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夢で会いましょう

 ……懐かしい……感覚がする……、自分が……作り変えられるような……何かに溶けて体が再構成されるような……?


「おお! 成功です! 姫様、お見事でございます!」


「ふふん、私を誰だと思っているのですか! これは当然の結果ですわ!」


「へ? あ、いや、ここ……どこ?」


 魔法陣の中心に佇む間抜け面の俺……思い出した、ここは召喚の間。カビ臭い苔生した壁、床に描かれた雑な魔法陣、高笑いをするお姫様。そして姫様の隣に……そういやこいつこの時も居たんだな……よく見れば気付かれないように後ろ手でなんらかの魔法陣を展開している。召喚の補助でもやってんのか? そりゃそうか、あのバカ姫(アルトリア)にそこまでの技量は無いよなぁ。


「さあ、姫様、万が一の事態もありえますので契約のしゅを……」


「へ? は? いやいやいや、あんたら一体……うぇええ!?」



……



「誠に申し訳ない! この度は娘の身勝手により貴殿には途轍もない迷惑を……」


「お父様! このような平民に頭を下げるなど王のする事では!」


「黙れアルトリア! 我は今王としてではなく人として、人の親として責任を取る必要がある! そもそも何をもってしてこのような愚行に及んだ! 召喚と引き換えにこの地の結界を消失させるなど言語道断! それ以前に我が国の国民でもない無辜の方を我等の都合に巻き込むとは! お前は為政者としての心構えがなっておらぬ!」


「ですがお父様! 私はこの国の未来を願って!」


「くどい! そもそもアレス、お主がついておりながら何故このような事態が起きた!」


「私は姫様の従者でありますれば全ては姫様のご随意に……」


「だからといって道理を違えてよい理由は無い! そもそもアルトリアを監督するのもお主の役目であろうが!」


「……え~と、あの~……喧嘩の最中に恐縮ですが……なんか私が原因でもあるみたいですし、私で力になれることがありましたら……」


 緊迫した空気に耐えきれずへりくだる俺、場の空気をどうにか収めようとする日本人気質、権力者には逆らえない社畜精神、染み付いてんな~。今の俺からしてみれば笑っちゃうような弱腰、だが、まぁ仕方ないっちゃ仕方ないわな。

 ……見られてんな、覚えのある感覚の視線、何だろう……?


……



「お~♪君が異世界から召喚された男の子ね~、なかなかに可愛いじゃないの♪さてさて聞きたいことがあったらこのマリーお姉さんにまっかせなさい♪」


「白い肌に……長い耳……エ……エルフ?」


「おっ? エルフをご存知? 君達の世界にもエルフは居るのかな? ならば君達の世界のエルフとこっちのエルフと違いがないか朝まで私の部屋でじ~~っくり語り合わないかい♡」


 こりゃマリーと会ったときか……ファンタジックなエルフの存在にテンション爆上がりしたっけか。……んで、ここでも……見られてる……。



……



「ガハハハハハ! なんでぇ? 兄ちゃん俺を見て腰を抜かすとかそりゃねーだろ? なんだぁ? ミノタウロスに会うのは初めてか?」


「はっ? へっ? しゃ……しゃべっ……?」


 ……見られてる



……



「な~んだダイキ? そんな辛気臭い顔して? 死にそうな顔しやがって! あん? 仲間が大勢死んだ? 仕方ねーだろそれが戦争だ、大丈夫! 俺はぜってぇ死なねぇからよぉ! 戦で手柄立ててその金元手に牧場買い直すんだよ! 家で一人娘が待ってんだ、早々死なねーよ!」


「グスタフ……死亡フラグって知ってるか?」


 ……見られてる


 思えばどの戦いにもアレスは同行してきていた、王国最強の大賢者……。だが、俺に向けられていたあの視線……何か覚えがある……、あの視線に込められた感情は? 俺はそっち系の趣味は無いんだが……? 冗談はともかく常に受け続けていたような、慣れた感覚のする視線……あれは……。



「お前様! 朝じゃぞ! 起きるのじゃ!」


「……? ふぁ? あ、あぁ……ノルンか……」


「なんじゃ? 愛しい妻の顔を忘れたかの? 寝ぼけておるのか?」


「いや、懐かしい夢見ちゃってさ、あれだ、こっちに転移してきたときの」


「国王がお前様が申し訳なくなるくらいに頭を下げたというあれかの? なんでまたそんな夢をみたのじゃ?」


 なんでだろうな? 今更人界にも元の世界にも未練は無いし、いや、親のこととかそういうのは心残りではあるが……。だが、何で今更あの時の夢を? あまりいい思い出って訳でもないしなぁ、虫の知らせなんかじゃなけりゃいいんだが……。


「まぁ夢なんか狙って見るものじゃないからな、理由なんか無いだろ」


「狙った夢を見る方法ならあるぞ?」


 ? なんだろ? あ、あれか、枕の下に見たい夢の絵を置いたらその夢が見られるっていう? あれ効果無いよな? 過去何度となくグラビア写真やらを枕の下に……ゲフンゴフン!


「まず召喚陣で夢魔を召喚してじゃな……」


「おぉっ? そういう方向性? 異世界ならではの実用的な……夢魔を召喚してお願いするとか正にファンタジー……」


「そして夢魔を縛り上げボッコボコにして主従関係を教え込んで望む夢を見られるように……」


 ……夢魔さん可哀想……、勝手に召喚されて拘束されて能力搾取とか……あかん、同じように召喚された身としては他人事に思えない。


「ま……まぁ、方法は方法として、夢魔さん可哀想だからそれはやめておこうな?」


「むぅ、割と一般的な方法じゃがの? 奴等が悪さをせんように灸を据える意味もあるんじゃが……」


「そんなことより朝飯にするか、何食いたい?」


「ふふん、妾を見くびってもらっては困るのう、とっくに用意は出来ておるから早く顔を洗って参れ♪」


 言われてみれば開いた扉から良い匂いが……いつの間にやら成長しちゃって、なんかおっさん目頭が熱くなっちゃう。

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