世界樹探索
「ぐぉ……っ! ノルン? 大丈夫か?」
「ぬぬぅ……うぅ……な、何がどうなってこうなったのじゃ? それに……この状態は……。ハァ……ハァ……お、お前様……」
何がどうしてこうなった? それは俺が聞きたいところ、なんで我が家の探索を行っていてこんなことに……。
……
「お前様~早くせねばおいてゆくぞ!」
「そんなに走ったらこけるぞ? ってか一階部分で分かってるつもりではいたが……マジで広いなこれは……」
ちょっくら散歩のつもりで階段を登ったものの、登った先は思いのほか広大、廊下から繋がる部屋がそれぞれ十畳位で十部屋以上。明らかに住居スペースが一階より広いのは仕切りの壁で支えられるからその分部屋にリソースを割けると見た。
ってか部屋数凄いけどこれ何階建てだ? 雲に届きそうなあの高さを見るに嫌な予感しかしないんだが……。
「お前様! これはいいのぅ、それぞれの部屋に作り付けのクローゼットに飾り棚、窓も広く取っておって光の入りも申し分ない! 将来の子供達も喜ぶぞ!」
「あ、あぁ、うん、ソウダネ」
まぁ子供は置いておいて、多少入り組んでいるものの中央から放射状に配置された部屋、それらが北の部屋も南の部屋も光を十分に取り込めているのは一体どういう絡繰りだろうか? 世界樹……謎の多い木だ……。
「お前様! こっちに階段があったぞ!」
「おう、次はどんな感じになってんのかねぇ」
期待と共に階段をゆっくりと登る、光が階段まで差し込んでいるのを見るに三階は大部屋になっているのかな……っ!?
「は? へ? 森??」
「……森じゃのぅ、一体どうなっておるんじゃこれは?」
森、確かに森。鼻腔をくすぐる腐葉土の香り、さわさわと木々の葉の擦れる音が耳に優しく響き、下階の二倍はある高い天井の隙間から陽光が差し込み神秘的な光景を作り出している。神域として祀られている場所であると説明を受けたら信じてしまいそうだなこれは。
「ふむふむ……神秘的と言うか荘厳というか……じゃがこの木々は一体どこから出てきたのじゃ?」
「いや……こりゃ出てきたじゃないな、巻き込まれたんだ」
「巻き込まれた? どういう事じゃ?」
「どれも樹皮の一面が焦げたようになっている、恐らくノルンの魔法で出来た焦げ跡だ。多分世界樹が成長するときに家の周りの森を巻き込んじまったんだな」
よくよく見てみれば樹木の種類や特徴的な枝ぶりなど、見覚えのある木が多数ある。だが元よりかなり成長しているように見えるのは世界樹の持つ恩恵か何かだろうか? まぁなんにせよ潰されたり埋まったりしたわけじゃ無いみたいで良かった。半年以上も共にあれば愛着だって湧くもんだ。
幹に手を当てると世界樹からの魔力が内部を巡っているのがよく分かる、根から一体化してるみたいだしこれなら枯れずに済みそう……。
「お、お前様! 顔! 顔っ!」
「ん? 俺のハンサムフェイスがどうかした……ってんなっ!? 樹木人!!」
目の前にいきなり巨大な顔が出現し思わず飛び退く、が、どうやら攻撃してくる様子は無い?? 手を当てていた幹はどうやら樹木人の鼻? の部分であったようで、むず痒かったのかしきりにくしゃみをしている。
「お前様大丈夫か!?」
「ああ、大丈夫……ってか取り込まれた木が樹木人化してるとは……。魔物化はしてないみたいだが一朝一夕で変化するようなもんじゃないぞこれは」
「お前様の魔力を吸収した影響かの? 敵意や悪意は感じんから問題は無さそうじゃな」
樹木人は別名森の管理者、強い魔力を受け続けた木々が精霊化した物で人知れず木々を育て、剪定を行い森をより良い状態に保ってくれる樹の精霊の一種だ。基本温厚だが森を荒らす者には厳しい罰を与えることで知られている。
侵入者が現れてもこいつらが対応してくれると考えたら天然のセキュリティになるな……。まぁ、俺が居る一階を抜けれる奴が居たらの話だが。……そんな奴が居たとしたらこいつらじゃ止めれないな……まぁ、森になっちまってるここの手入れが必要ないと考えたらお得っちゃお得か。
「おぉっ、お前様茸人もおるぞ! 歌人花まで! 植物の精霊の見本市じゃのぅ」
「世界樹の効果か短期間で多量の魔力に晒された影響か……なんにせよ茸人は助かるな、食用茸を勝手に栽培してくれるから食材が増える♪」
「茸は色々使えられていいのぅ、お前様、茸たっぷりのシチューが食べたいから作って欲しいのじゃ!」
「シチューかぁ、いいねぇ。また時間があるときに作るかな? よし、そんじゃ気を引き締めて次の階に行ってみるか!」
樹木人が道を開けるように幹を動かし、出来た道の先に階段が見える。さてはて客間に森と来て次はいかなる物か……こりゃ思った以上に楽しくなってきたな……。




