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第17話 暴走系魔導師!?

本日よりしばらくまたまた投稿ストップします。

楽しみ(?)に・暇つぶしで・ブクマしてくださっている方々、申し訳ありません!


そしてなんとなく訪れてくださった方々、読んでいただければ幸いです(^_^)


読んでいる内にニヤニヤ笑いをしてしまう、そんな作品を書きたいと思いつつ頑張っています。


スローな執筆ですが、へろ~っと続く予定ですので、お付き合いいただければ作者は泣いて喜びます。よろしくお願いします!


やっと広場に行く……かなぁ?



「…………昨日の事を話さなくてもいいのか?」

ナルコスがコホンと咳払いをして聞いてきた。


はぅ、そうだったよ!何のために早めに来てもらったのか。打ち合わせだろ?


「そうでした!あの、ナルコスせんせーはボクがかぜまほーつかったのどうみえましたか?」


「そうだな、全くコントロールが出来ない力を思わず放ったように見えた」

その通りだ。

軽くなれと思ったら剣が軽くなったのはいいが、込める魔力が多すぎたのか、魔力そのものが風になり、剣筋(けんすじ)に乗ったのだと思う。


「ボク、あんなになるとはおもってませんでした。わざとじゃないってわかりますよね?」

ちょっと首を傾げ、かわいく聞いた。


「ああ、その点は理解している」

軽く頷いた。


「あと、つちまほーでマッドドールをだしたのは?」


「あれは驚いた。先日教わったばかりだと聞いたが、信じられんくらい、上手く操っていたように思った。本来は何回も練習を重ねて出来るものじゃないのか?魔術のことはよくわからんが……」



──だってさ、エル?


──うーん、頭の中でイメトレしてたからかなぁ。実際使うのはタリル先生に止められてたじゃない?こう使えば面白いんじゃないかとか、詠唱って面倒だから式を飛ばして暗算でいいかとか…… 私、暗算得意だしさ



「そうですか……かんがえてただけなんですけど……じっさいはせんせーからダメっていわれてたので、つかっちゃっておこられるかな?」

怒られたくはないよなー。


「それはないだろう。実際あの時お前のマッドドールがなければ広場はめちゃくちゃになってただろうしな。タリルはお前の体調を心配して止めただけだろう?」


ナルコスがいいこと言ってくれた。


そうか、そうだよな。体調は悪くないし、怒られはしないか。


「オレが気にしてるのは、今回の事でタリルが暴走しないかだ」

顎に手を当てて考えてる。

考える人みたい。


「ぼーそー?」

そう言えば父さんも言ってたな。

どういう事なんだろう?そんな破天荒キャラには見えないんだけどな。


「あの人はこうと見込んだ者に対して高度な事を要求するらしい。まぁ弟子として見込んだ者に限ってだそうだが。お前の父がそれを心配していた」


それでナルコスに今日の事を頼んだんだな。



──だそうだぞ、エル?


──弟子かぁ。悪くないけどそこまで時間をとるつもりはないわねぇ。前も思ったけど何かを成し遂げるとか考えてないしー


──そうだよなー


──スローなライフがしたいのー


──だよなー



「わかりました。まるめこまれないように、きをつけます!ナルコスせんせーもちゅういしてくださいね!」

バシッと人差し指を立てて、車のワイパーのように振った。


「丸め込まれるって……お前は何処からそんな知識を得てくるんだ?」

そんな人をくった態度に、呆れ顔でアールを見ている。


「ホンです!」

本さまさまだね!全部本のおかげです。

本のおかげで助かるわ~。ふはは。


「なるほど、本ね……いったいどんな本を読んだらそうなるんだ?俺にもぜひ教えてくれ」

ずいっと身を乗り出し、じっと見つめてきた。


あ、信じてないやつだな、コレ。


この目は初めて会った時の目だ。

こちらを見定めるような……この人勘が鋭いんだよな。

おそらく、何かしら漠然とした違和感を感じているのかもしれないな。

まぁ仕方ないよな。前世の知識を二人分てんこ盛りだもんな。

いいよ、いいよ、別に信じなくっても!


「はい、きがむいたらおしえますね」

しれーっとスルーした。

だって5歳だもん。

あえて空気なんて読まないよ?


「……ほう……気が向いたら、か……」

ギっとソファーに座り直し、背もたれにもたれ、腕を組みこちらを見下ろした。


「はい!」

にこにこして相づちを打った。

年下だと思ったらそういう脅すような態度も怖くなくなった。


「……………………」

じっと探るような目でみられている。


「……………………」

ふふんとモフをくりくりしながら受け流す。


そっちが何も言わないみたいだし?俺からは何も言わないからね?


無言のやりとりがしばし流れた。


俺たちが無言の話し合いをしていると、またリーンと誰かの訪問を告げるベルがなった。


今度はタリルだろう。


耳を澄ますと先程と同じように声が聞こえてきた。

先程より距離が近いせいだろうか、さっきよりも鮮明に聞こえる。


「おはようございます。タリル様」

バトラーが挨拶している声がはっきり聞こえる。二人の会話が聞こえるのだが、どうもおかしい。何故聞こえるのか?



──なんか耳が良すぎないか?と言うか、聞こえるのおかしくないか?ドア閉まってるよな?


──そうなんだよねぇ、何で聞こえるんだろう?


──あ、こっちに来るぞ?どうする?


──うん、交代しとこうか



ドアがノックされ、カチャッとドアが開いてバトラーがタリルを連れてきた。


「おはようございます。タリルせんせー!きょうはわざわざありがとーございます」

パッと立って、ペコリと挨拶した。


「はい、おはようございます。アール様。昨日は大変だったようですね。体調はいかがですか?……優れないようでしたら後日になさいますか?」

アールのマスクを見て、体調が悪いと思ったのか心配そうに聞いてきた。


「いえ、だいじょーぶです。これは、きのーこーふんしたせいで、のどがカラカラするのでよぼーのためです!」

ナルコスに使った言い訳をそのまま使った。


「なるほど、気づかいが素晴らしいですね。さすがアール様です」

にこっと笑って誉めてくれた。


やっぱりタリル先生はいい人じゃない!

アールってば誉められっぱなしだよ?

どうして父さんもナルコスもあんなに警戒するんだろ?


「いえ!あの、タリルせんせーも、おやすみだったのにごめんなさい」

ごめんなさいは大事よね。こっちが悪いんだから。謝罪、コレ、大事。



──そういえばマル、あなたナルコスに謝ったっけ?彼だって今日お休み返上して来てくれてるんでしょ?


──あーいや、謝ってはないな。礼は言ったけど


──そんなだから殺伐とするんじゃない?



「あの……ナルコスせんせーもおやすみだったんですよね?おそくなったけど、ごめんなさいです」

ペコリと頭を下げた。


「……いや、気にしなくていい」

ちょっと!“急に何コイツ?”みたいな目で見られちゃったよ?

もう~マルのせいで、ナルコスの中ではアールは生意気キャラになっちゃったんじゃないかな?



──ほら!タリル先生が怪訝な目でアールとナルコスを見比べてるじゃない!


──いいんだよ。男同士ってのはこんなもんだろ。常にライバル!!


──ちがうから。アールは教えを乞う生徒だからね?


──まぁそれは……そうだけれども……


──いい?ちゃんと敬意を持って接するのよ?ああ、もう、ヤダ~いい子ちゃんアールが崩壊するじゃない。せめてタリル先生の前では優等生でいたいのに……軌道修正しないと!


──がんばれ~


──うるさいよ、マル!



「あの、おふたりともかおをあわすのって、はじめてなんですか?」

話題を変えるのよ!私!がんばれ!



──がんばれ~


──やかましいってば!このギクシャクした雰囲気、マルのせいなんだからねっ



「いいえ、家庭教師を引き受ける際に一度顔だけは合わせてます。ですよね?ナルコス先生?」

にこっとナルコスを見た。


「ああ、顔だけはな」

無表情でそれだけ言った。


え?それだけ?それで終わり?

ナルコス先生……無愛想過ぎないかな?


「そうなんですか」

終わってしまった。

そもそもこの二人、性格やら見た目やら正反対なんだよね……まさに水と油って感じで。

とても気が合うとは思えないんだけど。


タリル先生……にこにこしてるけど、目が笑ってないよね?

どうしよう……?


気まずい雰囲気になりかけたとき、コンコンコンとドアが叩かれた。


「失礼します」

リリスがお茶を持ってきてくれた!


きゃ~さすがリリス!タイミングが……以下同文!


「お茶をお待ちいたしました。どうぞ、タリル先生も一息なさってくださいませ」

一気に場が和んだ気がした。

はぁーリリス、マジ天使!


リリスが運んできてくれたお茶とお茶菓子をいただくことにした。

今日はクッキーを甘いのと塩気のあるのと二種類焼いたらしい。

リリスが二人に説明して、どちらがいいか聞いている。

ナルコスは塩気のある方を、タリル先生は甘いのと塩気のあるのと両方頼んでいた。

もちろん私は甘い方を頼んだ。

なるほど、これなら甘いものが苦手なナルコスでも食べられるよね!さすがリリスね。


リリスがごゆっくりと言いながら退出した。

あぁここにいて欲しいなーと思いつつ見送った。



──はぁーほっとしたぁ。ほんとリリスが天使に見えたよ~


──リリスはいつもタイミングがいいんだよな。絶対隠密スキル持ってると思う。とにかくなんとなく場も和んだし、とっとと広場に向かった方がよくないか?


──そだね。この二人を一緒にすると、あちこちに地雷が発生しそうだよ


──まぁなー。なんか衝突しそうで怖いよな


──不吉な事を言わないでよ。あ、このクッキー美味しいわね。甘いといってもそんなに甘くなくて。レモンかな?爽やかな感じだわ……モフ食べるかな?



「モフ、たべる?」

頭の上のモフを掴んで膝にのせた。

モフはあれだけコンソメスープを美味しそうに食べていた。

きっと食べ物の好みはアールと似てるんじゃないかと思う。



──!?エルさんっ!何をっ!?


──え?美味しいからモフにあげようかと……ふぁあっ!!



「何、これ?たべるのか?」

ペロンと長ーい舌で巻き取り、パクっと食べた!


それはまるで手品のように、ふわっとクッキーが浮いて空中で消えたように見えたにちがいない。


「……え?」

タリル先生が目をぱちくりした。


「……あぁ……」

ナルコスがこめかみを押さえた。



──エルゥゥゥゥ━━━━!!!!


──ギャ━━!!やらかした━━!!



「…………今、空中でクッキーが消えましたよね?」

タリルがキラッと目を輝かせて聞いてきた。


「え、あの、そうでしたか?かぜでとんでいったんじゃないかな?」

うわぁぁぁん!全然ごまかせる気分がしない!


どうしよう?もう、これモフの事言っちゃうべき!?あ、でもここでアレコレしちゃうと問い詰められてめんどくさい事にならないかな!?


「うむ!これ、うまいぞ!もっとよこせ!」

そんな私の内心の焦りを全く気にせず、モフがクッキーをパシュッと取って、ペロンっと食べた。

嬉しそうにピヨッと鳴いて膝の上でパタパタした!

うぎゃぁ━━━━!!



──ぴぇ━━━━ん!!


──俺もぴえ━━━━んだよ……



「ほら!また消えましたよね!?」

タリル先生の目がキラッからギラッに変わったよ!?光る目で、こちらを凝視している!なんか怖い、怖いよぅ!


「あの、これは、ですね、ボクのトモダチが……」

しどろもどろになるぅ~~!

バタバタと手を動かして必死で言い訳を考える。



──エル、代わろうか?俺はやらかすのは慣れてるからな!


──マル~~~おねがい~~


──任せろ!



「このあいだトモダチになった、イシのせーれーがたべました!」

大きく息を吸ってから、元気よくこたえた。


「なんと!!石の精霊ですか!?初めて聞きましたよ!」

タリルが、ふぉー!っと興奮して立ち上がった!



──おぉ、いつも飄々としてるタリルが立ち上がったぞ!


──ほんとだ。タリル先生っぽくないね



「はい!タリルせんせーとひろばにいったときにみた、とりさんです!」


「ああ!そう言えば、何かしら見たと言っていましたね。あれですか?」


「はい!あれでした。トモダチになりました」

えへんっと胸を張った。

アールはすごいだろ?ポシェット修理して友達になってやったぜ?ペットみたいなもんだけどな。


「それはそれは……なんと素晴らしいことだ……驚きました…………まさかここまで規格外だとは…………詳しく聞かせていただきたいですね……アール様……ふふふふふうふふふふ」

何かに取り憑かれたように、ふらっと近寄ってきた。


え?え!?ちょっと、なんかタリルがおかしくないか!?

いや、あきらかにおかしいぞ!目が座ってて怖いんだけど!?


ぬぅっと手が延びてアールを掴もうとした!?


うぎゃ────!!!掴まるぅ──!!


突然、横からバッ!と手が出て、タリルの延ばしてきた腕をガシッ!と掴んだ。


「……落ち着いたらどうだ?タリル先生」

ナルコスだった。


いつの間にかアールとタリルの間に立ちはだかるように移動していた。



──ナルコス!!


──きゃーっ何!?かっこいいんですけどぉ!?



「アールが驚いている。そんな風に迫られたら怖くて逃げ出したくなるぞ?アールはまだ5歳の子どもだからな」


タリルの腕をガッチリ持ち、それ以上踏み込ませないという強い意思を放ちながら、淡々と話すナルコスが、ものすごく頼もしく見えた。



──父さんありがとう!こうなる予感がしてたんだな。ナイスなチョイスだったぜ!


──ほんと、びっくりしたわ。暴走って、こういうことだったのね。こう……蛇に睨まれたカエルの気分だったよ?



「……あなたは知っていたのですか?ナルコス先生」

自分の腕を掴む手をギラギラ光る目でジロッと睨み、上からそっと手を重ねた。

何かしら魔術を使ったのか、ナルコスの手がピクッと揺れ、一瞬眉間に皺が寄ったが、ゆっくり手を離した。


「まぁな。昨日紹介されたからな。とにかく座ったらどうだ?」

そう言いながら、タリルからさりげなく距離をとり、アールを庇うように自分の背に回した。



──マル……私感動したわ。ナルコスってちょっと、苦手だなって思ってたけど、こんな風に守られたら、なんだかお姫様になった気分!


──そうだな。ちょっとキモいぞエル。俺ならこう、下から腕を取ったらぐるっと回してそのまま背負い投げして落とすな。甘いぜ、ナルコス!


──攻撃してどうするのよ!



「…………そうですね。いや、申し訳ない!ちょっと興奮してしまいました。アール様、驚かせてしまい申し訳ありません。許していただけますか?」

頭を下げて謝られた。

いつものタリル先生に戻っていた。


「あ、はい……ボクもすぐいわなかったので……ヒロバについたらいおうとおもってました」


「そうだったのですね。私だけ知らされてなかったのかと思い、ショックで拗ねるところでしたよ?」

およよと茶目っ気たっぷりで、心が痛かった!というように胸に手を当てた。


「ごめんなさい、タリルせんせー」

なんだかこの人のペースに巻き込まれるな。


「アール様お聞きしたい事が山ほどございます。ですが、まずは広場に行きましょうか。修復をして、お話はそれからにいたしましょう」

にっこり笑ってそう言われた。


「はい。ボクもそれがいいとおもいます」

とっとと行って用事を済ませたい。


「では行きましょうか。よろしいですね?ナルコス先生」


「ああ」


やっと広場に行ける。既に十分疲れた。早く終わりたい……


やっと広場に行くようです!

ようやくかよ!! (・・;))


やらかすのはやっぱり双子だね!

エルちゃん大丈夫!やらかし度は、はるかにマルの方が上だよ!


がんばれ~マルエルー!

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