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第1話 転生そして転性!?

※書き直しました。大筋は変わっていません


改めてよろしくお願いします。



━━第1章 第1話 転生そして転性 ━━


一つ一つは時々起こる災害だった。

だが、不幸にもそのいくつもの災害が、重なり大きな災害へと発展してしまったのだった……。


ガラガラガラー!!ドドドドドカーン!!!!!


真っ黒な空から、一瞬他に何も音が聞こえなくなる程の轟音が山全体に鳴り響いた。


「うひゃぁ──こりゃまたすごい雷だな!」

とある町の避難所では、先日から間断的に降り注ぐ豪雨で、幾人かが避難してきていた。

あちこちで山崩れや土砂災害、川の氾濫などの災害がおき、警察や消防も大わらわだ。風もだんだん強くなり、ガタガタと窓を鳴らしていた。

加えて毎年流行るウィルスのせいでソーシャルディスタンスを保たなければならず、アルコールもマスクの数も限りがある中、果たしていつまでここがもつのか……。


“ほんと大変だよー”

思わずふうっとため息が出た。

在原恵留(ありはら える)(29)は普段は某研究所で菌の研究をしている。

昔から胃腸が弱く、ヨーグルトだの納豆だの色々試していた。年齢と共に強くはなったものの、やはり今でも体調を崩す事はしばしばある。そんな自分に合う菌はないかとこの道に進んだ。

もともと実験やら研究は好きだった。色々試せる今の職場はもってこいだった。しかし熱心になるあまり、この年齢になっても恋人の一人もいないのが現実だ。

もう一つの趣味は、ボランティア活動だった。

純粋に困っている人を助けたい気持ちと、少しでもの恩返しの気持ちで積極的に参加している。


今日もここ地元の避難所に手伝いに来ている訳だが……


「はーい!そろそろ皆さんお待ちかねのご飯ですよー」

炊き出しを配りながら声をかけていく。


「はい、水谷のおばあちゃん、ゆっくり食べてね?」

水谷さんは避難者の中でもかなりのご高齢だ。気をつけておかなければ、何が命取りになるかわからない。


「あらぁエルちゃん、ありがとねー。いいお嫁さんになるよー」

昔からエル達をよく知る町のご長寿様だった。


「またぁ。ありがとうね、おばぁちゃん!」

お嫁さんどころか彼氏一人いませんけどね?

にっこり笑って相づちをうった。


“まぁ、いいけどね。私にはマルもいるし。……マル……大丈夫かな?”


鳴りやまぬ雷とゴーゴーと音をたてる暴風に不安が募る。

また豪雨になりそうだ。


“犬神様、どうかマルをお守りください”

エルは自分たちの神様、犬神様に祈った。


“マルは強いし、訓練だっていっつも頑張ってるんだもん。大丈夫!”

一抹の不安を抱えつつ、目の前の仕事をする事に頭を切り替えた。




“すごい雷だったな”

救急に土砂に流され助けを求める人がいるとの連絡が入ったのはかれこれ2時間前だった。

付近はあらかた捜索したが、遺体が一体見つかっただけで、生存者は見当たらなかった。


先ほどまでは雨も止んでいたため作業が出来たが、この真っ黒な空と雷だ。

これ以上続けるのは二次災害を招くだろう。


「近藤隊長!そろそろ一端ひきあげた方が」

在原が声をかけた。


「ああ、そうだな、全員待避!」

隊員を危険にさらすわけにはいかない。

素早く判断し、全員を待避させる。


「よし、在原隊員、確認作業頼む」

「はい!」


在原丸留(ありはら まる)(29)は消防隊員だった。それほど大きくない町ながら、マルはレスキュー隊員でもある。


誰か残っていないか、見落としはないかの最後の確認は彼の仕事だ。


土砂周りは既に何度も確認しているが一応確認しておく。

「誰かいますか!?」

生き物の気配はなかった。ここはもう大丈夫そうだ。

近くに川があったはずだった。

そちらの方も確認に行かないといけない。

足早に駆けていった。


川が見えた。2時間前よりもかなり増水している。

川の濁流も激しく、飲み込まれたら浮き上がることは無いだろう。ドーっと勢いよく流れる音がこだまする。


もしかしたら川上から誰かが流されてきているかもしれない。

そう思い口に手を当て、

「誰かいませんか!?」

声をかけた瞬間、閃光が辺り一面に走った。


ピカッ!!ドドーン!!!ガラガラガラ───!!

すぐ近くで轟音が鳴り響く!


耳がキーンとなった。

どんどん雲行きが怪しくなる空を見上げた。


‘’くそっ!油断したな。耳が痛い‘’


「…………て…………」


戻った聴力に、微かだか声が聞こえた気がした。


ガラガラと鳴る雷を極力意識して耳に入れないようにし、耳を澄まし、集中する。


「…………たすけて…………」


!!間違いない!誰かがいる!!何処だ!?


「助けに来ました!どこですか!?何でもいい!音を鳴らしてください!!」

大声で叫んだ。


耳をすませば、ガンガンと微かに人工的な何かを叩く音が川岸の方から聞こえてきた。


瞬間、音のする方へ走って川岸に降り立った。

周辺を見回すと、大きな岩の上に、1人の子どもが丸くなって座り込んでいた。

‘’居た!良かった!生きている!‘’


「君!大丈夫か!?今そっちに行くからじっとして!」

岩と川岸には細い川が流れている。細くても水が流れている以上油断は禁物だが、助けを呼びに行っていては間に合わないかもしれない。今にも雨が降りだしそうだった。


岩まではほんの数メートルだ。


‘’よし、飛び越えられる‘’

抱えて戻るまで数秒だ。だてに毎日訓練してる訳ではない。

そう判断し、助走をつけ川を飛び越えた。


「うしっ!怪我はないかい?君…………」

岩に飛び移って改めて子どもらしき者を見た。

身体の大きさは子どものソレだった。

だが醸し出す空気が達観した仙人のようだった。


真っ白の着物に真っ白な髪。

目だけが真っ黒で他は全身真っ白だった。


‘’一見少年のように見えるんだけど……今時着物って……なんだか人っぽくないな……‘’


ガラガラガラガラ!!!!!

ザッーザー!!バシャッバシャバシャ!!!!


突然大雨が降り始めた。


“チッ、しまった!”

躊躇してる場合ではなかった。

突然の豪雨に川の水が見る間に増え始めた。


「坊や、俺に掴まってくれるかな?」

とりあえず見た目通りの少年と判断し、背を向けおぶさるように指示を出す。

白い少年はこくりと頷き、黙って背中におぶさった。


ロープで落ちないようにしっかり縛りつけ、一気に川を飛び越えた。

川岸でロープをほどき、子どもに怪我がないか確かめる。

特に目立つ傷は無かった。


「よく頑張ったね。どこか痛いところはある?」

じっとこちらを見つめる目は白目が何処わからないほど真っ黒だった。

「………………」

黙って首を横に振った。


“…………これ……人間か……?”

自分が助けたモノはあまりにも異質な雰囲気を醸し出していた。

小さな身体ながら、発している威圧感に圧倒されてしまう。


「……マル……ありがとう……」


!?俺を知ってる!!!?


「……君……何処かで会ったこと……?」


ドン!!!!っと凄い地響きがした!

地震か!!

足下が揺れ、まともに立っていられない!


‘’また油断した!!今日の俺はダメダメだ!‘’

いや、そんな事を言っている場合ではなかった。

大地は揺れ、ゴーゴーという地鳴りが響きわたっている!


「君!!向こうの…………」

グッと少年の肩を持ち小高い丘の上に連れて行こうとした。


ガガガガガ────!!!!!!

地響きとともに土砂が混じった壁が凄い勢いでこちらに迫ってくるのが見えた!!


!!!間に合わない!!


咄嗟に子どもを抱え、ぐるっと回し、小高い丘の方に放り投げた!


少年はくるくると身体を回転させ、動物のように四つ足で上手に着地した。

こちらを見る真っ黒な目と目が合った。

ハッとしたように手を伸ばし、何か叫んでいる。


‘’……良かった。あそこは大丈夫だ‘’


と、その瞬間、ガシャッという爆発音のような、凄まじい破裂音と共に、恐ろしい影がさした。


ドカッ!!!ガガッ!!!


全身に砂や石混じりの水が散弾銃のうに勢いよくあたり、川に押し流された。


痛えぇ!!

押し潰される感覚とガツガツと当たる石の塊に、メキメキと音が聞こえる。


“があぁぁぁぁ────っっ!!!”

おそらく全身の骨が折れたにちがいない。

あまりの痛みに気が遠くなった。


“安全確保してから行かなきゃ駄目だったのに……初歩的ミスをしてしまった……”

押し流される濁流にのまれ、もう水面が何処かもわからない。

圧倒的な水量と土くれの前に、なすすべもなく、沈んで行く息苦しさと、痛みと、かすみゆく視界を最期に意識がなくなった……



突然ガツン!と殴られたように頭が痛くなった。

“痛──!何?急に痛くなったよ!?こんなの今まで経験した事ないんだけど……”

先ほど地震かと思われる大きな揺れがあった。

こんな災害の中で、さらに地震まであるなんて。

不安な思いが胸に広がっていく。


「在原さん!!ちょっとこちらへ来て下さい!!」

慌てた様子でリーダーの佐藤さんが呼びに来た。顔色が悪い。

ドキッとした。

‘’何?……こんな時に……‘’


「はい!あの……なんでしょうか?」

嫌な予感がする!


「……今消防から電話があって、お兄さんが川に流されたみたいで行方が分からなくなったって……」

消え入るような震える声で告げられた。


「……え?………マルが……流された……?」

頭が真っ白になった。


嘘でしょう?

思わず外に駆け出した。


「在原さん!!外は危険よ!!」

叫ぶ佐藤さんの声を背に、土砂崩れの現場に向かった!


「ヤダヤダヤダ!!お願い!あたしからマルをとらないで!!たった一人の家族なの!!お願いっ……」


降りしきる豪雨と暴風と雷の中、枝や小石など色々なものが飛んで来る。

山の峠に向かう途中、ふと気づくと見覚えのある祠が散開していた。


「……犬神様…………」

バラバラになった祠をかき集めた。

何の意味もない行為かもしれないが、マルと二人で決めた、二人の神様の祠だ。

毎日学校に通う途中にあった犬神様の……。

このままにしておくのは忍びない。


「犬神様、マルを助けてください……お願い……」

ぼろぼろと止めどなく涙が溢れてくる。

恐怖と混乱で手が震えた。


「痛っ!」

壊れた祠の木のトゲが、指にぐさりと刺さった。

ぼんやりとズクズクと痛む指から血が流れるのを見た……


ド───ッと地鳴りがすぐそばで聞こえた!

足元がグラグラと揺れ、まともに立っていられない!

「きゃぁ─────!!」

地面にへたりこんだ。


ズドンっと聞いたことの無い地響きが聞こえた。


「え?」

少し先の道路が陥没した。


続けざまにドンッ!ドンッ!ドンッ!と徐々に目の前に何もない空間が迫ってきた。

道路横の木がメキメキと音を立てて倒れていく。

崖の上から大量の土砂が降ってきているのが見えた。


「え?」

その恐ろしい光景は、駒送りのような、スローモーションで迫ってきた。

まるで夢の中の出来事のようだった。


ガンッと何かが頭に当たった気がした。

ドロッとしたものが流れるのを感じた。


“マル…………”

そのまま意識が遠退いた…………







白く何もない空間。







はっと目が覚めた。

「あ……れ?……夢?」


真っ白な部屋にいた。

“え?どこ、ここ?何なの?”


「おう!目ぇ覚めたか!」

マルがいた。

マルがいた!?

なんで!?


「は?マル?なんで居るの?」

私の涙をかえせ!

泣き叫んでるのを聞かれたかもしれない恥ずかしさで、冷たい言葉が出た。


「は?居て悪いのかよ?」

マルも憮然としている。


「だって川に流されて行方不明だって……死んだんじゃなかったんだ!?」

そうだ!そう聞いたはずだった。


「あーいや……こほん、お前こそ土砂崩れの下敷きになって死んだんだろ?」


「え?そうなの?死んだ記憶ないんですけど?」

ほんとに?なんかそんな気がしないでもない。


「マジか!お前土砂崩れの下敷きになって死んだらしいぜ。ばっかだなぁ、なんであんな時に外に出るかね?」

はぁ、と呆れたように言われた。


「はぁ!?マルが川に流されて行方不明になんてなるから探しに行ったんじゃない!安全確認しなかったの!?」

レスキュー隊員のくせにっ!あっさり流されちゃって!


「ぐぬぬ……それを言われると……まぁそうなんだけど。鉄砲水になって、避けようなくてさ……仕方ないだろ?あーあ!なーんかせっかくレスキュー隊員になれたのになぁ……まぁ現場で死んだんだからしゃあないわな……そういやあの子無事だったかな?」


「あの子って?」

「うん?最後に助けた子だよ。ちょっと変わった子だったんだけど……巻き込まれてなきゃいいな」


そんな話をしていると、いつの間にか空間に楔文字のような模様が浮かびあがり、その中心にぽうっと光の玉が浮かんだ。


「……あれ、何かな……?キレイ……」

「ああ……」


その不思議な光景をぼんやり眺めていると、光がだんだんと形をつくり、1人の少年の姿になった。

その白く光り輝く少年がふと顔を上げた。


「やぁ、おまたせしたね」

ニコリと笑ってそう言った。


「あ!?君はあの時の!」

マルが驚いたように叫んだ。


「マル!あの時は来てくれてありがとう!ほんとに助かったよ!あの時は力が無くて……あのまま濁流に飲み込まれてたら僕は消滅するところだったんだ」

少年は、いや、そのヒトガタは宣った。


「……てことはやっぱり君は人間じゃなかったんだな」

なんだかほっとしたような、腑に落ちた様子だった。


「うん。騙したみたいでごめんね。僕は君たちの神様、犬神だよ!幼い頃からずっと僕にお参りしてくれてたろ?」


「え!?」

「犬神様!あなたが?」


「うん。エル、君も最後まで僕の家を守ろうとしてくれて、ありがとね」


犬神様はどうやら小さい頃から見守ってくれていたらしい。小学生の頃私たちが両親を事故で無くした事も、そのあとマルが隊員を目指した事も、私がその事故で大ケガをし、障害が残ったものの、頑張って生きてきた事も知っていた。


「今、災害も多いでしょう?地球の力が弱まっていて、僕の力では防ぎようがなくてさ……うっかり寝ていたらあんな事になってしまって、悲しいよ……」

ほんとうに悲しいのか悲しくないのかよくわからない黒い瞳をこちらに向けた。


「「………………………」」

うっかりって……うっかりに巻き込まれ、死んでしまったこちらの身にもなって欲しい。


「まぁ、起きてしまった事は仕方ない!君たちには新しい人生をプレゼントしようと思ってね!ここに連れて来たって訳さ!」

えっへんと偉そうに胸を張った。


「え!天国に行くんじゃないの?」

新しい命ってこと?私たち生まれ変わるの?


「おう!あれか?よくある?のか知らんけど、いわゆる転生ってやつ!?」

マルがポンっと手を打ち、嬉しそうにしている。


「そうだよ。君たちを魔法と魔物のいる世界へ転生してあげる!うれしいでしょ?喜んで?今なら出血大サービス、絶賛希望受付中だよ!」

どうだ!とばかりにどや顔をする犬神様は神々しかった!!

パアーッと後光が射した気がする。


「はい、はい!俺はハーレム希望です!!男の夢っしょ!」

マルが勢いよく手を挙げて希望を述べた。


「はぁ!?何バカな事言ってんの?あんなの女を馬鹿にしすぎ!!あり得ないっ却下よ却下!はい、はーい!私は健康、堅実、長寿なスローライフを希望します!」

こちらも勢いよく手を挙げて希望を述べた!


「うんうん、ハーレム?とスローライフね!他には?」

大きく頷き快諾してくれる。


「うーん、やっぱりせっかく魔法の使える世界なんだったら魔法に強い方がいいな〜あと美貌も出来れば欲しいかな……」

エルがクネクネとしている。


ちょっと気持ち悪い。まぁ女子として外せないポイントだけどね。


「俺はガンガン攻めていく力が欲しいね。こう、めっちゃ強い勇者……は嫌だな。やっぱ勇者は無しで!素手でも強い剣士がいいかな!あ、回復魔法とかは使いたいから、魔法もちょびっとは欲しいな。あと荷物とか入れる空間とか。あとは何か便利なヤツ」

思い付かないので適当にお任せしたいマルだった。


「うんうん、魔法に力に便利グッズね!他は希望ある?」


まだくれるつもりなのか?

サービス精神がすごい。これは本当に出血大サービスだ!


「……出来ればマルと一緒がいいな」

エルがぼそりと呟いた。


別々の人生を歩むとしても、近くで生きていきたい。


「……あー……まぁ……そうね……」

マルも照れながら同意した。


「オッケーわかったよ!ふふ、君たちほんとに仲がいいね。あと、適当にスキルや効果、他も色々つけてあげるね。どんなものかはお楽しみ」

犬神様が親指を立てgood!ポーズをとり、ウィンクした!


「犬神様!サイコー!!」

「さすが犬神様!!」

パチパチパチと拍手をし、二人して諸手を挙げて称賛した。


「では、在原丸留、在原恵留として生きた生はここで終わりだ。これからは新しい命を生きなさい。異世界には異世界の神がおわす。私と君たちが会うのはこれで最後になる。幸多からんことを祈っている」


犬神様の雰囲気が突然変わった。


少年でありながら幾千年も生きたかのような、高尚な近寄りがたい空気を放った。


その空気にあてられ緊張した。やっぱり神様って凄い……


犬神様がバッと両手を広げた途端、真っ白だった部屋が眩い光に包まれた!

犬神様のヒトガタが崩れ光の塊になり、さらにどんどん光が広がっていった……


ああ、これから新しい人生が始まるんだ…………


二人は敬虔な気持ちになり、その静謐(せいひつ)な光を浴びた…………


「あ………ヤバ………」


何処かで誰かが呟いた気がした…………








どくんどくんと音がした。

押し潰されそうな圧迫感のある暗闇を通り抜けると、突然目の前が明るくなった!


「ほんぁぁぁーーー!!」

ビックリして大声を出した。

怖い!何処!ここ!?


「おめでとうございます!元気な赤ちゃんですよ!」


誰かが何か言っている。

浮遊感にビックリしてまた泣いてしまう。


「ほわあぁ───ほんあ───!!!」

温かいお湯につけられ、柔らかな布で拭かれた。

ほわんっと、人心地つき、ほっとした。


「アリステア、見て!何てかわいらしい子かしら!」

心地よい優しい声が聞こえた。

暖かい肌触りのよい柔らかな布で包まれ気持ちがいい。


「ああ、なんて綺麗な子だ……ありがとうエリザベート」

先程より低い、だが嬉しそうな声が聞こえた。


──なんだろう……とても穏やかな気持ちだな。

──うん。ほんとにね……


目を開けた。


美しい二つの顔がぼんやりと見えた。


──綺麗な人たち……

──ああ、この人たちが俺の両親かな


あれ?マルがいる……?

──は?私の両親でしょ?


あれ?エルがいる……?

──え?いや、俺だろ……ん?……何かおかしくないか?


──は?

──え?


──??????


右手をあげてみた。ぎゅっと、握ってみる。


──ちょっと、私の右手よ?

──いや、俺だろ……



──まさか……?

──待ってよ!


──もしかして

──もしかしなくても




これって!身体!一緒じゃない!!??


『うっそでしょ━━━━━━!!??』

『ふっざけんなよぉ━━━━━━!!!』


『『いっ!犬神ぃ─────────!!!!』』


「ほん、わぁぁぁぁぁぁ───────!!!!!」


マルティネス・アール・エルフリッドが、エルフ一族の領主の家に誕生した瞬間だった。

がんばれーマルエルー


※書き直しています



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