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裸の付き合い

「なんじゃお前様、眉間を押さえて……」


「いやな、こういった際にどう声をかけたもんかってなぁ……」


 ジャックを風呂に送り出して考えてはみたものの、彼に対してどう扱えばいいか測りかねている。何人もの戦友と共に戦場を駆けて幾つもの死を見てきたが……彼の父親もその中に居たのだろうか?

 親しくなった奴が次の日居なくなって悔し涙を流す、なんて事はよくあった。だが肉親を、帰ってくると信じていた父親を失った子供にどう声をかけたものか……。


「何に悩むのかは分からんがの、こういう時は男共はこうするのであろ?」


「? 桶……とタオル?」


「裸の付き合いで友誼を深めてくるがよい、夕飯は妾が作っておくからの」


「おぅ、あんがとな」


 古来より男同士がわかり合うには同じ釜の飯を食って一緒に風呂に入る! 纏う物が無ければ素直な本音で話せるだろう!



……



「ふぅ……何が何だか分かんないけど厄介なことになっちゃったなぁ……。あいつら一体何を企んでるんだ? 魔族と人間が夫婦? ましてや相手は魔族を虐殺してた人界の勇者だぞ? 頭イカれてんじゃないのか……?」


「お~い、湯加減どうだ? 入るぞ~?」


「はえっ? わわわわわっ!? ちょっ……待って!」


「? なんだ? 湯船に顔まで浸かって……のぼせるぞ?」


「べっ……別にいーだろ! ってか何素っ裸で入って来てんだよ!」


 いや、何素っ裸でって……。風呂に入るのに服を着てちゃいかんだろ……ってかあからさまにそっぽ向いちゃって……。嫌われたもんだな……だがこういう時はあえてこっちからぐいぐい距離を詰める!


「なに、どうせだから男同士風呂で気兼ねなく話さないかってな? ほら、背中流してやるから出てきな……っ?? んなっ!?」


 顔を真っ赤にしてのぼせてんじゃないかと引っ張り上げたらあるべき場所にあるはずの物が……無い!? うぇっ!? ついてない!? そして上! 膨らみが……ある!? えっ? えぇっ!? おっ……おんっ……はああぁぁぁぁぁぁあ!?


「っっっっ!! ひゃあああぁぁぁぁああっ!!」


「うっ……わわっ! ご、ごめん! 気付かなかったとはいえ申し訳ない!」


「なんじゃなんじゃ何が起きたのじゃ!? 先程の悲鳴は……!?」


 風呂場に突入してきたノルンの目に映るは裸体を隠しへたり込む少女と土下座する俺。どう見ても事案です、本当にありがとうございました。


「おっ……お前様妾というものがありながら浮気!? 浮気なのかえ?? 酷い! 酷いのじゃああああぁぁぁぁあ!」


「いやっ! 浮気も何も俺も女の子だって知らなかったんだって!」


 ってかお前が俺を送り出したんだろうに! あ~っ! もう! 何でまた男のふりなんてしてるかなぁっ! とりあえずノルンを宥めて……収集がつかんぞこれは……。

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