっぱいあるけど……まずは、いますぐできることからのおねがいです」
雰囲気に飲まれないように深呼吸をしてから話し出した。
「ああ」
「ちかぢか、おとーさまたちがかえってくるよていなんですけど、おかーさまのぐあいがわるくて、おかーさまにキュアリングをかけてあげたいとおもいます」
まずは状況説明からだろう。
「…………それで?」
なんだか何かを察したようにナルコスの眉間にシワがよった。
──相変わらず勘がいいよな!
──ほんとねぇ~でもやめないけどね……
「……それでですね、ナルコスせんせーにごきょーりょくいただけないかと、おねがいにきました!」
にっこりと、満面の笑みでお願いした。
「……協力……」
「はい!タリルせんせーはいないし、ここにはごきょーりょくいただけるのは、ナルコスせんせーしかいませんし……ダメでしょーか?」
きゅるんっと目をウルウルさせ、ナルコスを見つめた。
さあ、どうする?
アールの頼みを断れるのか?
ぐっと追い詰められた獲物のように身を引き、アールの申し出を検討している。
「……それは、モフも関係するか?」
ほんとに察しが良いことだな!
「はい!もちろんです!モフはこころよくきょーりょくをもうしでてくれました!」
どうだ!とばかりエッヘンと胸を張り、ドヤ顔をした!
ナルコスにものすごく嫌そうな顔をされた……。
──うわぁ……すっごく嫌そうなんだけど
──だなぁ……まぁ死にかけたしな。でも、死線は越えた訳だし……もう死にかける事もない気がするけど……
「………………イヤでしょーか…………?」
シューンとなった。
ここで断られたらぶっつけ本番で母さんにキュアリングをかけることになる。
エルによると……母さんは魔力量は豊富なので、逆に飽和状態になり、キュアリングが効かないかもしれないとの懸念があるそうだ。
だから、さっさとナルコスの魔力量を増やし、実験をやりたいとの事だった。
ナルコスは元々魔力がほぼ0だったのだから、飽和するのも早いだろう、その状態でキュアリングをかけて確かめる、との算段からだ。
「…………モフは……あれは、信用出来ん」
「え……?だいじょーぶですよぉ…………」
……ちょっとドキッとした。
「お前にはな。だが俺が相手だと何をするかわからんぞ」
「……でもちゃんとぶじだったし……」
「どうだか……。言っておくがアレはかなり痛かったからな?内側からナイフで何度も刺され、引き裂かれているかのような、経験したことのない痛みだったんだ」
憮然として腕を組み、そう言った。
──うへぇ、マジかー?こわっ!全然平気そうだったのに
──生徒の手前、格好つけてたのかしら?サーちゃんもいたしね
──まぁ剣士が弱味は見せられないか……ってここで俺らに暴露しても良かったんかね?
──ねぇ、マルに弱味なんか見せたらつけこまれるだけなのに……
──そんな誉めるなよ……ふふ……
──いや、誉めてないよ!?
「そーだったんですね。じゃあ、いたいからイヤなんですか。たえられないってことですね?そうかーそうだったのかー」
うんうんと納得したように腕を組み、頷いた。
「…………そうじゃない」
「それはしかたないですよね。ボクもいたいのはきらいです。せんせーも、にんげんですもの、いたいのダメなの、しょーがないです」
「そうじゃないと言ってるだろう?」
「わかりました!モフには、いたくないよーにたのんで……そうだ!あかちゃんでもだいじょーぶなように、くふーしてもらって……」
「わかった」
「はい?」
「分かったと言ってる。協力する」
はあっと大きくため息を吐きながら了承した。
「!!ありがとーございます!」
──やったね!これで実験できるわね!
──ああ。まず一つ目の課題はクリアだな。よし、あとは……
「あの……もうひとつ……ききたいのですが。ナルコスせんせーと、おとーさまって……どーゆうかんけーですか?」
めっちゃ気になる。
ドキドキわくわくが止まらない。
──そうよ。 まるで昔からの知り合いみたいに話してたのよね。どういう事?
──ああ、そこんとこ聞きたいよな。ずいぶん親しそうな口ぶりだったし……どんな伝でナルコスが指南役に選ばれたのかって思ってたんだけど……
「……やはりその事か……ふむ……」
じっとアールを見つめた。
「それについては、お前の親父が帰ってからにしよう」
ニヤリと笑われた。
「え?」
──ええ!?なんなの、それ?ここにきて?
──意地悪だ!!報復だ!さっきおちょくったから、報復された!
──くぅ……大人げなくない?
──チッ……まぁな、まだナルコスも若造だもんな……そこまで人間ができてないって事か……
「────……わかりました。ふっ……おとなげないよね……」
ぼそりと呟いた。
「何か、言ったか?」
ジロッと睨まれた。
「いえ、なーんにも!じゃあ、おとーさまがかえったらおしえてくださいね?」
チッチッチッと手を振りながら言った。
「……ああ」
ふふんと勝負に勝ったようにそう言う顔は、ちょっと憎たらしかった。
──むきー!余裕こいてるのも今のうちだかんな!
──ちょっと、マル!別に喧嘩してる訳じゃないよ?ナルコスには協力してもらうんだから。変なちょっかい出さないでよ!?
──わかってるって、心配ない……くくっ
──…………信用できない……
「あと、もーひとつ、いーですか?」
そう、これも大切なことだ。
深呼吸をして、いずまいを正した。
アールの雰囲気が変わったのを察したのか、ナルコスも揶揄うような様子から、真面目に向き合うように椅子に座り直した。
「なんだ?」
「ミーちゃんとサーちゃんのことなんですけど……」
「──ああ」
がんばれーマルエルー!
第一部を終わる前に、第二部と、第三部を同時に執筆中……こんなことをしてるから、怒られるんだよ……まだまだ投稿は先になるのにね……。
でも、ここは自由な場所ですよね!?
好きに書いていいかなって……途中投げ出しはしないから、見捨てないでね!超長くなるけど!




