表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/66

第4話 なんか出た

ちょこっと更新。


日曜日更新のつもりでしたが、ちょこっと更新してみました。


なんか出た。ナンダコレ?

o(・ω・)o


ガサガサ、ガサガサ。


近づくにつれ、何かがいるのは明らかだった。


ん?


ふと下を見ると、広場に来るときに見つけた石とよく似た石が落ちている。


お!?あれも丸いな


拾おうと手を出した。


ガササッ!


草陰からバサバサっと何かが飛び出した!!


「うわっ!!」


「ジャマしてやる!ジャマしてやる!」

グレーの塊だ!

なんだ!?しゃべってる!?


へ?でっかいモフモフ!?



──エル!!何かでた──!!


──ナニコレ───!?



「拾うのをジャマしてやる!」


ドーン!!と飛び出したソレは、一見鳥のようだった!!


グレーのまん丸な身体に、ちんまりとした羽?黄色い(くちばし)に、世をすねたようなこれまたまん丸な目。頭にトサカがある。あれ?なんか肩(?)からかけてる……。



──ほんと、ナニコレ?


──う、うん?なんだろ?…何かの鳥じゃないかなぁ?羽、あるし……


「ジャマしてやる!ジャマしてやる!」

言いながら、バサバサ、バタバタ羽を動かして何かを拾おうとしていた。


「これ?これがほしいの?」


丸い石をひょいと拾って、その奇妙な生き物に手渡した。


「……ジャマして……ジャマ?」

じーっと俺を見てから、くるっとまわり、トテトテっとまた草陰に戻って行った。


ハッとして追いかけて、ガサっと草を分けて探したが、もうそこには何もいなかった。


──なんだったんだ、アレ?


「アール様?どうかされましたか?」

タリル先生が戻ってきた。


「えーと、なにか、いたような、いないような?……とり?がいました……」

一瞬の出来事でうまく説明が出来ないな。


「ふむ、今日はもう遅いですが……気になるようであれば、明日その鳥を探してみますか?」

馬から降りて、茂みを眺めながら言った。


「…………いえ、だいじょーぶです」

アレは何だったのか?

鳥のような、そうでないような……よくわからない生き物だった。

でも、何故か探さなくてもまた会える気がした。


「……そうですか。では帰りましょうか。寒くなってきましたのでコートを着ましょうね」


「はい」


リリスが渡してくれたコートをはおり、また馬に乗った。


カッポカッポとのんびり家路に向かった。


いつの間にか日が傾き、月がうっすら空に浮かんでいた。

今年は金の月の年だ。ほとんどが金色だが下の方に少しだけ銀色が混じっている。


馬をポクポク歩かせながら、空を見上げた。



──不思議だなぁ。なんであんな色なんだろな?


──ねぇーファンタジーよねぇ。いつか解明してやるわ!


──お前さぁ、スローライフ希望って言ってた割には積極的だよな?


──そういえばそうね。周りの環境のせいかしら?まぁもともとオタクだし?興味のあることには積極的だったよ?そういうマルこそ、ハーレムライフはどうすんの?


──へっ!!この身体でどうしろってーんだよ?お前、いるし?俺は露出狂じゃねぇぞ?出来るかっつーの!!第一まだ5歳じゃねぇか!物理的にも無理だな。ああ、くそ、ほんっともったいない!こんだけ美形なのになぁ!俺、絶対モテモテなはずだぞ?


──それを言うなら私だって!こんなに美少女よ?周りが放っておくわけないわね!


あーだこーだやりあってるうちに、いつの間にか町に戻っていた。

家の庭がぼんやり見えてきた。


村に入ると、村人たちがたくさんいた。丁度仕事を終えて家路に向かうところだったらしい。

帰宅時間帯と重なったな。


「こんにちはタリル様。アール様とお出かけですか?」

町の人が声をかけてくる。


「ええ、ちょっと森にね」

タリル先生がこたえた。


それがきっかけとなったのか、次々と挨拶をしてくる。


「キャー!こんにちは、アール様ぁ」

「こんにちはぁ!アール様!うふっ」

「アール様!ちは っす!」

矢継ぎ早に子どもたちに声をかけられた。


その勢いにちょっと圧倒されつつも、ニコニコと手を振って応えた。

数人の女の子たちがキャーキャー黄色い声をあげている。中には男の子も混じってるようだった。


まるでアイドルのように、格好いいだの可愛いだの素敵だのの称賛の声が聞こえてくる。


ふっ、まあね、正直俺もそう思うよ。

まぁ当然だな。この見た目だしな。

男女問わず憧れるのも仕方ない。


ガキんちょにモテてもちっとも嬉しくないが、まぁ悪い気はしない。


ふと誰かの視線を感じた。

キャーキャー言っている子どもたちとは群れずに、一人だけ木の幹に隠れるようにして、こちらを伺う少女がいた。

水色の髪に青い瞳の、なかなかの美少女だ。両サイドに一房だけ黄色い髪が混ざっている。


誰だろう?

知らない顔だ。


と、いってもほとんどの人の顔を知らない。深窓の令息&令嬢だったからな。

こうして外の人たちに会うのは誕生日以来だった。


水色の髪の少女の、こちらをじっと見る目が、他の子たちとは違う気がした。

なんだろうな?探るような目だ。

目があったので、ニコッと笑って手を振った。


途端にパッと幹の陰に隠れてしまい、もう二度と顔を出さなかった。照れたのか?


そんなこんなで、パレードのようになった村人の間を抜けて庭の中に入ると、今度は侍女や侍男など従業員の人たちから声をかけられた。


「おかえりなさいませ!タリル先生、アール様」

「おかえりなさいませ」

「おかえりなさいませ」


「ただいま」

こちらも次々と挨拶をしていく。

領主の子どもってのも大変だな。

いずれ俺たちがここを治めていくことになるのだろうか。


馬を預け、屋敷にもどった。


「おかえりなさいませ」

リリスが迎えてくれた。


「ただいま。リリスのおかげでさむくなかったよ。ありがとーリリス」

コートを渡し、お礼を言った。


リリスがうるうるニコニコの笑顔とともに受け取った。

「アール様!リリスはアール様にお仕え出来て本当に幸せですわ」

だよな!俺たちっていい子ちゃんだしね!

円満な人間関係には、お礼、これ、大事。


部屋に戻り、今日の授業をざっとおさらいをした。魔力の巡らせ方、調整の仕方、詠唱等をもう一度復唱した。


「アール様、今日は土魔法の基礎をお勉強されましたね。1日で基礎をマスターされるとは、私、感服いたしました。大変よろしいです」


「ありがとーございます」


「ですが、急ぎすぎました。次回までの宿題は、ゆっくり休んで体力と魔力を回復することです。勝手に魔法を使って、練習したりしてはいけませんよ?いいですね?」


こちらを見透かしたように見つめて言った。


「……どーしてダメなのですか?」

やろうとしてたのがバレた?

もうちょい練習するつもりだった。


エルは練習してたけど、俺は基本見てただけだしね。もちろん同じ身体なんだからやり方はわかる。でも、こう、細かいところがもどかしいんだよな。


「はい。いくら魔力と才能がおありでも、アール様はまだ5歳です。5歳の(うつわ)にその膨大な魔力はアンバランスなのですよ。その歪みがアール様の身体を(むしば)むかもしれません」

真面目な顔で言われてしまった。


「わかりました!きょうはおとなしく休みます!」

マジか?蝕むって……何?俺ら病気にでもなんのか?こわっ!


そういえば、エルがずっと静かだ。寝ているっぽいな。

もしかしてこれが魔力の使いすぎってやつなのか。


「はい。大変よろしい。では今日はここまでです」

パンと手を打った。


タリル先生は通いのため、週に2日来る事になっている。


アールのスケジュールは、地球的に言うと、月:魔術・火:剣術・木:魔術・金:剣術と言う風に、週に4日は埋まっている。水曜日はお休みで、好きなことをしていい日だ。土日はアリステアの仕事場に行ったり、家の手伝いをしていたりする。


「明日は剣術のお稽古でしたね?ちょうど良いです。体力作りに励んでください。私の授業は3日後になりますから、その時またお会いしましょう。ではごきげんよう」

タリル先生が挨拶をした。


「はい!ありがとーございました」

そうだ!明日は待ちに待った剣術の稽古だった!


一緒に玄関まで見送ってから、自分の部屋にもどった。



──ふう~~!疲れたぁ──!楽しかったけど、疲れたぁ──


──お前、寝てただろうが


──ん?寝てた?のかな?家が見えたなーって思ったら急に疲れがでてさ。そういえば意識なかったわ。何かあった?


──ん?そうだな、一つはアールはモテモテだと言うことが明らかになった。町に入ったとたんパレード状態になってさ。アイドル並みだったな


──まぁ、当然よね!神様の加護付きでカリスマまであるしね。ふふん


──あと、こっちのはちょっと心に止めておかなきゃ。今のアールの身体だと、魔力使いすぎたらぶっ壊れるかもしらんらしい。


──は!?何それ?こわっ!!


──どんな壊れかたするかはわからんけどさ。でも確かにお前、寝ちゃったろ?気をつけた方がいい。魔力と器がアンバランスで(いびつ)らしいから


──わかった。帰ったらまた土魔法の練習しようと思ったんだけどな


──やっばりな。そう思ったけど、ヤバくなったらヤバイから、次のタリル先生の授業までは魔力使うのは禁止された


──そっか。じゃあ、本だけ読もうかな


──ああ、そうしろ。で、だ。体力つけるといいらしいから、明日剣術だし、ガンガン攻めて行こうかと思ってるだけど、エルもやってみるか?


──魔力使うのに体力いるなんてね。そっか、わかった。もちろんやらないよ?


──また丸投げかい!


──あったり前でしょ?何のためのマルよ?剣術なんて脳筋なこと、私がやる訳ないでしょうが!


──いや、お前バカにしたな?俺はちゃんと考えて動いてるぞ?


──ふーん


──ったく!まぁいいや。じゃあ明日は俺が受け持つけど、エルもちょっとくらいは参加しろよ?


──へいへい



コンコンコンとドアを叩く音した。


「アール様、ご夕飯の支度が出来ました」

リリスが呼びに来てくれた。


「はい。いまいきます」

そういえば腹へったなぁ!

急いで食卓へ向かった。


夕飯はアールの好きなハンバーグだった!ラッキー!


「いただきます!」

頑張ったご褒美だ!ほくほくしながら食べていると、エリザベート母さんが今日の授業について聞いてきた。


「アールちゃん、今日はどうでしたか?タリル先生は厳しくなかったですか?」


おっとりと言うエリザベートは、相変わらずの過保護ぶりだ。


「はい!ぜんぜんきびしくなかったですよ、かーさま!とてもわかかりやすくて、マジュツのせんせーが、タリルせんせーでとってもうれしいです。とーさま、いいせんせーをつけてくれて、ありがとーございました!」

お礼、これ、大事。

次に繋げてもらわないとね!ニヒヒ!


「あ、ああ、どういたしま」

「んまぁぁぁぁぁ!アールちゃぁぁぁん!なぁ──んて、お利口さんなんでしょぉぉぉ───!!」

キラッキラッに目を輝かせ、どど──んと抱きつかれた!!



──ぬぉぉぉ━━!でたぁ━━!!(かぁ)さんラブラブパワァ~~~!!今被ったぞ!めっちゃ父さんが話してるのと被った!!


──ふぉ━━!相変わらずだ━━!ちょっ、お母様!くるしい!!ちょっ!苦しい!!



「……かぁ……さま……ぐるじぃ……です」


「エリザベート!アールが苦しがってる!落ち着きなさい!」

あわてて父さんが間に入り、母さんをべりっと剥がしてくれた。


「んまぁ!だって、アリステア!アールちゃんったら厳しくて有名な、あのタリル様の事を厳しくないだなんてっ……!やっぱりアールちゃんは天才よぉ━━━」

母さんがそう言いながら、ぐりっぐり頬擦(ほおず)りしてきた。



──え!?厳しいの!?あれで?めっちゃ誉めてたけど?『大変よろしい』って口癖じゃないの!?


──だよな?あれで厳しいって…こっちの先生ってどんだけ甘いんだよ?俺レスキューの試験前って死ぬほどビッシビシやられたぜ?何回かマジで意識とんだ



「いえ、ほんとーにやさしかったですよ?いっぱいほめてもらえました」

ほんと、ずっと誉めっぱなしだったんだけどな。


「ほらぁぁぁ!!!やっぱりアールちゃんは天才なのよぉ━━━━!!」

ガシッとまたまたぎゅ───っと抱きつかれた!



……だから苦しいって━━!!


……ちょぉ━━━!!!!



「エリザベート!!アールがっ!!!」

またまたべりっと剥がしてくれた。今度は素早かった!


「かーさま!ボクまだゴハンのとちゅーです!ぎゅーっされたら、くちからなにかがでちゃいます!」

ぐぐーっと押して、圧迫から逃れた。あー苦し!


「んまぁぁぁぁ!ごめんなさい!アールちゃん!(わたくし)ったら、あんまり嬉しくって……」

反省してしゅんとなった。


ほんとかわいいお母さんだ。

この親バカっぷりには呆れるが、けして悪いものじゃない。

心がほんわかして癒される。


俺たちは小学四年生の時に交通事故で両親ともに亡くした。

じーさんばーさんに引き取られたけど、厳しい人たちだったので、こんな風に愛された記憶はない。


「かーさま、だいじょーぶですよ。かーさまは、ボクをダイスキなだけですよね?ボクもダイスキです」

ほんとにね。ありがたい事だ。


「アールちゃん…………」

うるうるして見つめられた。


「あーこほん。アール、タリル先生は魔術に関しては第一人者でね、手厳しい事でも有名なんだよ。はじめ先生に君の家庭教師を頼んだ時には、剣もほろろに断られたんだ。でもね、君の5歳の誕生日で君と話してから興味をもたれてね。引き受けてくれた」


アリステア父さんが手を組みながら言い聞かせるように語った。


「でもやっぱり君は5歳になったばかりだしね。いくら君が利発だといっても、タリル先生の師事を仰ぐ事が、吉とでるか、凶とでるかは正直カケだったんだ」

感慨深げに目を閉じた。


「だからね、その先生に誉められるということは、とても素晴らしい事なんだよ?あの、タリル先生が、君を誉めたと聞いて、そして、次の授業の約束をしてくれた……僕はとても嬉しいよ。誇りに思う」

にっこり笑って嬉しそうにアールを見た。


「とーさま……ありがとーございます」

胸がジーンとした。



──エル、俺ここに転生できて、ほんとに良かったって思うよ


──うん、私もそう思う。まぁマルと一緒の身体ってのは納得いかないけどさっ!犬神様のうっかりさんには、ほんと参っちゃうけどね!


──それな



「アリステア……(わたくし)もあなたを誇りに思いますわ。素晴らしいお父様です。アールちゃんの為にいつも尽力してくれて……(わたくし)本当に嬉しく思います。愛していますわアリステア……」

目がハートになっている。

お母さん、ちょっと!食事中だよ!?


「エリザベート……僕もだよ」

あんたもかい!


まだ腹減ってるんですけど!?食べれんくなるじゃないか!



──おいおいおい!ハートがとびまくってるんですけど?子どもの前でイチャイチャしないで欲しいぜ!全く……


──まぁまぁまぁまぁ、仲良き事は美しきかなって言うしさぁ~。いいんじゃない?夫婦仲良好ってさ!私は嬉しい!



ラブラブな二人は放っておいて、さっさと夕飯を平らげた。


「ごちそうさまでした!ボクはへやにもどりますね?ごゆっくり」

それだけ言って、とっとと部屋に退散したのだった。




がんばれーマルエルー


のんびり更新中です。

しばらくは、ゆるゆるだらだら更新予定。


広い心でお付き合いいただけると嬉しいです。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ