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第32話 頑張れトムソン

明けましておめでとうございます。本年度もよろしくお願いします。


昨年はね~無かった年にしたいのは作者だけでしょうか?ぜーんぶ予定潰れたのに、変な所で忙しかった……。


今年こそ週一くらいで投稿出来るように頑張るよ~。応援してくれると嬉しい……。

o@(・_・)@o


領主邸でのお話です。

ガタゴト揺られ、窓から外を眺めていると、見覚えのある木が見えてきた。

領主邸の入り口にそびえ立つ大きな木が目印だ。

「あ、みえてきました。ミーちゃんサーちゃん、アレがボクのおうちだよ」


近づくにつれ、木の向こうの邸が見えてきた。


「大きい」

「立派」


ぽけーっと、二人が目を丸くして言った。



──やっぱりこの舘って大きいんだな


──そうね。中にいるとよく分からないけど、たぶんそうかなーとは思ってた。何せお風呂が3つもあるものね


──リリスにバトラーその他従業員もいっぱいて、凄いカテキョを二人も雇ってるしな


──うんうん、ほんと私たちってばラッキー!



4人乗りの馬車に5人+1匹乗ってるので、今俺はタリルの膝に乗っている。揺れがかなりましになるので快適だし、窓からの景色がみやすくていいな。

近づく我が家にやっぱりホッとしてきた。


『アール様』

タリルから電話がきた。


『はい?』


『本当によろしかったのですか?モフさんを見つけて下さった方々とはいえ、身元がはっきりしない異民族の子です』

タリルの声音が冷ややかだった。

黒タリルが見えてちょっと怖い……。


『モフがふたりをきにいってたし、だいじょーぶとおもいます』


そう、お礼と称して我が家に二人を招待したのだ。二人の装飾品もゆっくり見たかったのもある。でも一番の理由は、二人が何か物言いたそうだったのだ。

最初に木の陰からこちらを見ていた時も感じた。アールと話したいのではないか?

スライムレンク屋の少年とは違う、好き嫌いの視線ではなく、もっと切実な何かを感じたのだ。



──モフが妙にこの二人を気に入っているしなー。モフが懐くって事は、大丈夫だって事だろ?根拠はないけど、大丈夫な気がする


──うんうん、それにかわいいしね!かわいいは正義!



『……ですが、アール様はまだ5歳のお子さまですからねぇ、騙されてしまうかもしれません』

やれやれといった、いつものおどけた調子に戻っていた。


『きをつけます!』

まぁな、タリル的には父さんの居ない時に他人をあげるのは気が引けるのかね。


だがしかし!5歳の子どもだったら、突然友だち家に連れて来ちゃった!ってあるだろ?

それが例えさっき知り合ったばっかりのやつでもさ!

よくあることだよな。



──そうよ!せっかく女友だちゲットのチャンスなんだから!前世ではさ~、地味ーな友だちしかいなかったしね……ふっ


──ああ、それな。ぷぷ、まぁ本人も地味……


──んん?何か言ったかなぁ!?


──ナンデモナイデス



「ミーちゃん、サーちゃんはおともだちのおうちに、あそびにいったことはありますか?」


ふるふるとシンクロで首を振った。


「じゃあボクがはじめてですね!ふふふ、ボクもはじめてです!はじめてどうし、なかよくしましょーね」


ミーサーちゃんがコクコクコクと勢いよく頷いた。



──家についたら交代するか。二人とはお前が話したいだろ?もう身体動かす事も無いだろうし。女子会ってやつ?


──そうね!でもちゃんと話せるか心配……この二人ってば片言だもんね……言葉の壁がなぁ……


──んーまぁなんとかなるんじゃね?モフがいるしな



「もうすぐ着きますよ」

ふと外を覗いたタリルが言った。


あー!帰って来た!

一緒にひょいと窓から覗いた。


「わがやですね!」

リリスが待っている。

街でスライムレンクを飲んだし、スースを食べた事を教えてあげよう。色々話したいことがある!

ちゃんと広場の修復がすんだ事も報告して……きっと心配してるだろう。


「はやくリリスにほーこくしたいなぁ……ほめてくれるかな?」

足をぶんぶん揺らしながら呟いた。


「……アール様」

よしよしとタリルがニコニコ笑って頭をなでてきた。


「ボクはうまくやれましたか?」

じっとタリルを見つめた。帰宅を前に少しだけ不安になった。



──初めてのおつかいだったものね


──ああ、俺たちなりに頑張ったし……特にこれといった問題は無かったと思うんだけどな。ちゃんと課題はクリアしたはずだし……


──大丈夫だよー。珍しいね、マルが不安になるなんて



「はい。アール様は大変よく頑張られましたよ。大きな花丸をあげましょう『フロール』」

サッといつの間にか持っていたタクトを振った。

フワッと辺りに花びらが舞った。


「わぁ」


「きれい」

「いい匂い」


「ほぉ……」


ほっと一息、馬車の中がひときわ賑やかになった。


馬車が止まり、トムソンがドアを開けた。

「到着いたしました、足元お気をつけください」


外に出たとたん、

「お帰りなさいませ。アール様、先生方」

「お帰りなさいませ」

何人もの使用人たちに迎えられた。


「アール様!」

リリスがささっと前に来た。

「……お帰りなさいませ。お疲れになられたでしょう?お茶のご用意が出来ておりますよ」

ニコニコと出迎えてくれた。


「ただいま!リリス」

ぎゅっと抱きついた!



──わーい、リリスだー!ほっとする~


──ああ、やっぱり緊張してたんだな……リリスの顔を見たら、一気に眠気が……



「ふぁぁ~」

思わずあくびがでてしまった。

目をごしごしと擦った。


「あらあらアール様はおネムさんですか?」

リリスがひょいとアールを抱っこした。

リリスは華奢に見えるが実は結構力持ちだった。


「だいじょーぶだよ。ちょっとだけ……ふぁぁ……おともだちが……できてね……ふぁぁ……」

急激な眠気が押し寄せてきた。

コテンとリリスの肩に頭を乗せた。


「タリル様、ナルコス様、お帰りなさいませ。そしてはじめてお目にかかります、かわいらしいお客様方、ようこそいらっしゃいました。私はこの家の執事でバトラーと申します」

バトラーが出て来てペコリとミーちゃんとサーちゃんに挨拶した。


ミーサーちゃんがペコリと、あせあせしながら頭を下げているのをぼんやりと見ていた。


「アール様、後でまたお会いしましょうね。今はゆっくりお休み下さい……」

タリルがまた、頭をよしよしと撫で、そっと耳元で囁いた。


「ふぇ?はい……あとで……?」

なんだかよくわからない……まぁ……いいか……


「あらあらあら……アール様……」

リリスの声が聞こえた気がした……。



「アール様」

リリスが優しく声をかけたが返事がなかった。

……初めてのお使いで御領主様の代行をされたのですもの、お疲れになって当然ですね……


「アール様はお休みになられましたので、私はお部屋にお運びいたしますね」

よいしょっと抱き直し、背中を撫でながらそう言った。


「皆様、アール様が起きられましたら応接室にお連れいたします。その間お寛ぎ下さいませ。バトラー、後はお願いしますね」

後のことはバトラーに任せた。

バトラーがコクリと頷いた。


「申し訳ございませんがアール様はお疲れのようですので、しばらくお待ちいただけますか?皆様もごゆっくりなさってください。私が案内させていただきます。どうぞこちらへ」

ささっと案内を申し出、バトラーが応接室へと一同を案内した……



執務室ではトムソンが一人で机に突っ伏して唸っていた。


「う~ん」

さて、大変な事になった。

せっかくもう渡すだけとなっていた報告書に追加事項ができてしまった。

「追加……?いや、これはもう、一つの事件じゃないか……?」

トムソンがぶつぶつと独り言のように呟いた。


執務室で書き上げた報告書を前にぼんやりと空を見つめていると、コンコンコンとドアが鳴り、バトラーが入ってきた。


「トムソン、報告書の作成は出来たか?」

と聞かれた。


「……はい。事前に言われていた広場でのものはこちらです……」

分厚い報告書を渡した。

まずはざっとバトラーにチェックしてもらわなければならない。


「……ですが……あぁぁ……オレは……うぁぁ」

市場を出る時、何故か見知らぬ双子を一緒に連れて帰る事になり、理由を聞いた。


アール様は「おともだちです!」と、にこにこ元気に答えてくれた。

いや、経緯を聞きたかったんですが?

そんなオレの戸惑いを無視して、さっさと双子を連れて乗り込んでしまわれた!


助けを求めるようにタリル先生に聞いたら、「アール様が偶然出会った双子を気に入ったので連れて行くそうです」と、こちらもニコニコと言って馬車に乗り込んだ。

え?それだけ!?


パッとナルコス先生を見たら、オレに聞くなとばかりにジロッと睨まれた。


何もわからない!


どいつもこいつもとんでもない事をやってくれちゃってないか?

もちろん主にアール様がやらかしてくれたのだろうけれども!

自分は馬車にいたため直接見たわけではない。皆に話を聞いて纏めなければならないのに……。


……ああ、気が重い……あの人たちはまともに話してくれるのだろうか?あの人たちというか、ほぼタリル先生しか頼れない気がする!あの人もなぁ……変わり者だしなぁ……。


ほんと、あの双子はなんなの?どうしてこの邸にまで連れてくるの?この館に入るって、ハードル高いはずなんだけど。御領主様がいないってのに、ぽっと出の見知らぬ異人を連れて来ていいの?

馬車で待っていた時、風の噂で聞いた黒髪の女神はもしかしてアール様ではないだろうか?何があってそうなった!?

聞きたくないが聞かなければいけないことが山のようにある、気がする!


「なんだ?トムソン、どこか具合でも悪いのかね?」

何も知らないバトラーが怪訝な顔で聞いてきた。


「違います。そうじゃなくて……はぁぁ」

大きなため息が出た。


「あの……実は報告をしなければいけないことがまた別にありまして……」

歯切れ悪く、そう報告した。


「ああ、そうだろう。こちらの報告書にはあの双子の事は書かれていない。町に寄られたようだが、何があったのかさっぱり書かれていないものな」

憮然とため息混じりにそう言われた。


「申し訳ありません。でもオレのせいじゃないですよ?オレは馬車の見張りをしなきゃならなかったし……」

そもそも町に寄る予定では無かったのだ。

買い物したら直ぐに帰ってくると思ってた。


「言い訳はいらん。早く報告書を出したまえ。アリステア様がお戻りになられる前にチェックしなければならないのは、私なんだからな」

ポンポンと渡した報告書の束を手で叩きながら催促された。


「うぅ……そんなぁ……」

無理な気がしてきた。

まさか初日からイレギュラーなんて運が悪すぎないか?


「いいか、トムソン。今日はお前のデビュー戦だ。今後お前が使えるやつか、そうでないか判断される大事な日なんだぞ?お前はその若さでアール様のお付きになれるかもしれないチャンスを頂いたんだ!泣き言を言ってないでさっさとはじめる!ほれ!」

ドンッと新しいノートを渡された。


「……期待されてるんだ。それに報いるのがお前の仕事じゃないのか?領主様のお抱えとしてやっていきたいのなら、そのくらいのプライドがなくてどうする?」

ふんっとバトラーが髭を触りつつ宣った。


オレの仕事……プライド……そうだ、ここまでくるのにオレだって頑張ったんだ!


「……バトラーさん……オレは…………そう、そうですよね……皆さんは応接室ですよね?」

今はまだオレの代わりなんていくらでもいる。仕事に苦手意識や好き嫌いを持ってどうするんだ?せっかくのチャンスをフイにしたら母さんにどやされるぞトムソン!


「ああ、今リリスがお茶とお菓子を持って行ってるだろう。聞くなら今だぞ」


バトラーがカタンと椅子に座り、机に報告書を広げペンを持ち、チェックしながらトムソンに行くように促した。


「はい!ちょっと行ってきます」

オレだって一人で仕事が出来るところを見せないと。アール様付きといえばトムソン!ってならないとな!


「ああ、行ってこい」


トムソンがペンにインクを足し、新しいノートを持ち、気を取り直して応接室に向かった。


「やれやれ……」

出ていくトムソンの背中を見送りながら、ふーっとため息をはいた。


……いよいよアール様が動き出された。

これから大変だろうが頑張れよ、トムソン。

心の中でエールを送った。




応接室に案内された4人はそれぞれ物思いに耽っているのか、誰も話していなかった。

シーンとして、なんとなく緊張を孕んだ空気が漂っていた。


特に、はじめてこの舘に入ったミー、サーはドキドキだった。

頼りになるアールがおらず、怖い顔の人族と得体の知れない愛想のいいエルフと対面して、緊張せずにはいられなかった。


コンコンコンとドアを叩く音がしてメイド長のリリスが入ってきた。


「失礼いたします。お茶をお持ちいたしました」

リリスがチーズケーキと紅茶を用意し、皆に持ってきてくれた。


温かい湯気がたちのぼり、紅茶からいい匂いがした。

場の緊張がふっと和らぎ、コポコポと紅茶を注ぐ音が部屋に静かに響いた。

メイド達がお茶とケーキを配ってくれた。


「半時ほどでアール様もお目覚めになられると思いますので、どうぞ、こちらお召し上がりながら、お待ちくださいませ」

リリスがそういいながらケーキに柑橘系のいい香りのする刻んだラモンを添えていく。


「ほう……これはラモンの砂糖漬けですか……いい香りだ」

紅茶とよく合うふうわりとした芳香になんとなくリラックスしたタリルが言った。


「はい、お好みでお召し上がりください。紅茶に入れても美味しいのですよ」

にこりと笑いながらそう言った。


「ナルコス先生はこちらどうぞ」

ラモンを配ると同時にミントを添えた。


ラモンの甘酸っぱさに爽やかな爽快感が加わり、さっぱりとした味わいになるのだ。

甘いのが苦手なナルコスにぴったりだろう。


「……ありがとう」

と言って頭を下げられた。


「いえ、どうぞ」

……この人はメイドの自分にも、いつも丁寧なのだ。

アール様ではないけれど、好感が持てるのは分かるわ……


「ミーちゃんさん、サーちゃんさんもどうぞ、お召し上がりくださいませ」

リリスがにこっと笑って、二人のお皿の上に生クリームを山盛りに添えてくれた。


二人はリリスの優しい笑顔にほっとした。

「おいしそう」

「いただきます」


こういうのは食べた事がないのか、二人とも目をキラキラさせながらパクパクと食べだした。


初めてアールが招待したお友だち?だ。

この場にいないアールの代わりに自分が場を和ませ、せっかく出来たお友だちなのだから、居心地良くしてあげたい。

そう思いながら給仕をしていると、コンコンコンコンと、誰かがドアを叩いた。


「トムソンです。お話をお聞きしたいのですが、お時間よろしいでしょうか?」

カチャリとドアを開けると、記録係のトムソンがノートを抱き、神妙な顔をして立っていた。


「皆様、お寛ぎのところ失礼いたします。先ほどの定期市でのお話をお伺いしたいのですが……あ、お召し上がりながらで結構ですので……お願い、できますでしょうか?」

入るなり大きく息を吸い、一気にそう言ってノートを取り出した。


「ええ、大丈夫ですよ」

ニコニコとタリルがラモンの砂糖漬を入れた紅茶を飲みながらこたえた。


「!!ありがとうございます!」

良かった!どばかりに、トムソンが勢いよく頭を下げた……。




「アール」

柔らかいふわふわが顔を叩いた。


「んー?あ~ワタアメェ~?」

ふわふわで気持ちいい……甘い匂いがする……あもっと口に入れてみた。あれ?甘くない……


「アール!」

ぺしぺしともふもふがふわふわした。


「ふへへへへへ」

気持ちいい……ペロペロ舐めてみた。


「アール!起きろ!」

ぱふん!っと顔全体がモフっとしたフワフワで覆われた!


「ふへ!?い……息が……!」

あれ?出来る。パチッと目が覚めた。


ん?あれ……俺また寝てた?

んん?ここは…………自分の部屋だな……。



──マールー起きた?


……あ、エル。まーたお昼寝しちゃったよ。ほんと、マジで5歳児だな。あれ?お前ずっと起きてたのか?


──つられて寝てたよ。さっき起きたの。アールになっちゃおうかどうしようかと思ってたんだけど……考えてるうちにモフが起こしちゃったね


──あ……そうか、あれモフか。ワタアメかと思って舐めてた。どうりで甘くないわけだ


──そりゃモフだしねぇ。どんな味だった?


──ん?んー……味はしなかったな。匂いは甘かったんだけどなー



「アール、起きた!早く下に行こう!コンソメスープとクッキーと食べに行くぞ」

モフが頬をぺしぺしとはたくのが心地良い。

ぎゅむっと抱きしめたら、モフがキュッとなった。


「んー行くかぁ~しょうがないなぁ~」

ぎゅ──っとしたら「きゅび──」っと鳴いた。


「そうだねー。約束だったもんな~モフ!ん~もふもふー!」

すりすりとモフに顔を擦り付けた。

あー至福のもふもふ……キモチイイなぁ……



コンコンコンとドアが鳴った。

あ、たぶんリリスだ。

このナイスなタイミングで来るのは間違いない!


「はい、どうぞ!起きてますよ」

ガバッと起き上がり、ぴょんっとベッドから降りた。


「リリスです。入りますね」

やっぱりリリスだ!

カチャっとドアが開き、ニコニコ顔のリリスが入ってきた。


「リリス!ボクねちゃった。はこんでくれてありがとー」

トットットッと走ってリリスに抱きついた。


「まぁ……くっ……なんて愛らしいっ……」

ぷるぷると震えつつ頭を撫でてくれた。


へへ~やっぱりリリスはほっとするな。第二の母さんだもんな。

エリザベート母さんはどうしてるだろう……父さんも……あ、もう帰ってるか?


「私は当然の事をしたまでですよ。アール様、お疲れ様でした。下で皆さまもお待ち」

「リリス!とーさまと、かーさまはおかえりですか!?ボク、ちゃんとできたんだよ。おともだちもできてね、あのね、いっぱいいろいろあってね、ほーこくしないと……」

矢継(やつ)(ばや)に言葉を紡いだ。


「……アール様……申し訳ございません。アリステア様もエリザベート様も……お二人ともまだお帰りではなくて……リリスが代わりにお聞きしてよろしいでしょうか?」

ちょっと悲し気に、申し訳無さそうに言われ、ハッとした。



──あれ?今って何時だ?


──え?太陽が……真上より傾いてるから……昼の3時くらい?


──なぁるほどぉ……まだ帰ってきてるわけないな。寝ちゃったから感覚ずれてるよ


──だね~。今リリス、下で皆が待ってるって言おうとしたんじゃない?そうよ、ミーちゃんとサーちゃん招待したじゃない!


──あ、そうだったな。よし、エル、交代するか!


──うん



「そうだよねーまだあかるいもんね~。リリスー、したにミーサーちゃんもいるんだよね?」

抱きつき、よしよしされながら聞いた。


「はい、おられますよ。今、皆様にチーズケーキと紅茶をお出しして……アール様の分もございますよ。もちろんモフさんの分も……モフさんいらっしゃいますよね?」

キョロキョロとモフを探している。

ベッドにちょこんと座っているが、見えないのかな?


「ここにいるぞ!チーズケーキ?何だそれ?リリスが作ったのか?」

パアッと可視化したモフがパタパタっとリリスの側に跳び降りた。


「あら、モフさん。やっぱりここにいたのね。そうですよ~私が作りました!チーズケーキはチーズのケーキで、クッキーより柔らかいのです。ふふ、食べたいでしょう?」

いたずらっぽく笑いながらモフをからかうリリスは、さすがメイド長、すっかりモフを手懐けたみたいだった。


「食べる!」

ぴよーっと嬉しそうに鳴きながら頭に昇ってきた。ふふふ、カワイイ!


モフって結構人が好きなのかな?

タリル先生にもミーサーちゃんにも懐いてたし。ナルコス先生には……うん、違うかな。死なせるところだったもんね。



──あ、もしかして魔力高い人になついちゃう?リリスはそんなに高くないけど、餌付けされちゃったっぽいし。まぁ動物はね、餌に弱いものね……


──モフって動物なのか?自称精霊だろ?精霊って動物の枠に入るんかね?……食べ物に弱いのは証明されてるけどな。ほんとわっかんない生き物だよな~モフって……まぁカワイイから何でもいいけど


──そうね、カワイイは正義!話せてカワイイ鳥だもん。ただそれだけでいいのよ。正体なんて関係ないわ



「じゃあ、ボクもモフといっしょにしたにいきます。リリスもいっしょにいこう!」

むいっと手を出してリリスの手を握った。


「はい、アール様。下にトムソンもおります。一緒にお話、聞かせて下さいね」

そう言うリリスとお手々繋いで、頭にはご機嫌に歌っているモフを乗せて、仲良く応接室に向かった……




ふはははは。

初日から何にも話が進みませんでした。相変わらずのスローですが、これには意味があるのです!たぶん!

幸せな幼き日々はその人の根幹になるんだよ。三つ子の魂百までって言うよね?

愛されマルエルでした。


がんばれーマルエル~!


まだまだ続くよー( ^ω^ )

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