表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/92

迫る危機

「とまぁ、プロジェクトが軌道に乗ってる以上引っ掻き回されて再び開戦な~んて事になったら困るのよ」


「お前の場合かけた金が回収出来なくてヤバいってのが本音っぽいがな」


「ゲフンゴフンっ! いや、何を言い出すのやら? ま、まぁ、とにかく! 戦争継続派をどうにか封じて世論を纏めなきゃって事よ」


「とりあえずバカ姫(アルトリア)達が継戦派の神輿にされてんのは分かる、んで今の状況をひっくり返すには失われたはずの英雄(切り札)が必要ってか? とはいえ俺はもう戦う気はないからなぁ……あと、どうにも引っ掛かる」


 いくら王国貴族を纏めて継戦に話を持って行ったとしても肝心の魔族側には継戦の意志は無い、そもそも王国の国王すらこっち側だ。盤面をひっくり返すには……。


「……会議があったのは三日前だよな?」


「ええ、人界五国と魔国、各国の代表が参加して……」


「いや、メンバーはいい。問題は各国の代表が集まり国境警備が万全の状態の中、なぜここにアルトリアが来られたか、だ」


「あっ……」


「魔界側に内通者……という可能性が最も高いのぅ」


 内通者……ねぇ……今回裏切って得する奴……。恐らくは次期魔王って餌でもぶら下げられたんだろう。第一軍は魔王直轄、先日のセラスさんの訪問を見る限りでも忠誠心は厚い。第二軍はワイバーン部隊だったが俺が壊滅させた。ネクロス……は第三軍だな、あいつは野心を持つタイプじゃないな……ってか最近ホームレスが板に付きすぎてて危険性を感じられない。……となると……。


「第四軍……か」


「虎王ハリマウの獣人部隊じゃのう……野心家のあやつなら有り得るじゃろう」


「そういや国境警備は第四軍が配備されてたわね……あ~っ、あいつ嫌いなのよね~、しつこいから」


 魔界軍第四軍、虎王ハリマウが束ねる獣人部隊。脅威度は低いが部隊の規模がでかいのと獣人自体が人界魔界双方に幅広く分布しているため内通裏切り何でもござれ。しつこく繰り返される昼夜を問わない波状攻撃には悩まされた物である。


「あ~……ハリマウねぇ……。あいつ厄介なんだよ、無駄に頑丈で回復早いから倒しても倒してもまた絡んでくるからさ」


「ある意味伯父上並みの不死身とも言えるのぅ、じゃが、馬鹿なのは変わってないようじゃ。お前様がよもや参戦した場合魔界側は敗北必至、魔王云々の場合では無い。参戦せぬ場合では母上を倒せるような者は人界にはありえぬ、こんなバレバレの裏切り行為をしておいて処断されぬいわれもないしのぅ」


 あの脳筋を騙して利用するのは簡単だったろうなぁ……ってかこんな馬鹿だったか? 一回頭半分吹き飛ばしたのに復活してたが……もしやお味噌が足りなくなっちまってないかな?


「相手は王国の貴族派閥と魔王軍第四軍か……。ってかどういう風にしようともここらと派手にドンパチやったら戦争継続中って認識されんな……」


「ふむ……それにしてもじゃ、奴等は旦那様を戦場に引き摺り出して勝利を収めようと画策しておるのじゃな?」


「そーゆーことになるわね」


「して、よしんば取り戻したとて国王は首を縦には振らまい? そこはどう折り合いをつけるのじゃ? 世論を操作する前に此方の計画が発動すれば全てはご破算、何かせんせーしょなるな事件でも必要になるとは思わぬか?」


 ノルンの言葉にマリーと顔を見合わせる。そりゃそうだ、いかに俺が戻ったとしても国王に継戦の意志はない。世論を操作しようとも軽い内乱が起きるのと国交正常化に時間がかかる程度だろう。

 ……それらを覆す一手……? ある……が、マジかよ、いや、だからといって……嘘だろ? 実の親だぞ? だが……世継ぎ問題? 次期国王……王位継承権第二位はバリッバリの鳩派の第一王子……。


「まさか王子派閥の台頭に焦って……? 確かに終戦となったらアルトリア陣営は力を失う……だがその為に国王を? いや、あのバカなら……」


「……陛下が危ないわね……」


「恐らく暗殺するなら魔族領内じゃろうな、筋書きは『魔族領での会談は罠、哀れな国王はだまし討ちに遭い崩御、仇討ちの為立ち上がる姫、卑劣なる魔国に天誅を』といったところかの? こちらはこちらでなかなかにドラマチックな話じゃの……」


「マリー! 国王は今どうしている!?」


「私は会談後にすぐお暇したから……でも陛下は確か宿泊されていたはず、恐らく一昨日の昼までには出立……?」


 城から出てすぐに襲う事は無いだろう……ならば危険なのは野営中……可能性が最も高いのは国境から半日から一日程のこの区間……。


「魔界内には俺の転移陣(ポータル)が無い、こっから走って追い付けるか?」


「昼夜問わずの強行軍でギリギリ……急がなきゃ!」


強化バフは俺に任せて魔力を温存しろ、追い付けるかは賭けだなこりゃ……ノルン、悪いが……」


「分かっておるよ、妾を背負っては足が鈍る。なに、美味い料理を作って吉報を待っておるよ」


 ノルンがにっこり笑って纏められた荷物を手渡してくる、さっきからごそごそしてると思ったら……イイ女になりやがってこんにゃろう。こいつは是が非でもあいつらの思い通りにはさせられないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ