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第23話 いい匂いがする!

町の様子はどんなかな?


アールはまだ町を歩いたことはなかったんだよね!ドキドキだね!


ん?何か大切なことを忘れてませんか?

アールくん、大丈夫かな?

(・・;)



今の時間はお昼が過ぎた辺りだろうか。

美味しそうな匂いが漂ってきた。

外を覗いたら、屋台らしきものを発見した。


何か分からない肉を串にさして焼いたものを売っている店や、よく分からないがカラフルな飲み物を売っている店など、道に沿って何件か出店があった。


「タリルせんせー、アレはなんですか?」

聞いてみた。


「ああ、あれはスースの串焼きですね。あとあの色々な色の飲み物はスライムレンクですね」


「スライムレンク!?」



──出た!スライムだ、スライム!まさかの飲み物なのか!?“ぼくは悪いスライムじゃないよ?”って……あのスライムだよな……?


──よくわかんないけど、スライムって言ったら最弱の魔物のイメージよね?こっちでは飲み物の一種なのかな?



「はい!」

元気よく手を挙げた!


「はい、アール様。どうされましたか?」

タリルもアールの挙手に慣れてきたな。


「ボクはスースがたべてみたいです!スライムレンクものんでみたいです!」


スースって何?旨そうな匂いがする。スライレンクって何であんなにカラフルなんだ?これは是非とも食べて、飲んでみたい!


「アール様は(しょく)されたことが無いのですか?」

それは意外だという顔をしている。


「ありません!」

たぶんな!

スースは知らずに食べてたかも知れないが、あんな串焼きは食べたことがない。

スライムレンクなんて見たこともない!

あれ、いったい何なんだ?

タリルの言い方からするに、ごく普通に食べられているものっぽいんだけど……。


「わかりました。トムソン!馬車を停めてもらえますか?」

コンコンコンと窓を叩いて合図した。


「はい!」

馬車を道の端に寄せ、ゆっくり停車させた。

トムソンがドアを開けてくれた。

外に出ると、馬車の中だと感じなかったのだが、意外と騒がしかった。

特に子供たちが集まっており、何かの催しでもあったのかもしれない。


「ばしゃにのっていると、きづきませんでした……ヒトがいっぱいいたんですね」


「ええ、ご領主様の馬車には防音の魔法が付与されておりますからね。聞こえなかったのでしょう」


「え?そうだったんですか?しりませんでした!」



──やっぱり大事な話とかするからかな。盗聴防止とか?


──きっとそうだよね。面白いねぇ~まだまだ領主の秘密とかあるのかもよ?家にだって……隠し通路とかあったりして


──おお!忍者屋敷みたいにか!?あ、それでリリスが隠密スキルを持ってるのか。なるほど!


──いや、わからないから!マルが勝手にリリスがスキル持ちだって言ってるだけじゃない


──いやいや、あれは絶対持ってる!毎回タイミング良すぎだものな


──はいはい。ねぇ、それより早く見に行こうよ!


──おう!そだな



何かを忘れてる気がするが、いい匂いにつられるように串焼きの店と、謎の飲み物の店の方を指差した。

「タリルせんせー。あっちのみせにいってみたいです!」


「はい、そうですね。では行きましょうか」


「私はこちらで馬車の番をしております。お気をつけて行ってらっしゃいませ」

トムソンがそう言って礼をした。


「はい、いってきますね!」

そうだな。こんな往来で馬車を放置する訳にはいかない。番が必要だ。


タリルとナルコスとアールと3人で連れだって、いい匂いのしたスースの売っている屋台へと向かった。


「ナルコスせんせーはスースのくしやきたべたことあるんですか?スライムレンクは?」

ナルコスに質問した。


タリルはエルフの里で売っているものなのだから、当然食した事があるだろう。でもナルコスは無いかもしれない。


「スースは一般的なものだな。よく食べるぞ。野営の時など野生のを刈ったりするしな。今は家畜化してるものもいて、子どもだとそっちの方が柔らかくて好きだという者が多い。スライムレンクは飲んだことはあるが、甘くて……旨いとは思えん。俺には必要ないしな」


なんだ、両方とも食した事があったのか。

スースもスライムレンクも……。やっぱり一般的な物なのか。


それにしても、今気になることを言ったね?


「??ひつようない?」

何だそれは。どういう意味なんだ?


「ふふ、アール様はスースもスライムレンクも食した事がないとおっしゃっていましたね?ではまず食してみましょうか」

タリルが意味ありげに微笑んだ。


ナルコスも面白そうにこちらを見ていた。


「……はい」

なんだか二人とも何かを試すような顔をしている。



──なんだなんだ?面白そうだぞ。謎解きみたいだな!……あ、エル、交代するか?お前こういうの好きだろう?


──え?うーん……いや、人が多いし……やめとこうかな。ふふ、サポート頑張るよ~


──ん、まぁ無理はしなくていいぞ。よし、ここは俺に任せとけ!ジッチャンの名にかけて!


──いや、ジッチャンいないから……



エルと脳内会話をしてる内に店の前に着いた。

肉の焼けるいい匂いがする!

ジュワーという焼く音が、また食欲をそそる。



──おお!遠くから見てたらそんなに感じなかったけど、でかい!一つ一つの肉がアールの(こぶし)位あるぞ!


──うん、それをあんな串で刺して……すごい野性的だね!食べきれないよぉー



「おお!」

すごっ!直火(じかび)で焼いてる。

ええ!?

しかもあれ、どうなってんだ?

手から火が出てる!

あ!火の魔法か!つまり、このおじさんは火の魔法が使えるんだ!

わーなんか、ワクワクしてきた。



──身内以外の人がこんな風に魔法を使っているのを初めて見たわ!そうか、いわゆる生活魔法なのね。こんな風に使うんだー


──ああ、俺の風魔法だって洗濯物乾かすのに便利だもんな


──エルフは多かれ少なかれ魔力を持ってるものね。やっぱり魔法って便利!



「アール様」

夢中になって見ていると、タリルが声をかけてきた。


「はい!」

おっと、二人の存在を忘れていたよ。

……ん?更に何かを忘れているような……?


「では、スースを買ってみましょうか」


「はい!……って、ボクがですか?」

自分で買ったことないんだけど……。


「ええ。何事も経験です」

物事(ものごと)を教えようとする先生の顔で、にっこり笑った。


そうか、そうだよな。

はじめての買い食いだ!なんだかドキドキしてきた。

あ、そういえば!!


「せんせー!!」

手を挙げた。


「はい、アール様」


「ボクはおかねをもっていません!おかねがなくてもかえるのでしょうか?」

ツケとかか?屋台でもそういうシステムがあるのか?それか物々交換とか?


それとも奪って逃げるとかか!?

よし!盗賊スキル発動!


キラッと串焼き(獲物)を見た!



──んな訳ないでしょーがぁー!!持ってないわよ!そんなスキル!


──冗談じゃん!まったく~ジョークが通じないんだからぁ、エルさんったらぁ!



「ふふ、それは難しいですね。お金は私がお渡しします。レッスンの一環ですからね。アール様は計算がおできになるとお聞きしておりますが?」


まぁね、エルなんかバリバリの理系だしね。生活に困らない位の計算は余裕だが……。


「はい、できます!」


「ふむ、では……」

タリルがこちらのだいたいの物の価値とお金の単位を教えてくれた。


この里の平均的家庭の収入はだいたい一月で銀貨15枚位だそうだ。

子供たちはお小遣い制ではなく、5歳から家や近所の手伝いをしながら小銭を稼ぐらしい。だいたい1回の手伝いで、小銅貨1枚から中銅貨1枚くらいが相場だそう。


ちなみにスースの串焼きは中銅貨3枚だ。スライムレンクは小サイズが小銅貨5枚大サイズが中銅貨1枚だった。


単位が馴染みのある十進法なので、分かりやすかった。


それらから考えて、日本円に換算すると、だいたいこんな感じかな?

小銅貨 10円

中銅貨 100円

大銅貨 1000円

銀貨 10000円

金貨 100000円


「では、スースの串焼きを3本買いたいと思います。いくら必要ですか?」

と、タリルが早速算数の問題をだした。


「スース1ぽんのねだんが、ちゅーどーか3まいで、それが3ぼんなので、ちゅーどーか9まいですね」

簡単な掛け算だ。


「素晴らしい、即答ですね!」

はい、と大銅貨を1枚渡してくれた。


「では、これだとお釣がでますが、いくらになりますか?」


「だいどーかは、ちゅーどーか10まいなので、10まいひく9まいで、ちゅーどーか1まいのおつりですね」

単純な引き算だな。


「その通りです……ほんとうに素晴らしいですね。やはりアール様は普通の5歳児とは思えないほど利発でいらっしゃいます!」

パチパチと手を叩いてくれた。



──まぁな、記憶が大人だしな……これで誉められると恥ずかしい


──5歳と考えるとすごいのじゃない?



「では、実際に買ってみましょうか。さぁアール様」

自分たちは少し離れた所で見守っていると言い、タリルに背中を押された。


自然と鼓動が速くなる。中身は大人なはずなのに、やっぱりアールは5歳児なんだと実感する。


「お!いらっしゃい、お嬢ちゃん!ここらで見かけないかわいい子だねぇ!何本いるんだい?」


“お嬢ちゃん”って……いや、ある意味間違ってはいないけど……うーん、やっぱりかわいすぎると女の子扱いになるのか……。


「……あの、3ぼんください」

訂正するのも面倒なので、用件だけいい、お金を渡した。


「毎度あり!じゃあこれおつりね。……3本は結構重くなるけど、お嬢ちゃんに持てるかな?」

袋につめつつ、ちょっと心配そうにアールを見た。


「だいじょーぶです。ありがとーございます」

商品を受け取ろうと手を伸ばし、にこりと微笑んだ。

マスク越しでも笑ったのはわかったのだろう、オヤジがパッと赤くなった。


「いゃあ~お嬢ちゃん、ほんとにかわいいねぇ~!将来相当な美人さんになるよ!よーし、これをサービスしちゃおう!」

と言って、焼き芋をおまけしてくれた。


「ありがとーございます!」

やった!焼き芋ゲットだぜ!


「せんせー!かえましたー!!」

両手で串焼き3本と小袋に入れた焼き芋を抱えて二人の元に戻っていった。


「アール様、よくお一人で頑張られましたね。ご領主様もお喜びになられると思いますよ」

にこにこ笑ってそう言った。


「あ!」

もう少しでたどり着くというところで、串焼きの背が高く前が見えにくかったせいで、何かにつまずき、よろめいた!

まずい!こける!?


横からパッと、ナルコスの手が伸び、肩を支えてくれた。

そのままひょいと串焼きと焼き芋の入った袋を持ってくれた。



──あーびっくりした。串焼きがダメになるところだったぜ


──うん、良かったぁ。でもさーナルコスってこういうところが格好いいんだよね。なんかボディーガードみたいで……


──まぁな。職業柄お偉いさんのボディーガードもやってたんじゃないか?


──あり得るね……



「あの、ありがとーございました!ナルコスせんせー」


ナルコスが黙って頷いた。


すみません。かなり中途半端で終わってます。

町の話が続きます。

お付き合いありがとうございます。


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