第30話 黒髪の美少女の噂
のほほんと進行中です(´ω`)
タリルの思惑通り?いえいえそれ以上に噂は広まっているようです。そうは言っても噂は噂だけどね!
モフの石は最強にして最凶?
がんばれーマルエルー!
今日は、町で定期市がたつ曜日だった。毎週水曜日は朝から市がたち、人々で賑わうのだ。その市場でちょっとした騒ぎがあった。
店に黒髪の美少女が現れると、その店は繁盛し、富がもたらされる。
その美少女は女神の化身なのだとかういう噂が流れたのだ。
そんな噂を鵜呑みにする輩はそういるものではなかったが、黒髪の美少女と聞いてピンとくる者たちもいた。
領主様のお子が世にも珍しい黒髪で、金と銀とのオッドアイだという事だった。
その瞳は輝くばかりで、月の女神の化身かと思われるほどの美しさだと噂されていた。
だが、その子はたしか男の子だったはずだったが……。
直接会ったことのある者はほとんど居なかったため、噂に尾ひれ背びれがついてそこまで大袈裟に称賛されているのだろうと冷めた目で、与太話だと決めつける者たちも多くいた。
だが、実際その美少女を目にしたスライムレンク屋の少年が皆に言いふらしていたのだ!
”黒髪の少女はとてもこの世の者とは思えないほどの美しさで、月の女神の御使いであり、豊穣の女神の化身に間違いない!”と。
だが、いつの間にか忽然と姿を消し、何処にいるのか分からなくなってしまった。
噂が噂を呼び「幻の黒髪の美少女を探せ!」が、商人の間でブームになってしまった!
かきいれ時を過ぎ、人がいなくなってしまえば暇なのか、そんな噂をなんとなく面白がりながら、美少女捜索隊があちこちで結成されていたのだった……。
その頃広場ではそんな事とは全く考えていないアールたち一行が、平和な一時を過ごしていた。
「いーですか?つまり、スライムレンクはですねぇ……」
アールが得意になってスライムレンクについて語っていた。
スライムレンクはスライムを摂取することで魔力を回復させるための飲み物であり、言わば、栄養ドリンクみたいなものであると。
噛むことにより、シュワッとなり、炭酸のように弾けるため、それがスッキリ感につながる。疲れがなんとなくとれていいような気がする程度の飲み物である、と。
パチパチパチとタリルが拍手をした。
「大変よろしいです!アール様」
「えへへ」
にこにこ嬉しそうに笑うアールは年相応でとても可愛らしかった。
「でもいちじてきなものなかんじがします。そのばかぎりのよーな……」
パシュッってなって溶けて消えるんだよな。その瞬間はいいけど、残らない感じがする。
「ええ、そうなんです。魔物を摂取したところで、魔物の魔力が自分の身につく訳ではないんです。一時の補充ですね。時間が経てば自然と排出される借り物の魔力でしかありません。あと、多量に摂取すれば体調を崩します。結局は魔物ですからね。魔物の種にもよりますが大抵は毒になるのですよ」
──うわ!またまた出たわ、この法則!
──ほんとな~。魔物食べときゃなんとかなるってものでもないってことだ。毒って……どうなるのか聞きたくないなぁ~
「じゃあスライムはなまのままでもだいじょーぶなのはどーしてですか?」
「はい。このくらいの大きさのスライムにはまだ毒はありませんが、あともう一回り大きくなると毒を持ち始めます」
タリルの特別授業が始まった。
ピシッと背筋を伸ばし、椅子に座り直した。
「魔力供給目当てで魔物を口にする場合、生が一番良いのですが、先ほど申しました通り、毒も同時に摂取する事になります。食中毒を起こすことになりますね」
なるほど。生物って普通の動物でも危ないもんな。まして魔物だったらそれはそうか。
「はい、しつもんです!なまでたべられるのなら、スライムいりスープとか、スライムごおりとかではダメなんですか?」
スライムレンクだけって、レシピが少なくないか?もっとこう……使い道があるのでは?
「ダメではありませんよ。ですが、スライムレンクは毒はなく、気軽に魔力を摂取でき、子供でも飲めるよう工夫されているため好まれるのですよ。あのパシッと弾ける感覚がジュースと合うのでしょう。気になるようであればアール様が新しい食を開発なされては?」
タリルが興味深い提案をしてきた。
なるほど、新商品開発か!無いならば作ればいい!
「!それもおもしろそーですね」
──炭酸みたいだからジュースには合うのはわかるよな。炭酸のスープは、やっぱ合わないか……
──そうね。見た目だけだと、きな粉とかかけたらわらび餅みたいなんだけどね。動く弾けるわらび餅……あれ?意外とアリかも。新感覚で
──モフも好きだと言うのは、やっぱり魔力供給で……うん?なんか違くないか?アイツはそんなんしなくても自身が魔力の塊みたいなものなんだし、ただ単に味とか食感が好きなのかもな
「ナルコスせんせーはやっぱりマリョクがあまりないから、スライムのはじけるかんかくとかジュースのあまいのとかがいやなんですか?」
「まぁそうだ。……だが……」
黄色のスライムレンクを見つめ、なんだか不思議そうな顔をしている。
「どーかしましたか?」
「いや、何故か以前ほど不味いとは感じない。味がそう甘くないラモンのせいかもしれないが……スライム自体にたいしても……なんというか……」
くいっと手に持っていたスライムレンクを確かめるように一口飲んだ。
「……おいしーんですか?」
「…………ああ……そう感じる……?」
──なんかナルコスに異変があったみたいだぞ!そもそも人族はスライムレンクなんて飲まないんだろう?しかもさっきまで不味いし要らないって雰囲気だったのに
──美味しく感じるってことは魔力が足りてなくって補給されたからじゃない?……といっても魔力なんて元々あまりないんだし、まして使う場面なんて……あ!!
──おう、思い当たること、あるな!
「ナルコスせんせー!さっきモフからもらったイシをたべましたよね?」
そうだよ!あれって馴染まなければ死んでたくらいの強い不思議な石だったんじゃなかったか?
でも何故だかナルコスは馴染んじゃったんだよな?
「……ああ、そう言えばそうだな」
頷きながらそうこたえた。
タリルが、え、嘘でしょ!?って驚いた顔をしてナルコスを見た。
「もしかしてそれがゲンインなんじゃないですか?だってあれ、ふつうのヒトゾクだと、ちをはいてたおれるってモフがいってたし。な!モフ!」
「ん?そうだぞ!よく生きてたな!ナルコス!」
ピヨピヨと、鳴いて宣った。
自分には関係ないよ?ふうに、もう一つスースを取って食べだした。
よく生きてたって……ほんと恐ろしいことを平気でするよな、精霊は!
「……ナルコスせんせー、たいしつ、かわったんじゃないですか?」
どうもそんな気がする。
──だっておかしくないか?キュアリングかける前のナルコスってば全然魔力がなくて血流にキュアリングしたんだぞ?
──そうだったわよね。とてもモフの石に耐えれるほどの魔力は持ち合わせてなかったはず……よね?
「…………どういう意味だ?」
怪訝な顔をした。
「マリョクがふえたんじゃないかなって」
前のナルコスだったらモフの言うとおり血を吐いて倒れてたんじゃないかな?そうじゃなかったって事はそれしか考えられない。
「そんな事はあり得ないだろう?」
ますます怪訝な顔をした。
「そうなんですか?よくわかんないけど……」
ん~やっぱりそんな事はあり得ないのか?ふっとタリルに目をやった。
ヘルプミー!ミスタータリル!
「……普通はあり得ません……ですが、アール様の周りはあり得ない事だらけですので、私もよくわかりません……」
タリルが顎に手を当て考え込んだ。
──あり得ないことだらけってなんだよ?アールはただの……ではないけど、ちょっとだけ魔力の高い可愛い5歳児だよな!
──そうそう!少し前世の記憶があるけど、ちょっと人格が入れ替わったり性別が替わったりするだけで……ただそれだけの可愛い5歳児よね!
自分で言っててただの5歳児ではない気もしてきたが、やっぱりたかだかこの世に産まれて5年しかたってないんだから可愛いい5歳児には違いないのだ!
「ナルコス先生はモフさんの石を食べても大丈夫だったと言いましたね?モフさん、ナルコス先生に食べさせたそれは、どのような石だったのですか?」
タリルがふと顔を上げてモフを見ながら尋ねた。
「ピヨが見えるようになる石だぞ!……ピヨが見える……何か言い忘れて……?そうだ!ピヨより魔力が低い精霊は皆見えるぞ!」
なんと、そんなすごい石だったのだ!
「ええ!?そうだったの!?どーりでちをはくほどつよいはずだね!」
モフの石ってほんとに石なの?精霊が持つ石だから精霊の力が宿ってる精霊石ってなるのか?そんなのがあるのか知らんけど。
「モフ」
「やりすぎ」
ミー、サーちゃんが交互に呟いた。
「それは……驚きです……」
タリルが呆然としてポソリと言った。
「………………」
ナルコスが黙りこんだ。
「?」
モフは“よくわかりません”って顔で、皆を見回した。
まぁな、精霊だし、そんなもんなのだろう。
だが、それぞれが異口同音に驚いたことには変わりない。
つまりアールの常識がないんじゃなくて、こういう事は滅多に無いという事なのだ。
「うーん……」
いったい何が起きたんだろうか?
タリルのように顎に手を当てて考えた。
──やっぱり増えてなきゃおかしいよな?う~ん、突然増えるってこともおかしいのは確かだし……んん?増える要素って……?
──ああ!!ねぇ、単純に増えたんじゃないかも!
──は?どゆこと?
──相殺した?うーん、ちがうかな?魔力を解毒した?
──……ごめん、意味わからん
──ほら、キュアリングってさ、アールの魔力をずっと留めてる訳じゃない?そこにモフの石の魔力が入ってきてさ、解毒しちゃったのよ、きっと!
──!!なるほど、そうか!血流を乱す毒みたいのが入ってきたんだもんな!それに反応したってことか!わぉ!キュアリングすごくない!?え?俺って天才!?
──まだ分かんないわよ?とにかく確認しなきゃだわ!
「はい!!」
思いっきり元気よく手を挙げた!
「!はい、アール様どうぞ」
突然の挙手だが、いつもの事だ。
タリルがいつものように反応した。
ガタンっと席をたち、たたっとナルコスの前に行った。
「あの、ナルコスせんせー……ひざ、さわってもいーですか?……ふへへ……」
ふんすーと鼻息も荒く、手をもきゅもきゅしながら聞いた。
う~早く確認したいっ!
「……何故だ?」
ものすっごい変な顔をされた!?
身体も斜になってるし、絶対NOな感じなんですけど?
しかもまさか……美の化身のようなアールを、虫を見るかのような目で見ている!?
──めっちゃ引かれてるんだけど……なんでじゃい!?
──マル、ちょっとキモいってば!なんでそんな手をもきゅもきゅするのよ?
──あ?だって早く触りたいじゃねぇか。お前確認したくないの?
──いやそれはそうなんだけど、言い方もセクハラっぽいんだってば!
──えぇ?あ~なるほどぉ~。なんかさー、ナルコスって無意識にからかいたくなるんだよなぁ!やっぱり近藤さんに似てるからかな?
パッと手をおろし、真面目な顔を作った。
「ボクがキュアリングかけたのがゲンインじゃないかなっておもうんです。ですのでカクニンさせてください」
小首をかしげ、手を合わせお願いした。
どう?これなら断れないよな?こんなにも可愛いアールなんだからOKしてもらえるだろう。
一瞬ナルコスが目を見開いたが、納得したように頷いた。
「わかった」
よし!
いったい何が起こったのか、確認してやる。
もしかしたらキュアリングの新しい使い方があるかもしれないんだからな!
「ふふ……ナルコスせんせー、かくごはいーですか?」
ニヤリと笑い、じわりと撫でるようにナルコスの膝に手を当てた。
──いや、だからそれをやめい!って言ってるんでしょうがぁ!“なんでやねーん”魔法発動するよ!?
──はい。スミマセン
ポスッと手を置き直し、細く探るように魔力をゆっくり流していった。
作者もキュアリングかけて欲しいです。
最近引きこもってて運動不足……そのため食欲減退……なのに痩せるわけではないのは何故でしょうか?
アールにその謎を解いて欲しい。
( ̄▽ ̄;)




