ウッドハウス
「ノルンちゃんは何か希望とかこうしたいとかあるの?」
「妾は旦那様と一緒ならどこでもなんでも大丈夫じゃぞ?」
「……だそうです」
「……独り身には君達はもはや猛毒だねぇ……。まぁ、素材や様式にこだわらないならいいものあるよ~♪」
「……いいもの、ねぇ……」
「あ~、信じてないね? まぁまぁ、エルフの技術は世界一ぃ! 騙されたと思って見てみなって!」
……その言葉に俺は過去一体何回騙されたことだろう……ド〇えもんよろしく万能チックに何かを出してはお約束のようにオチをつける。怪しい触手生物やら意味不明な動きをするゴーレムやら……エルフの里を訪れるまで俺の中のエルフ像は『危険なマッドサイエンティスト集団』だったからなぁ……。
「え~っと……確かこの辺に……っとあったあった!」
「てめーの胸の谷間は四〇元ポケットかよ」
「四次……? なにそれ? まあご覧なさいよ! これが起死回生の一手!」
「なんじゃ? 種?」
「……種だな」
マリーが谷間から取り出したのは不快な温もりを放つ一粒の植物の種、起死回生? 種で? どうやって? 訝しむ俺らを眺めてマリーが顔の前でチッチッと指を振る。
「ところがこいつはただの種じゃないんだなぁ♪これぞマリーおねーさんの……あ~……ゲフンゴフン! 年の研究の結晶! 『ウッドハウスの種』でっす!」
「ウッドハウスの種?」
「ウッドハウスとはあれかの? エルフ族が住む樹木をくりぬいたり洞を加工して作った住居のことかの?」
「そのと~り♪ノルンちゃん博識だねぇ。エルフの里にあるような家は長い年月をかけてそう育てたり火事で焼けて中身が空洞になった木を利用してるんだけど、この種は魔力を注ぐ事で持ち主のイメージ通りに成長するんだ♪注いだ魔力の量に応じて大きくなるからダイキなら大豪邸が建てられるよ!」
「ほぅ……珍しくまともなもん出してきたなぁ……」
「珍しくって失礼じゃない?」
「ふむふむ、ただの痴女ではなかったのじゃの……」
「ノルンちゃんまで……!」
まぁ凹んでるマリーは置いといて、それが本当だとしたらこりゃ中々に画期的。イメージした通りに出来るのなら一々図面を気にする必要も無い上、根を張った樹木がそのまま住居になるなら基礎を作る必要が無い。ただ……まだなんか裏がありそうなんだよなぁ……。
「……これは本当に安全な物なんだろうな? きちっと自分で試したか?」
「今私が住んでる家もそれで作ったけどなかなかに快適だよ~♪さあさあ大船に乗ったつもりで試してみなさい!」
う~む……こいつが試して大丈夫だったなら……まぁ、なるようになるか。ノルンが期待した目で見ているし、ここは気を張ってやってみるか。
「こいつは? 地面に埋めて魔力を注げば良いのか?」
「なんで汚い物持つみたいに爪で抓むのさ……埋めて魔力注げばあとはイメージしながら構築していくだけだよ~、きみなら簡単簡単、さぁやってみよ~♪」
「念の為家具と食材はそっちで守っていてくれ、んじゃあ気合入れてやってみますか!」
「お前様~頑張るのじゃぞ~」
種を土に埋めて魔力を注ぐと……お? 芽が……おおぉ……ニョキニョキ成長していく! あれだ! これあれだ! トト〇のドングリだ!
「おおぉお! 凄いのぅ! みるみるうちに成長していっておる! マリー! 見てみよ! もうこの森のどんな木より大きいぞ!」
「お~、凄いね~流石ダイキ……ってあれ……? こんなでかくなるっけ?」
まずは玄関からリビング……キッチン、トイレ、風呂場に個室や客間を……やっべ、これめっちゃ楽しい! よし……そろそろ供給を……供給を……? なっ!? 魔力が……吸われる??
「ちょっ! おい! マリー! これ成長が止まらねーぞ? どうなってんだ!?」
「……え~っと……あ~……ごめん! 試作品の世界樹ベースの種渡しちゃったみたい!」
「は? はぁ!? 世界樹って……世界最大の樹木の……はああぁぁあ!?」
「吸精樹木人を混ぜちゃってるからその子が満足するまで成長止まらないかも~」
「てめーふざけんなよ! 世界樹が満足するまでってどんだけでかく……くそっ、魔力を強制切断して……」
「あっ、途中で供給やめたら足りない魔力を大地の養分で補おうとするから土地が枯れ果てちゃうよ~!」
はっ!? 待て待て待て! そんな事なったら畑が! 丹精込めて育てた俺の野菜達がっ!?
「お前様! 気をしっかり持つのじゃ! 子供部屋は多ければ多いほどよいぞ! 気にせず沢山作るのじゃ!」
「いや~ん、ノルンちゃん大胆♪ダイキ頑張りなさいよ~!」
「頑張れっつったって……うぉっ、ちょ、これ……マジか!? マジかぁ!? くそったれええぇぇぇえ!!」
俺から魔力を無尽蔵に吸収しつつ世界樹が周囲の全てを巻き込み成長を続けていく。ってか、部屋ってか……こんなっ、規模のっ……図面なんざっ……詳細にイメージなんか出来るかああぁぁぁぁああ!
「おおぉ! あんなに大きく! 部屋数が一体いくつあるのじゃ!? お前様そんなにも妾を愛してくれておるのか! 妾は……妾は嬉しい!」
「おぉ~……これまた雄々しく立派だねぇ……ってか、これ、ここらも危な……っ! ちょっ! ノルンちゃん逃げるよ!」
「ふぇ? なっ、なんじゃマリー! 旦那様の雄姿を間近で見るのじゃ! 邪魔をするでない! こら!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……メキメキバキバキッ!! ズズズン……。
読んで頂きありがとうございます(っ´ω`c)
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