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物件情報:?LDK愛しの嫁様付き

「あ~、ようやく忌々しいこいつともおさらばかぁ……」


「忌々しいって……この触手生物(テンタクル)君のお陰で命拾いしたんでしょ~?」


 マリーが俺の腕からうねうねと突き出した触手生物を掴み、何処から切った物かと思案顔をしている。……まぁうねうねと気味が悪い代物だが五年も寄生されて生活していたら愛着……愛着……? ……うん、居なくなればせいせいするな。


「まぁ全身ガタガタだったのを元通り治してくれたのは有難いがな、だが勝手に動き回るこいつのお陰で何度もえらい目に……」


「あら~? でもこれって各所で評判いいのよ~? ここだけの話、王国の国王様も気に入っちゃって……王妃様、第三子ご懐妊ですってよ」


「んなっ……!」


 ご懐妊って……王妃様はともかく国王元気すぎだろうが……。まぁ確かに? いろエロなラッキースケベ体験はあったが……だがその度暴走するノルンにどれだけ悩まされたか……。


「まぁいい、バッサリいってくれバッサリ」


「も~分かったわよ~、肩口からでいい?」


「誰が腕ごと落とせっつったよ! 触手だけ取り除け! しょ~く~しゅ~だ~け! ったく……耳が遠くなってんじゃ……」


「あ~ら手が滑った~」


 ぶちぶちぶちぶちっ!!


 不穏な音を立て無理矢理引き剝がされる触手生物が名残惜しいとばかりに神経を掴む痛みがダイレクトに脳を直撃する、ちょっ……待て! これ呪いの反動よりきついぞ!!


「っっっっ!?!! お前いきなり引き抜く奴が居るか! 死ぬかと思ったぞ!! ぐぅっ……」


「あ~らごめんなさぁ~い? 最近耳が遠くなっちゃって~」


 ベッドの上でのたうち回る俺を不敵な笑みで見下ろすマリー……マジでお前覚えてろよ! ぜってぇ許さねぇからな!


「なんじゃなんじゃ騒々しい、手術は終わったのかの? おぉ! 腕も足もすっかり元通りじゃのう」


 腕の痛みに耐えかね呻く俺を見つめ、部屋に入ってきたノルンが満足そうに頷く、確かに元通り、傷痕も残ってはいない。……だが腕の痛みにまるで触手の如くのた打つ旦那の心配を少しはしてほしいと思うのは贅沢だろうか?


「久し振りね~ノルンちゃん、いや、もう『ちゃん』ってつけたら失礼かな?」


「出迎えも出来ずすまんのぅ、ちと立て込んでおってな」


「ん? んん? ……ノルンちゃん……また大きくなってない? ってか……私より大きい……?」


「そうかの? 母上にはまだ届かぬが……毎日飲む牛乳と旦那様の愛のおかげかの♡」


「ゲホッ!? ゴホッ! ゲ~ッホゲッホ!」


「あら~、なんか当てられちゃったわねぇ……羨ましいわぁラブラブで♪」


「ふふん、そうであろう、じゃがその触手が無くなるのも少々名残惜しいかもしれんな……昨夜なんかも……」


「なぁんだ、しっかり活用してたんじゃない、何なら戻す?」


「うわー! うわー! の、ノルン! 雑談はそこら辺にだな!」


 ニヤニヤ笑いを浮かべるマリーとの間に慌てて割って入りノルンの口を塞ぐ。ったく、相変わらずほっといたら何言い出すか分からない。これ以上マリーにからかいのネタを供給するのは勘弁だ……。


「も~、止めないでよ~。もうちょい色々聞きたいのに……で、その子が?」


「うむ、可愛かろう♪やはり子供というのは宝じゃのう……」


 ノルンが愛おしそうにおくるみに包まれた赤ん坊を見つめる、確かに赤ん坊は可愛い。子宝というのは読んで字の如し、見ているだけで幸せな気分になれる……。


「お~、こっちに居たのか、ったくいきなり吐かれるとは……着替え終わったし返してくれてい~ぞ♪」


 スッキリしたという表情でジャクリーンが突き出した手から庇うようにお包みを抱き締めるノルン……気持ちは分かるが……はぁ……いいよなぁ赤ん坊……俺も抱っこさせて欲しい……。


「うぅ……もう少し……もう少し抱っこさせて欲しいのじゃ……はぁ……可愛いのぅ……」


「ったく……そんなに可愛いならお前もさっさと作って貰えっての! そこの甲斐性無し! 嫁が泣いてんぞ!」


「ぐうっ? いや、甲斐性無しって……」


「ガハハ……そう苛めてやんな、病み上がりなんだからよぉ。それにコイツがヘタレなのは今に始まった事じゃぁねぇしな」


 凹む俺に遅れて現れたテリオスが苦笑しつつフォローを入れてくれる……いや、これフォローか? フォローってこういうもんか?


「まぁ俺を苛めるのはそれ位にしてくれよ。んで、療養してばっかで外のことが分かんなかったからな、今どうなってる?」


「戦後復興は各地で一段落、各国の関係も良好、個人感情的な衝突はあるけど……まぁ一時期に比べたら落ち着いたわ。結果的にはアルトリアの暴走で各国の過激派を掃討出来たのが功を奏したって感じね。まぁ皮肉なもんだけど」


「そーいや最近は魔族と人族の結婚とかも増えてんだっけ?」


「そーなのよ! ダイキとノルンちゃんの愛の軌跡を記した大作家マルグリット様の恋愛小説は大大大ヒッッット! 現在第六巻まで発売、第七巻はこの夏発売予定よっ! あ~……これだけで国家予算が賄える……素敵……」


 キラキラした($マーク付きの)瞳でうっとりと天を仰ぐマリー……、景気がよろしくて結構なこって。だが療養中だったのもあるが、これのせいでこっちは折角平和になったのに変装無しでは外を歩くのもままならない……どうしてくれるよ全く……。


「にしても第七巻って……どんだけ話盛ればそんだけ出るんだよ……」


「あなた達自分達の事を嘗めすぎね、あなた達ほど波瀾万丈な人生送ってる人居ないんだから……でも最近ネタ切れでねぇ、ここらで何かテコ入れが欲しいのよ……」


「人の人生を金儲けの道具にしてんじゃねーよ! テコ入れも何もこれ以上のトラブルは勘弁しろ!」


「ふふん、お前様、何もテコ入れはトラブルばかりではないぞ? 現に今進行中じゃ♪」


 得意満面の顔でこちらを見つめるノルン。 ? トラブルじゃないテコ入れ? どういう……? 何か手がある? んん?


「なるほど……」


「あぁ、そういう事ね」


「ガハハ! なんでぇ! ヘタレ返上してたのか! やんじゃね~か!」


 へ? 何? 何が一体……? ノルン? え? お腹撫でながら嬉しそうに……は? ええぇ!?


「ふふふこれから賑やかになるぞ♪お前様♡いやさ、呼び方を変えねばならぬの……うむ! しっかりするのじゃぞ♪パパ♡」



 魔界の辺境の片隅に、中睦まじい夫婦が暮らすらしい。ヘタレな勇者と押しかけ嫁の愉快な日常はこれからも続く。彼等のその後の活躍はまた別の機会に……。



『魔王の娘の押しかけ無双 ~のじゃロリ幼女がぐいぐい来る!~』



     ~終~

最後まで読んで頂きありがとうございました! 支えて下さいました読者の皆様に最大限の感謝を!ヾ(o´∀`o)ノ


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