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ユニコーン

「マリー! ユニコーンが居たと言うのは本当かの!?」


「確かにこの草原地帯に居たわ、激レア魔獣だから気にはなってたんだけど私じゃ近づけなくてさ~」


「確かに汚れきった痴女のマリーでは無理じゃろうの」


「汚っ……。否定はしないけどさ? もうちょっと言葉を選んで欲しいわ……千年も生きてると逆に純潔を守ってる方が異常……。そういえば、ノルンちゃん最近はどうなのよ? 進展はしてるの?」


「ぬぬぅ……なかなかに難しいのじゃ……やはり妾に魅力が足りぬのか……。のう? ぼんきゅっぼんのないすばでーになるにはどうしたらいいのじゃ?」


「う~ん……栄養……は足りてるわよねぇ、ダイキの料理美味しいし。あっ、豆腐と球菜キャベツが胸の生育に良いって聞いたことあるわ! あとは……恋するとなんかそういう成分が分泌されて大きくなるって聞いたわね」


「恋などずっとしておるし常にらぶらぶじゃ! だとしたら、うむぅ……やはり球菜キャベツを食わねばならぬということか……ぐぬぬ……」


「ほんとダイキの事好きなのね~。……なら予定じゃ無かったけどやっちゃうかなぁ……あれと……これと……あとは……」


「何をぶつぶつ言っておるのじゃ?」


「あ~、ちょっと薬の材料をね~♪っと……確か見かけたのはこの辺……」


「ぬぬ! マリー! るぞるぞ! おぉ……淡い光を放って……幻想的じゃのぅ……」


「今日も居たわね~、男が近くに居ると逃げちゃうし純潔な乙女じゃないと襲い掛かってくる……全く厄介な魔獣よね……」


「近づいても構わんかの? 逃げたりはせんかの?」


「ノルンちゃんなら大丈夫よ~、大人しいもんだろうからしっかり引き付けてね♪」


「? お、おぅ……それでは行ってくるのじゃ……」




「おぉ……近くで見るとこれはまた……優しい目をしておる……。密かに絵本で見て憧れておったのじゃ、我が家に連れ帰って飼うのはどうかのぅ……いや、旦那様が居るから逃げてしまうか。悔しいが仕方ない、今一時だけでも愛でさせてもらおう。おぉ、そんなに顔をすり寄せてきて、人懐っこいのぉ……ふふふ」


 ザグッ!!


「はへっ? んなっ……っ! なっ!? んなあああぁぁぁぁああ!?」




……




「お、帰ってきたか。お帰り~……って何があった!? 血塗れじゃないか!」


「う、うええぇぇぇ……お前さまぁ……ユニコーンがぁ……ユニコーンがぁ~」


 慌ててノルンの体を確認するがどうやら返り血? 怪我は無いようだな……。ってかユニコーン? ユニコーンがどうかした?


「いや~、ユニコーン狩りを手伝って貰おうと思ったらなんか絵本とかでの憧れがあったみたいで……。ごめんね~ノルンちゃん」


「あ~、なるほどなぁ……ってか立派なユニコーンだなこりゃぁ。今夜は馬刺しとステーキと……う~む」


 ユニコーンと言うと聖なる幻獣ってイメージがあるが実際は田畑を荒らす害獣である、体躯も立派で風のように走るが男が居たら逃げる、処女おとめでないと乗れない扱えないと、軍馬に使用も出来ないため保護区以外では基本駆除対象になっている。

 まぁ、貴重な魔道具の材料になるから保護区外で争奪戦になってる可哀想な生き物でもあるが……。


「とりあえずノルンは風呂で血を洗い流してこい。……ってかマリー! ノルンを危険に巻き込むどころか泣かせるとか……覚悟は出来てんだろーな?」


「いやいやいや! そういうつもりは全く無くてね! ちょっとノルンちゃんの為に作りたい物があってさ! ユニコーンの素材が必要だったんだよ~! あっ! そうだこれ! ユニコーンの角あげるからこれで何かノルンちゃんに作ってあげなよ! ね?」


「はぁ……何を企んでるかは知らんが下手なことしたらマジで触手貼っつけて荒野に放り出すぞ?」


 牽制の言葉にマリーが肩を跳ね上げる。確定、絶対ろくな事考えてないぞこいつ!


「ギクッ!? だ、大丈夫よ~何も企んでないから~……多分」


「なんか言ったか?」


「大丈夫大丈夫! 何の問題も無いわ!」


 ……怪しいことこの上ないがなんかあったら触手とランデブーして頂こう。いかにろくでなしのボケ老人でもその辺の損得勘定は出来ると信じたい。

 にしても……ユニコーンの角ねぇ……、そういやノルンは杖持ってなかったな、この際だから素材を惜しまずなんか良いのを作ってやるか……。


……


「マリー、もう帰るのかの?」


「ユニコーン料理も頂いたしね~、用事は済んだし泊まろうとしたら嫌がりそうな人もいるし……」


「嫌がりそうじゃない、嫌なんだよ。さっさと帰った帰った!」


「冷たい弟子ね~……あっ、ノルンちゃんノルンちゃん! ちょっとこっちに」


「なんじゃ? どうしたのじゃ?」


「今日のお詫びにね……これが、こうで……ゴニョゴニョ……」


「なっ……なんと!? そのような!」


 な~んかすっごい嫌な予感する~。おおっぴらに渡せない物とか怪しい匂いがプンプンするんだが……まぁ口出しするのは無粋だし……あ~っ! でも嫌な予感しかしない!


「何よ~ジロジロ見て~」


「お前が怪しい動きしないか見張ってんだよ!」


「またまた~、あっ! そうかそうか、きみも何か欲しいんだね? ならばこの本をあげちゃおう!」


「なんだこれは?」


 『全種族網羅! 異種間恋愛のすすめ』? こっちの世界の恋愛ハウツー本?? 著者は……マルグリット……てめーかよ。


「きみは愛情表現が不器用だからね! これを読んでしっかり研究しなさい!」


「余計な御世話だ! 早く帰れ!」


「はっはっはっ! じゃあノルンちゃんまたね~♪」


 ったく……一体何しに来たんだかあいつは……。ってかノルンは一体何を渡されたんだ?


「ノルン、さっきあいつに渡されたのは……? ノルン? どうした? 険しい顔して……」


「っ! い、いや、なんでもないのじゃ! さっきのは……あれじゃ! 女同士の秘密というやつじゃ!」


 ……慌てる様子が怪しいが深掘りするのはやめておこう、小学生の頃に女子の保健体育授業に関して聞き回って袋叩きにされたしげお君みたいにはなりたくない。今はマリーが置いてった馬肉の残りをどう調理するかだな……さてどうしたものか……。

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