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気まずい二人

「お、お前様……お茶が入ったのじゃ」


「お……おぅ、ありがとな……」


 うぅ……気まずい……先日の件が尾を引いているのは分かるが、互いに何だか意識してしまって目を合わせづらい……。いや、ノルンがそうなるのは分からんでもないが一体どうした俺! 恥ずかしくて顔合わせづらいとか学生か!!


「やっほ~! 二人とも元気? マリーちゃんが来たよ~♪美味し~ご飯食べさせて~♪……ってあるぇ? どうしたの? 喧嘩でもした?」


「うげっ、マリー? ……何しに来たんだよ……ってかうちは喫茶店でも定食屋でもないっての……」


 ったく……いつもいつもこっちの迷惑を……って、今であれば逆に救世主!? この気まずい空気どうにかしてプリーズ!!


「マリー! 丁度良いところに来た!」


「なになにどうしたのノルンちゃん? 何かいいことあった?」


「そ、そのじゃな……実は……。妾は……妾は子が出来たやもしれぬ!」


 ……なっ!?


「!! ノルンちゃん! そこんとこねっとりじっくりマリーお姉さんに教えて頂戴!!」


「んなっ! ちょっ! ちょっとまてまてまてまて!! ノルン!? 一体何を言い出すんだ!?」



……



「ぷははははははは!」


「うるさい! 笑いすぎだてめーは!」


「ふひっ、だ、だってさ? なんか気まずそうにしてるから、何かあったのかと思ったらさ? ぷふっ、チューしてその後気まずかったって……アハハハハハハ! 子供じゃないんだからさ!」


 何とでも言え、一瞬でもこいつを救世主のように感じたのが腹立たしいっ!


「それにしても……ククク、ノルンちゃんもキスしただけじゃ子供は出来ないって……ぷふっ」


「なにっ!? そ、そうじゃったのか……? ならばマリー、どうやったら子供は出来るのじゃ?」


 はい来ました子供の素朴な疑問~、さてさてマリーさんはこの質問にいかに答えるか? いざお手並み拝見~。


「うぐっ!? うぇ? え~っと……あれ……あっ! あれだわ! 実践を交えてダイキに教えて貰いなさい!」


「ぶほっ!? てめぇこっちに振ってくんじゃねーよ!! 質問受けたのはてめーだろーが!」


「あ~? そんなこと言っちゃう~? 何なら私が手取り足取り教えてもいいのよ~?」


「ぐぬぬ……ま、まぁあれだ、ノルン、成人したらな、うん、教えてやるから、な?」


「あら? 決断早かったわね、しかも来年とか……どうしたの? 流石に我慢の限界とか?」


「ぐおっ! そうだった! ……こっちにも色々事情があんだよ……聞くな……」


 失言や考え無しの炸裂でどんどん不味いことになってるような気がするのは気のせいか? い、いや、鉄の意志をもってして立ち向かえばなんとかなる! ……だよな? 息子よ……お前の理性が頼りだぞ?


「んでさ、さっき表見てびっくりしたんだけど、あの転移トラップ消えちゃってるけどどうしたの?」


「あ゛ぁっ! そういやお前に伝えなきゃいけなかったんだ! うわぁ、気まずさ優先で忘れてた……」


「うぇ? なになに? なんか大事なこと? 下らない事じゃないでしょうね?」


 マリーが興味津々にこちらに視線を送る、いや、間違いなく吉報じゃないですからね? ってかマジで俺どうしたんだ?? 冷静になれ冷静に!


「……バカ姫(アルトリア)とアレスにここがバレた」


「ブハッ!? ゲホッ! ゲーッホゲッホ!?」


 やれやれそんなことと言った様子でソファに身を沈めたマリーが盛大に紅茶を吹き出す、どうやら不味い箇所に入ってしまったようで暫く咽せつつもがき苦しみ、ようやく息も絶え絶えに顔を上げる。


「ゲホッ……ゼー……ゼー……ちょっ、それ一大事じゃないのよ! え~っ? 何でバレたの? バレる要素なんて……」


「アレスが言うには消えた転移痕周辺の時空の歪みを辿ったんだと、あとはスラムの連中の目撃情報か……変装が解けた所を見られてたのかもな」


「歪みって……あんなちっちゃい揺らぎを観測できんの!? そんな精度の観測具なんか……あっ……」


 マリーがハッとした表情で静止する、なんだ? もしかしてなんか心当たりあんのか?


「その顔はなんか心当たりあんだな?」


「うぇ~、あ~……でも、あんなもん王国軍が買い取るはず無いし、かといってそんなことに使う? いやいやいや……」


「なんじゃマリー、勿体ぶるでないぞ、一体どんな物がどうなったのじゃ?」


 気まずそうな表情でこちらを見ていたマリーが盛大に溜息をついて鞄から何かを取り出す。


「は~い、こちらの触手生物(テンタクル)君で~す……」


「おまっ……また性懲りもなくそんなもん……って、はぁ!?」


 マリーの手にはうねうねとのた打つ毎度おなじみ触手生物君、こいつ? こいつが何で??


「いやね、この子の特性として、使用者の魔力や息遣い、体温や血の流れとかを感じ取って最適な()()をするように出来てるのね? その感度センサーときたら百年は時代を先取りした精度な訳で……」


「……つまりそのセンサーを魔力痕や揺らぎの観測に流用したのでは? って事か……はああぁぁぁぁ……」


 技術は戦争とエロにより発達するとは聞くが……まさかそんなとこで技術革新が起きているとは思いもしなかった……。なにこいつ、無自覚技術無双とか普通は転移者の特権じゃないの?


「まぁ過ぎた事は仕方ない、元はと言えば俺らがバザーリアで騒ぎを起こしたのが原因だからな。……済まない、迷惑をかける」


「そこの所はお互い様ね、あれがそういう流用のされ方してる時点で、いつか別の場所の転移痕から足がついたはずよ……」


「とりあえずは見つかった以上、どういう対応をとるか……じゃの?」


 確かにノルンの言うとおり、見つかってしまった以上はそれを組み込んだ対策を立てなければならない。この状況から導き出せる最適解とはどうなるか……。庶民の俺の頭じゃ考えるだけでショートしちまいそうだ……。

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