第31話 毒にも薬にもなる
お待たせしました( ≧∀≦)ノ
なんとか復活しました!
アールのキュアリングが活躍中!
強すぎる魔力は毒にも薬にもなるみたい?
この先どんな事をしでかすのか、楽しみね。
がんばれーマルエルー!
ゆっくり魔力を流していく。
おお!?前とは全然違う!
前はほとんど無かった魔力を、今はしっかり感じ取れたのだ。
──エル、これ、やっぱりナルコスの体質変わってるんじゃないか?この魔力の量だと前とは全然違うと思うぞ
──ええ、はっきり見える……面白いわね、ほんとに……膝においた魔力の塊はどうなってるのかな?
──ちょっと待てよ、今見てみる……あれま、消えてるぞ……?
──ほんとだ……消えてるわ。でも、じゃあどういう事なの?解毒したんじゃないって事なのかな?
「うーん……」
一旦膝から手を離し、考えてみる。
モフの石は強力だった。
俺が置いたキュアリングは少量だった。なんとなくそこら辺に消えてしまったキュアリングの謎がありそうな……?
──そう言えば、ナルコスがモフの石を食べた時、なんか痛そうな顔をしたよな?こう、胸を押さえてしばらく深呼吸してたろ?
──そうだったわね。あ、じゃあやっぱり毒にやられてたってこと?
──毒>キュアリングだったのかも。だからキュアリングが全部消えたのか……?
──ねぇ、もしそうならまだ毒が身体に残ってるんじゃない?毒の痕跡を辿ってみれば何かわかるかもしれないわ
──よし!じゃあやってみるか
「ナルコスせんせー。おひざにのっていーですか?」
きゅるん!っと目をぱちぱちして手を合わせ、かわゆくお願いした。
「……何故?」
またかよ!さっさといいって言えばいいのに。どうもナルコスにはアールのかわいい効果が薄いんだよなー。
「モフのイシのまりょくどくが、どーなったのか、しらべてみたいんです。タリルせんせーのときみたいに、ぜんたいを」
今度は全体を診ないといけない。タリルの時のように抱きついた方が早い。
ナルコスはデカイから膝に乗った方が届くだろう。
「ああ、なるほど。分かった」
納得したようで、ひょいっと抱き上げ、ちょこんと膝に乗せてくれた。
おお、視界が高くなったな。
「しつれーしまーす!」
ぎゅっと抱きつき、魔力を流した。
すぐにはっきりと魔力の流れが見えた。
心臓を中心に血液の流れに沿って魔力が流れている。
──わぉ!これ、完全に魔力持ちになってるじゃん!ちゃんと心臓に魔力を生み出す何かがあるぞ!
──ほんとだ!新しい回路が開いた感じね!えー?すごくなーい?アールってばやっぱり天才じゃない?
──まあな!偶然といえば偶然だけど。モフの石がなければ、こんなことにはならなかっただろうし……でも、まぁいい。新しい発見なんて偶然の産物も多いしな!よし、じゃあ全身探っていくぞ
──あ、ちょっと待って。ねぇ、なんか小さなぐるぐるが点在してる気がするんだけど?……しかもなんか今までと色が違うわ……紫かな?
──うわ……ほんとだ……なんか、禍々しいぞ。あちこちにあるし、これって解毒しきれなかった毒じゃないか?さっきまで無かったろ?
──ええ。これ、放ってたらどうなるんだろう?いずれ体外に排出されるのかな?
──わからん……あ、でもこれ、タリルの時と違ってゆっくり流れていってるみたいだぞ?ほら、魔力の流れに乗って心臓の方に向かってる
──うん……やっぱり消した方が良いよね。毒だとは思うけど……このぐるぐるは、身体に悪いものに違いないわ……ヒーリングで消せるのかな?
「……タリルせんせー、げどくするのはヒーリングでいーんですか?」
即効性ならヒーリングだけど。
「軽いものなら大丈夫ですが……解毒・消毒魔法として“タトヒール”があります。ただ害をなすものが何なのかによりますが……」
「おしえてくれて、ありがとーございます!」
──消毒魔法だって!やっぱりあるんだな。害をなしてるのは明らかにモフの石の魔力毒だもんな。正体がわかってるからタトヒールか?
──いいんじゃない?キュアリングとタトヒールの併用よ!
──OK!やるぞ
トンと心臓の辺りに手を当てた。
「キュアリング」
あの小さなぐるぐるが心臓に到達する前にとりあえずキュアリングした。タリルの時と同じように、心臓に魔力の塊を置いた。
あーんど、
「タトヒール」
小さなぐるぐるめがけて消毒魔法をかけた。
とたんに魔力と魔力がぶつかり合うような感覚が、触れている手に伝わった。
──どうだ?
──うん、消えてるね。今の感覚なんだか不思議たったわ。まるで……そう、あれよ!ハエタタキでハエをやっつけた感じね!ビシッて
──ああ、殺虫剤的な?なるほどな、タトヒールは殺虫剤と思うと分かりやすいか
──ふむふむ、殺虫剤も色々あるものね……でも……なんだか感じ的には、こう、毒を成している核を壊す?みたいだったわ
──ふーん、そうなのか~?まぁ、俺は消えたらなんでもいいけどな!難しい話はお前に任せるわ
「うん、もうだいじょーぶですよ!これでちをはいてたおれることは、ないとおもいます」
熱も脈も呼吸もOK。顔色も大丈夫だ。
良かった!モフのせいで病人を出すなんてはめにならずにすんだ。あの感じだと放っていたら時間差で何かしらの影響があっただろうから、未然に防げて良かった良かった。
「アール様、何をされたのかお聞きしても?」
タリルがニコニコと聞いてきた。
そうだよな、タリルは聞きたいに違いないな。任せろ、うまく説明できるかわからんけどな!
「はい!モフがあげたイシで、どくがまわってました。それでもナルコスせんせーがイシでたおれなかったのは、キュアリングをさきにかけていたからです、たぶん」
でなけりゃキュアリングが消えているはず無い。アールの万能キュアリングが相殺したんだよ。
「ほぉ……」
感慨深げにタリルが呟いた。
「キュアリングが、はいってきたどくをやっつけて、なくなったから、けせなかったどくがのこってたので、タトヒールしました」
あーちょっと何言ってるのか自分でも分からなくなってきた。
「そう……ですか……んん?」
タリルがちょっと考え込んでいる。
……通じなかったか?エルに代わってもらった方が良かったかな?
「……つまり、アール様のキュアリングがモフさんの石の毒を消し去ったのですね?」
おお!ちゃんと理解してくれているじゃないか。
「そうです!でもぜんぶじゃなくて……」
「なるほど、強い魔力だったので、全ての魔力毒は消し去れなかった……それでタトヒールで残っていた毒を消し去った……という訳ですか?」
流石タリルだ!アールの言いたいことを上手く纏めてくれるな。
やっぱり亀の甲より年の功だろうか。伊達に長生きじゃないなー。
「ザッツライッ!さすがタリルせんせーです!」
「ザッツライッ??」
何ソレ?みたいな顔をされた。
あ、そうか、これって英語か。
「あ、せーかいといういみです」
子供は自分の言葉を作ったりするからな。別に変なことはないだろう。
「なるほど“ザッツライッ”ですか。どこから出てきたのかわかりませんが、いい響きですね」
ほらな!やっぱり問題なかった。
「あ、それとナルコスせんせーにひとつほーこくがあります」
そうだよ、こちらもナルコスにとって大切な報告だ。
何せ根幹が変わったんだもんな!
「なんだ?」
怪訝そうな顔をした。
「ナルコスせんせーは、まりょくもちになってます!」
どう?凄いだろう?
「…………どういう事だ?」
驚いたように目を見開いたが、すぐに険しい顔になった。
「んーたぶんですけど……モフのイシのマリョクにたえられたから、マリョクかいろができたんじゃないかなっておもいます。だからスライムレンクがおいしくかんじたんですよ!」
どや顔をした。
今まで苦手だったスライムレンクが、何故美味しく感じたのか謎を解いてやったぜ?
──アールのキュアリングのおかげだよな!
──ほんとにね。ほとんど無い回路を開いちゃうくらい、即死レベルに近い強い魔力に立ち向かったって、すごいわよね!
「……そんな事があるのか……?」
呆然と呟いた。
驚いてるんだろうけど……今度は無表情だなー。
逆に衝撃的過ぎて感情が何処かへ行っちゃったのか?
「さぁ?わかりません。でもナルコスせんせーにまりょくかいろができてるのはまちがいないですよ。さっきかくにんしました」
──魔力が強い訳じゃないけど、ほとんど無かったものがこれだけしっかり繋がったんだからな。まだまだ強くなれるんじゃないかと俺は思う
──うんうん。つまり魔力はやり方次第で増やす事が出来るってことよね!魔力が強くなるって事は……あれ……?人族から離れちゃわない? ……新種誕生?
……あー……わからんけど……どうなんだろうな?基準がわからん!魔力持ちの人族が皆無って訳でもないだろうし……まぁ細かいことは、やってみなけりゃわからないだろう。いいんじゃない?やれるとこまでやってみてさ。なるようになれって事で。どうせ先の事は分からないんだしな
──そうよね~考えても分かんないもんね!何せアールは5歳だし!やらかすのがお仕事みたいなものだものね。こちらの世界の常識とかそこらへんは、タリル先生に任せておきましょうか 。二人とも自ら実験体をかってでてくれたわけだしね。うわ~なんだか何処まで魔力を増やせるのか、楽しみになってきたわ!ついでにアール自身も増やせるか実験してみようっと。うふふ
──お前ってやっぱりタリルと気が合うはずだよな……マッドサイエンティストの素質あるぞ……俺は……普通に身体鍛えるかな~
「よかったですね!ナルコスせんせー。まほーけんしになれるかもですよ!」
新たな剣士への道がひらかれたんだ。感謝してもらいたいよな!
「……いや……何がなんだか……」
どうやら自分の身に何が起こったのか、急な変化に戸惑いが隠せないようだった。
──うーん、でもさ~突然自分の身に予想もしないことが起こるなんて、よくあることだと思うんだ……何せ俺たちは、災害に巻き込まれて、死んだと思ったら神様に助けられて、転生したらまさかの一つの身体に転生してたっていうな!そんなん有り得ないだろってなるよなー
──だよね~。想像を遥かに越える出来事だったもんねー。魔力が突然増えて種族が変わるなんて、些細なことに思えるわね……あ、でもさ、突然変異ってあるわけじゃない?この世界ではそういう事がきっとよくある事なのかも!そうなのよ、たぶん、わからないけど!
──だよな!特別に珍しい事じゃないに違いない。俺もわからないけど!
「べつにだいじょーぶですよ?たいしてかわらないとおもいます!」
俺たちは変わらないもんな!
うんうんと一人(二人)で納得した。
「……アール様……」
タリルが何とも言えない複雑で微妙な顔をしていたが、気にしない事にした。
どうせ気にしたって分からない。
この世はまだまだ分からないことだらけだ。
分からないことは、これから学んでいけばいいだけだ。
どうせエルフの人生はとても長い。時間はたっぷりあるだろう。
「アールって……」
「……5歳?」
ミーちゃん、サーちゃんがぽけーっと俺たちのやり取りを見ながら、ポソリと交互に呟いた。
驚いているのか、目がまん丸になって、何故か頭のてっぺんの髪の毛が逆立っていた。
なんだかモフの鶏冠みたいで……二人とも鳥みたいだな。
「はい!このあいだ、たんじょーびでした!」
元気にこたえた。盛大な誕生日パーティーが行われたぞ!
モフは……飽きたのか、木の上で寝ていた。
うん、ちょっと普通のでっかいまん丸な鳥みたいでかわいいぞ!
ああ、モフりたい!馬車でモフモフをモフモフしよう。
ざっと周りを見回し、確認した。
……うん、よし大丈夫!誰も怪我してないし、皆特にこれといった問題は無いみたいだな。
まぁ、ナルコスがちょっとアレだけど……別に病気や怪我じゃない訳だから、なんとかなるだろう。奴は強いし、まだ若いから大丈夫、すぐ慣れるさ。
後はここを片付けて、帰るだけだな!
「とちゅーになっちゃってましたが、のこりのスースと、スライムレンクをいただきましょーか!いただきます!」
スライムレンクにも慣れた。
炭酸だと思えば美味しくいただけそうだ。
今度暇があったらスライムレシピを考えてもいいかもしれないな、エルが。
そんなことを考えながらスライムレンクを飲んだ。
アールはご機嫌でニコニコと食べていたが、他のメンバーたちは複雑な思いをそれぞれ抱いていた。
タリルは目の前で、信じられない出来事が連続で起きている事実を、脳ミソをフル回転させながら把握しようとしていた。
ナルコスは自分の身に何が起こっているのか正確には理解できないまま、得体のしれない何かに巻き込まれたような、そんな感覚を払拭出来ずにいた。
ミーちゃんとサーちゃんは……
アールなら、きっと自分たちを助けてくれるだろうとの、何故だか確信めいたものを感じていた。
あとはどうやって自分たちの事を伝えるか、 自分たちが何が出来るのか、真剣に考えようと思っていた。
モフは木の上で何か夢を見ながらうつらうつらしているようだった。
精霊が夢を見るなんてことがあるのだろうか?だが、モフは普通の精霊では無いことは薄々皆も気づいているだろう。
その頃、トムソンは馬車の側で報告書を纏めていた。
今日の広場での出来事だけでも、既に分厚い報告書になっている。
アール様はやっぱり領主様のお子さまだとつくづく思った。
領主様も思いもつかないような事を平気でやってしまうような肝っ玉の座られた方だ。
アール様はどうやらその血を色濃く受け継いでおられるようだった。
「いい天気だなぁ……。町の人も賑わってるし……。皆様もそろそろお戻りになられるだろうか?」
ピーピーと何処からか鳥の鳴き声がした。
青い空を仰ぎながらのんびりと一時の平穏を満喫していた。
一行が戻って来たあと、町での出来事を教えられ、とんでもなく大変な出来事の報告書を書くはめになることなど、トムソンはまだ、知るよしもなかった……。
すっとぼけたアールですが、なんでやねーん!って突っ込みを入れながら読んでいただけたら幸いです。
のほほんと更新予定です。
のほほんとお付き合いいただけたら幸いです。




