第38話 泥団子
超──────お久しぶりでございます。
\(^o^)/
決して忘れてたんじゃないよ?
ちょことょこ書いてたんだよ?
第一章を書き終えてから投稿しようと企んでいましたが、奇特な読者様から(嘘のようですが、いるんです!)早よー出せ!とのご要望を再三いただき、とりあえず投稿しました。
ほぼ、閑話( ̄▽ ̄;)
とーちゃん帰って来たらガガガーっと話が進む予定…………あくまで予定。
頑張って一章終わらせるので、お付き合いいただければ幸いです。
タリルがメイド室にやって来ていた。
「では宜しく頼みますね」
大事な話があるのでしばらく二階には誰も来ないようにと、全従業員に通達があったのだったが、もうプリンを持って行ってもいいと報せに来たのだった。
「はい、畏まりました。ご用意させていただきます」
それと、連れてきた女の子二人(ミティアスちゃんとサティアスちゃんと言うらしい)とナルコス先生が、御領主様が帰られるまで滞在するとのことで、その準備を頼まれた。
「──しばらく世話になる」
ペコリとナルコスが頭を下げた。
ナルコスは宜しくと言って、まだ話し合う事があるからとタリルと二人で応接室に戻っていった。
「……今日はほんとに特別な日だわね」
リリスが一人ごちた。
朝から大忙しだった。旦那様が出張され、アール様もお出かけされて、帰ったと思ったら見知らぬ女の子を二人も連れて帰られて……。
……あの双子ちゃんはどこで知り合ったのかしら?まさかアール様がナンパ……まさか!違うわ!アール様がそんな事するわけ無い……わよね?
……いまいち確信が持てないのはどうしてかしらね?
あの美貌ですもの、誰でも声をかけられればついてくるわよね……今日も相変わらずお美しくって……うふふ……
「リリスさ~ん、わたしが持っていってもいいですか~?」
メイドのエイナが盆に置いたプリンを持ち、聞いてきた。
ハッとぼんやりそんな事を考えていたのを、その間の抜けた声で現実に引き戻された。
エイナは4人いるメイドの中でも最年少だった。エルフリッド家に来たのはアールが産まれてからで、そろそろ3年になるが、ここでは新米扱いだった。
「ふふ、ダメに決まってるでしょう?かしなさい!」
盆を取り上げ、ふん!と胸を張った。
「いや~リリスさんずるいですぅ~」
プンプンと頬を膨らませたエイナも“アール様のお世話をし隊”メンバーの一人だった。
「あら?あなたもメイド長になればアール様のお世話が出来るわよ?」
ふふん、とまたまた胸を張った。
「え~?やっぱりずるいですぅ~リリスさんがメイド長を譲るとは思えませ~ん!」
ぷんぷんと文句を言う。
「文句言っても無駄よ~無駄無駄!アール様がお産まれになった時からリリスはアール様一筋だもの」
シェフィが眼鏡をくいっと上げてエイナを嗜めた。
「あら?さすがシェフィね。伊達に同期じゃないわね」
ふふふと笑いながらプリンに添える生クリームの容器を盆に乗せた。
「まぁね。あなたがヤバイくらいアール様にご執心なのは皆知ってるわよ。まぁわかるけど。あれほど完璧な子は他にいないわよね」
そういうシェフィもアール様ファンだった。
「そうですよね~将来が楽しみですぅ~」
エイナがふんふんと頷いた。
「ちょっと!私は純粋にアール様を応援してるのよ?……そうね、尊いものを崇めるような、そんな敬虔な気持ちなんだから。邪な言い方はやめてくれる?」
「“敬虔”ってなんですかぁ~?」
エイナがぽけっとした顔で誰とはなしにたずねた。
「……よくここに採用されたね?」
ビルマがぼそっと呟いた。
皆が同じ疑問を持ったようで、エイナに視線が集まった。
「えへへ~わたし、お花を育てるのが得意なんですよぉ~。あと、インテリアのセンスが良いって奥様に気に入られちゃいました~」
てへっと頭に手をやり、エイナがにっこり笑った。
「「「ああ……なるほど」」」
皆が納得した。奥様ならあり得る事だ。
「とにかく、行ってくるわね。さっきタリル先生がおっしゃったでしょう?あなたたちには三人が泊まれるようにお部屋の準備をお願いするわ。シェフィ頼んだわ」
「ええ。エイナ、ビルマとりかかるわよ」
「「はい」」
早速プリンを持ち二階に行き、コンコンコンとドアを叩いた。
「アール様、リリスでございます。プリンをお持ちしました」
少し待ったが返事も物音もしない。
もう一度コンコンコンとドアを叩いた。
「……アール様?入ってもよろしいですか?」
やはり返事がない。
そっとドアを開けた。
ぶわ──っと花の香りが部屋から溢れてきた。
キラキラキラ──と窓から光が差し込み、一瞬目が眩んだ。
まるでお伽の国に迷いこんだような、絵本の中に飛び込んだような世界が広がっていた。
「……すごい……」
部屋中がお花畑になっていた。
見たこともないような華麗で大きな花からは、甘い匂いが漂っている。
壁も窓もテーブルも花が飾られ、瑞々(みずみず)しく咲き誇る花々は、今しがた摘んだばかりのように鮮やかに部屋を彩っていた。
その真ん中に三人が寄り添うように寝ていた。
その光景は息をのむほどに美しく、汚してはならない崇高で静謐な宗教画のように、そこにあった。
「…………アール様……」
呆然として盆を落としそうになったが、ハッと気がつき、慌てて持ち直した。
そっと近づき、テーブルに盆を置いた。
……なんて綺麗なのかしら……
天真爛漫で無垢な天使がまどろんでいるようだわ。
ミーちゃんとサーちゃんはハーピーだったのね。とても美しい真っ白な羽が、本当の天使みたい……
……アール様の頭の上にある毛玉は何かしら?
三人を守るように置いてあるけど──?
じっと見ていると、その毛玉がモゾモゾと動き出した!
……え!?何!大きな毛虫だった? 花の匂いに誘われたのかしら!?退治しなくちゃ!
パッと何か叩ける物を探した。
「リリス!」
ピョーンっとその毛玉が跳んできた。
「!!まぁ、モフちゃんでしたか!」
ああ、確かにポシェットをしているわ。でも、モフちゃんはグレーだったわよね?今、黒っぽかったから分からなかったわ……。
「リリス、プリン持ってきた?」
ピヨピヨと嬉しそうに鳴いている。
「え、ええ、お持ちしましたよ。でも、どういたしましょう?アール様もミーサーちゃんもお休みになられてるようですし……」
「ピヨが全部食べる?かまわないぞ?」
ピーヨピヨと鳴いている。
モフちゃん、ヨダレが垂れてますよ。
「だめよ、モフちゃん。全部はあげられないわ。アール様たちはいつ休まれたの?起こしても大丈夫かしら?」
「んー……32分18秒前だぞ」
モフが残念そうに言った。
「すごく細かい数字が出てきたわね!?そう、じゃあそろそろ起こしても大丈夫かな……?なんだか起こすのも忍びないのだけれど……」
そっとしゃがんで健やかな寝息をたてる アールの髪を撫でた。
「…………ん……」
ピクッと反応して、うっすらと目が開いた。
その双眸は金と銀の光を放ち、吸い込まれそうなほどの透明感だった。
……本当に……美し過ぎて、この世の人では無い気がしてしまうわ。
「……お目覚めですか、アール様。お約束通りプリンをお持ちいたしましたよ」
小さな囁くような声でそっと伝えた。
「リリスー……プリン……?」
ほわんとした寝惚けた顔で目を擦りながら、まだ眠たそうにそう言った。
──プリン……おやつ持って来てって頼んでたヤツか。あ~思い出した……そうだったな……う~ん、ちょっと休んだから楽になった
──……うん……そうだね……
「ありがとーリリスー」
のびーっと伸びをして、ニコッと笑いお礼を言った。
「!……くっぅ……どういたしまして、アール様」
リリスがいつものごとく胸を押さえて頬を赤くして震えている。
うん、リリスはリリスだな~ほっとするよ。
──エル、お前大丈夫か?まだ寝てていいぞ
──寝ないけど……後はマルに任せていい?どうせまたあの二人に呼ばれそうだし
──ああ、泥団子作るから全然OK!
──………………まぁ……後はお願い……
──……お?おう……
……なんかエルが静かだよなー、全然ツッコまない。やっぱまだ疲れてんのかね……
ちらっと両横を見た。
「ミーサーちゃんもねちゃってるね……」
両サイドの天使たちを起こさないようにそろっと起き上がった。
「ええ……どうなさいますか?」
コソコソと内緒話のようにリリスが囁いた。
「……このままねかせとこー。プリンはひやしておいてくれる?あとでもらうよ」
そろりと立ち上がろうとしたら、
「!!びよ!?プリン、後でだと!?」
ガガーンと雷が落ちたような顔をして、モフが跳びついてきた。
そこまで食べたかったのか!?
「しー!しずかに!わかったよ、モフのはちゃんともらうから…」
あわててモフをぎゅっと押さえ、嘴を掴んだ。
「んばっ!?むぶぶばっ(ぴよ!?本当か?)」
キラキラとお目々が輝いた。
何言ってんのかわからんけど、カワイイやっちゃな~。
「くすっ、わかりました。モフちゃんの分はテーブルに置いておきますね」
リリスがそっとテーブルに置いてくれた。
「うん、よかったね、モフ」
そう言いながらそろそろ二人の間から抜け出した。
「ではこちらは冷やしておきますね。お目覚めになられましたらお呼びください」
コソコソと内緒話のようにリリスが耳打ちした。
「うん、ありがとーリリス」
少し騒いだが、ミーサーちゃんの目は覚めなかった。
良かった起きなかった。二人とも熟睡しているみたいだった。
リリスが出ていった途端に、抱っこしていたモフがキラキラお目々を輝かせ、スルンっと抜けだし、シュタッと席についた。
キラーンとスプーンを掲げ、嘴をブスッとプリンに突き刺し、ちゅるーんっと一気に吸い込んだ!?
いや、スプーンの意味とは何ぞや!?
俺も、なんでやねーんって突っ込むぞ!
「──モフ……一気食い……いや、イッキ飲み……」
「ん?旨かったぞ!」
ベローンと長い舌でお皿を舐めた。
飲み物よ、プリンは。って、どこぞの誰かみたいだな。
「モフって本当に甘いもの好きだね……ボクの分もあげたら良かった……」
「何!?くれるのか?貰うピヨ!」
ベロベロベローっと長ーい舌で顔中をぐるんっと舐めた。一瞬顔が消えたように見えた。
「うはっ!……怖いよ、モフ……モフって時々ホラーだよね」
はぁっとため息をつき、モフの側に行った。
「ねぇモフ、泥団子作らない?」
泥団子仲間を増やしたい!やっぱ男子の友達も欲しいよな。
「泥団子?食えるのか!?」
団子違いだな。
ん?モフなら食べれるのか?でも……なんとなく嫌だ。
「いや、食べれはしないけど、うまく出来るとキラキラしてきれいなんだ。一緒に作ってみない?」
「よくわからないが、いいぞ?」
パタパタちんまい翼を動かした。
……この翼で泥団子を作れるかは甚だ疑問だ。でもまぁ精霊だし?なんとかなるだろう。
「よし!じゃあ用意するね」
パッと右手をだし土魔法を使う。
──よし、エル、頼んだ!土と砂出してくれ。あと水!
──はい!?突然何を……うーん……砂を出すの?土と砂……って、庭からとってきたら良くない!?水だってそこから汲んだらいいじゃん!
──えー庭からとるのはめんどくさーい。出てってる間にミーサーちゃん起きるかもだし?パパッと出しちゃってよ、水はしゃーないから汲んでくる
──えぇ……ちょっと待って……砂……砂か……砂も土も同じようなものね……じゃあ……
「マッドドール!あーんど、ディタッチ!」
パッと空中にもやがかかり、ピョコン!と膝丈くらいの土人形が二体現れた、と思ったら土塊に戻った。
「タトヒール」
片方の土塊から不純物を取り除いた!
土塊がさらっとした砂に変わった。
──ふふん!どう?ちょっと違うかもしれないけどこれなら泥団子作れるんじゃない?
──おー!流石エル!出来る出来る!よし、水汲んでくるか
ちゃちゃっと水を汲んで準備は出来た。
「よーし作るぞ!いいか?モフ、よく見ておけよ」
土をガッと握りモフに突きつけた。
「ピヨ!」
目を大きく見開き、じっとアールの手を見た。
モフのキラキラ光る目を見ていると期待に応えないといけないと思っちゃうよな?
よし、ピカピカの泥団子を作ってやる!
「これをこうして…………」
エルが妙に大人しい、後で反動が怖いが、花冠よりは楽しめる。モフを泥団子仲間にしてやるぞ。
そんな事を考えながらモフに説明しつつ泥団子を作っていった。
かわいいものと綺麗なものがいっぱい……なのに泥団子……男子って……。
まぁ、あれも完成形は綺麗だよね。
本格的バトルの始まる前の安らぎ……がんばれーマルエル~ミーサー~!
\(゜ロ\)(/ロ゜)/




