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第28話 ミーちゃんサーちゃん

謎多き、かわいい双子姉妹の過去をちょこっとのぞいてみました。

二人はエルちゃんのお気に入りみたいです。


謎が謎を呼ぶ……きっと連鎖反応ってやつで、なかなか話が進まないのは、じゃまぴよなので許してつかーさい

(´・ω・`)


マルエルがんばれー!


「ミーちゃん」

「サーちゃん」

二人は手を取り合って再開を喜んだ。

時間的にはほんの少し離れていただけだったが、やはり不安だったのだ。

なにせ産まれてからこのかた、二人は外ではほとんど離れたことがなかったからだ。

見た目もそっくりな二人は、いっしょくたに育てられた。

ミーちゃんはおっとりしているがしっかりさん、サーちゃんはハキハキしているが人見知りさんと性格は違うものの、仲良し双子だった。


自分たちが村を追われ、ここに来たのは5年前だった。


エルフの里はいくつか点在している。

ここはその中の一つ、アリステア・レネ・エルフリッドが治めている里だった。

だが今や“里”の領域を越えて、領と言われるほどまでに大きくなっている。


5年前、領主に待望の世継ぎが産まれたとかで、ここの領主が大改革を行った。

その政策の1つとして、周辺の異種族の者たちにまで移民を許可したのだった。

森への結界が緩められ、あらゆる種族の者を受け入れるというとんでもない事をやらかしたのだ!


もちろん移民をするためには審査があるが、その審査というのが、透明な石を触り名前を言うだけというものだった。ミーもサーも、え、いいの?と思うほどあっさり移民が許された。おかげで自分達もこうしてここで住むことが出来ている。


そのせいかここの里は色んな種族がいる。もちろん住人の8割はエルフだが……それでも他のエルフの里では異種族を極端に拒んでいるので、今のこの領の状態は異例中の異例だった。


直接領主と会う事は無かったが、多くの異種族が交じっているのにも関わらず、特に大きなトラブルもなく過ごせているということは、きっと領主としてやり手なんだろうと思う。


ミー、サーたちは生活の糧として、村を出るときに持って出た宝石や、旅の途中で手に入れた物などを加工して、装飾品として売って生活していた。


その持ってきた物の中でも特別なタンザリー石は、遠く南の方でしか産出せず、しかも空気が薄く、生き物がほとんど行くことの無い高山でしか良いものは採れないため、めったに出回る事はない。

本来なら大きな教会や王族などの装飾品として使われているような物であり、こんな出店ごときで売っていいものでは無いのだが、見映えが良いので客寄せとして置いていた。


……でもそのおかげでモフちゃんと会えたんだもんね


そして、その領主の待望の子というのが、今、目の前にいるこのアールという子なのだった。

そのアールが石の精霊のお友だちだというのだから驚きだった。しかもモフと名付けたのはそのアールだと言っていた。

精霊に名を付け、しかも支配する訳でもなく友だち関係を築いているなんて、信じられなかった。


……領主様も破天荒(はてんこう)な人だと思ったけど、この子もなんだか規格外な感じなんだよね。だからこそ……


以前、馬上にいるアールを見に行ったのは、単なる好奇心だった。ハチャメチャ領主の子どもなんて、どんな子なんだろう?と。

でも今はアール自身に興味があった。


……この子なら、たぶん……

サーちゃんはそんな風に思いながらアールを見ていた。


アールはモフと何やら話していたが、突然腕を振り上げ「おー」とか言っていた。

モフもなんだかお目々がキラキラして嬉しそうだった。



「タリルせんせーモフをホゴしてくれて、ありがとーごさいました」

モフを抱っこして、アールがモフと一緒にタリルにペコリと頭を下げた。


「ピヨ~?」

モフはどうしてお礼を言うのかわからないって顔で、羽をパタパタしながらアールを見ている。その頭をなでなでモフモフした。



──モフはまったく悪びれないなー。まぁ精霊っぽい鳥だからな!よしよし


──ねぇマル、やっぱりタリル先生ってモフが見えるようになってるのね!


──そうみたいだな。木の修復をお手伝いしたり、抱っこしてもらったりして遊んでたからなぁーしっかり認識したんじゃないか?


──モフも別にタリル先生に見つかったからって気にしてないっぽいね。まぁ目を凝らせばアールに見えたんだもんね。一度完全認識すれば見えるのかも?



「いえいえ、見つけてくださったのはこちらのお嬢さんがたですからね。私は少しの間保護したに過ぎません。こちらはミーちゃんさんです。そちらの方は……」

と、タリルがミーちゃんを紹介しつつ、サーちゃんの方を向いた。


「はい、こちらはサーちゃんです!ミーちゃん、サーちゃん、モフをみつけてくれてありがとーごさいました!」

タリルにサーちゃんを紹介し、ミーちゃんとサーちゃんにペコリと頭を下げた。


二人もあわてて頭をペコリと下げた。



──でもどうやって見つけたんだろうな?


──この二人に聞いて……ってのは難しそうだよね……モフに聞いてみようか?



「モフー、このふたりとはどうやってしりあったの?」


「キレイな石売ってた!」


「あーさっきいってたほーせき?」


「そうだ!見たこと無い!探しに行くぞ!」

レッツゴーとばかりに早速行こうとした!


「ちょっとまって、モフ!どこでとれるのわかんないし、ミーちゃんサーちゃんにきかないと……」

そんな貴重な物の産出先を知ってるのか?もし知ってたとしても簡単に教えてくれるかはわからない……。


「うん……とりあえず、モフ!スライムレンクとスースをかったから、しょくじにしない?」



──まずは腹ごしらえだな!ふっ、悲しい事に、もうスースはすっかり冷えきっちゃってるだろうけどな


──ええ、きっとスライムレンクも生ぬるくなってるでしょうしね!うぇ~~……マル~交代しようか?


──ふっ、がんばれーエル~。おー


──でた!気のない応援!



「スライムレンク、ミーサーからもらった!旨かった!スースも食べるぞ!」

早速提案にとびついた!

とりあえず、石の事は後回しになったようだったので良しとしよう。


「そうそう、アール様、モフさんはお二方からスライムレンクをいただいたそうですよ。それで代わりにお礼としてお二方にスライムレンクをご馳走したいのですが」

タリルがニコニコと笑いながらそう言った。


「えぇ……?そうなの……?モフってば……」

ちーんだよ……。



──モフ、二人にたかったのか……金はせびるし物は買わそうとするし……精霊(せいれー)っていうより“やめれー”って感じだな!ぷぷっ


──マル、面白くないよ……


──え?マジで?


──マジで



「ふたりともありがとー!もちろんごちそーさせてもらうね!あの……ミーちゃんもサーちゃんもスライムレンクだけでいいの?なにかほかにも……」


二人はプルプルと顔を横にふった。

わぁ、プルプルがシンクロしてるぅ~分身の術みたい。かーわいい!

なんだかこの二人、ほのぼのするわね。


「「いらない」」


あ、ハモった。


「……そっか、あ!じゃああとでミーちゃんサーちゃんのおみせのそーしょくひんをみせてください!」

にこっと笑ってそう言った。


「わかった」

「後で」

コクコクと頷いた。


あ、またシンクロしてる。うん、かわいいね!



──お土産に買って帰りましょう。二人も助かるし、こちらも楽しいしでウィンウィンよね。お父さんとお母さんと、リリスにもね!


──リリスにはナルコスに買わせたいところだけどなぁー。プレゼント大作戦で。いつか買わせてやりたいな


──だよねぇー……そういえば、ナルコスってモフのこと見えてるのかな?見えてなかったら、一人だけ見えないってかわいそうじゃない?


──別に気にしなさそうだけどな……聞いてみたら?



「ではスライムレンクを買いに行かれますか?私はここで食べる場所を作っておきますね。皆さんで買いに行ってきてください」

と、タリルがそう言って大銅貨1枚を渡してきた。


なるほど、ちゃんとお釣りを計算しろってことね。

「あ、はい、わかりました!おつりはちゅーどーか8マイですね。ではいってきまーす」


流石ですとタリルがニコリと笑い、手を振って見送った。


モフを頭の上に乗せ、四人と一匹で仲良くスライムレンクを買いに行った。


「ミーちゃん、サーちゃんなにいろがいいですか?」


「黄色」

サーちゃんが言った。


「白」

ミーちゃんが言った。


「わかりました!ラモンとヌークですね!」

ラモンはレモン味、ヌークはカルピス味よね!


「ピヨは青!」

え?まだ飲むの?そういえば旨かった!って……旨い……?



──ハッ!そうだわ!スライムレンクの謎がまだ残ってたんだったわ


──おう、そうだぞ!俺は覚えてたけどな!


──あ、そう。じゃあ謎も解けたのね?


──え?いや、それは……まぁまた飲んでみたらわかるだろうけどな!


──ほんとに!?じゃあマルが飲んでね?そんでもって謎を解いてね!はい、交代交代!


──え?俺が?マジで?


──マジで


──ガチで?


──ガチで


──……ぴえーん


──がんばれーマル~


──うん、こういうのを“身から出た錆び”って言うんだな……ふははは……は……



「……じゃあ……さっきのおみせにいきましょーかー」

と、突然アールが下を向き、暗くそう言いながら歩きだした。


「ん?どーした?アール、暗いぞ!」

モフがピヨピヨ鳴いている。


「……別にぃ何でもないよ。あ、そうだ、モフってナルコスに見えてるの?」

モフにだけ聞こえるように、歩きながらコソコソと内緒話しをした。


「見えてないぞ……」


「……やっぱり魔力が少ないと見えないの?」


「そうだ。ピヨがすっごく気を抜いてると見える……やっぱりナルコスは無理だぞ……というか、人族にピヨは見えないぞ」

そうか、やっぱりな。でもなぁ……


「じゃあさ、ナルコスにも見えるようにしてやってよ。モフはジャマピヨだからさ、見えてるナルコスの邪魔ができたらスキルがあがるよ。きっと」

コソコソっと耳打ちした。


「ジャマする……ナルコスを……ケケケ」

!?今悪魔の笑い声が聞こえた気がする!?


「……モフ……今、ケケケって笑った?」


「ん?何のことだ?」

とぼけているのか、ほんとに違ったのか?


「いや……どうする?」

見せるか見せないかはモフ次第だしな。


「ふん!」

と、モフが気合いを入れ、パァと一瞬ほんの少しだけ光った気がした。


「!モフ、そこにいたのか」

ナルコスが今気付いたようだった。そりゃそうか。


「いた、ずっといた!アール、止まれ。ナルコス来い!」

モフがアールの頭の上にすんっと立ち、ナルコスを手招きした。


「なんだ?いったい……」

ナルコスが胡散臭そうに近づいてきた。


「これ、やる。食え」

いつの間にか翼に小さい半透明な石を持っていた。ヌッと口元に食べろという風につきだした。


あ、あれ、前アールが食べた精霊が見える石と似てる。でもあれはもっと白かったような……。


「……なんだこれは?」


「ピヨが分かるようになる!分からなくていいなら食わなくていい!食べたらちょっと痛いぞ……ケケケ!」

モフが悪魔のように笑った!?


さっきのは聞き間違いじゃ無かったみたいだ。

うん、これは絶体何かを企んでるな。


ナルコスが眉間にシワを寄せ、少し考えてからその石?を手に取り、じっと見たかと思うとパクッと食べた!

瞬間、目を見開き痛そうな顔をし下を向いたが、何度か深呼吸をした後は、何でもなかったかのように顔を上げた。


「ふん!」

と、モフがまた頭の上で気合いを入れた。

一瞬ゆらっとしたかと思うと、なんとなく境界が曖昧になったような気がした。


「ピヨが見えるか?」

ナルコスに聞いた。


「……ああ、見える」

驚いた顔をしてモフを見た。


「うまく馴染んだみたいだぞ!よかったな」

ピヨーと鳴いてパタパタとアールの頭に跳んで戻ってきた。やっぱりジャンプなんだね。


「ねぇモフ……なじまなかったらどーなってたの?」

モフに聞いてみた。なんだか嫌な予感がする。聞きたくないこたえが返ってきそうだ。


「血を吐いて意識を失ってた!人族は魔力が少ないからな!死ななくて良かったな、ナルコス!」

ピヨ~と歌を歌いながらとんでもない事を言った!


「ちょっとモフ!ナルコスせんせーをころすき!?」



──いやー!!怖い!また怖い事になってるぅ~!なんて劇薬を何の気無しに渡すの!?


──うぉぉ……モフ……過激だ……。やっぱり予感は的中したな!精霊ってのはほんと人と感覚が違うよな~マジで魔力って何なの?この世界、魔力の無いものに厳しすぎない?



「タリルがいるから大丈夫だ!アールもミーもサーもいる……問題ない!」

ピーヨピーヨピヨと全然気にもとめていなかった。


「……ナルコスせんせー……だいじょーぶですか?」

と、ナルコスに声をかけた。


ナルコスはちょっと放心していたようだが、アールに声をかけられハッと我に返ったみたいだった。

突然ぶっ倒れないだろうか?


「ああ、問題ない。それより早く行くぞ。タリルが待ってる」

何事も無かったかのように歩きだした。


「……そうですね!いそぎましょうー」

まぁ、無事ならいいか!



──ほんと良かった~エルフで!魔力がカツカツだったら、この世界でのんびりスローライフなんて出来なかったよね~


──だな~~マジ犬神様ナイスチョイスだったな!



「アール」

「モフ」

「変」


ミーちゃんとサーちゃんがボソッと呟いた。


挿絵(By みてみん)

いかなかった!話がスライムレンク屋さんまでもいかなかった!

(゜Д゜;)


次回は、きっとだぶんおそらく、スライムレンク屋さんにたどり着けるはず!


気長な方、お願いします!m(__)m

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