話せば分かる
「う゛~……頭が痛い……景色が回るのじゃ……」
不安が解消したのと怖い目に遭ったのと……気持ちは分かるので一緒に寝るのを許したけど……。疲れた身体で病み上がりの人間とずっと一緒にいたらそりゃあ感染るよなぁ……。
「ほら、ノルンが採ってきてくれた薬草だ、煎じたから飲むんだ」
「むぐっ……う゛~……に、苦いのじゃ……ぐうぅ……」
「二、三日安静にしてたら治るだろう、それまで無理はするんじゃないぞ?」
「……お前様、手を握っていてくれぬかの? そばにいて欲しいのじゃ……もし、妾にもしもの事があれば妾のことは忘れて……」
「死なねぇから安心しろ、忘れろって言うがお前のやらかしはいちいちインパクト強すぎて忘れようが無いよ、それに……」
「それに?」
「いや、いいや、お粥作ってくるからゆっくりしてろ」
名残惜しそうに絡みつく尻尾をほどき部屋を出る。……俺は今何を口走ろうとした? あ~、まだ風邪の影響残ってんな……全く、病気はするもんじゃない……。
『どうしたのだ? 顔を真っ赤にして……風邪がぶり返したのか?』
「うっせぇよ、ってかまだ居るのかよてめーは」
『ククク、何ともここは居心地が良くてな……なに、二人の邪魔はせぬから存分にイチャつくが良い、ククク……』
「ったく、人ん家で昼間っから酒かっくらって良いご身分だな……って酒? 酒……??」
おい、おいおいおい、ネクロス君? 君の持ってる酒瓶、僕にはとっても見覚えがあるんですが??
『いや~貴様も人が悪いな、こんな良い酒があるなら教えてくれても良かろうに? ささ、お前も飲め、ってお前の酒か? ククク……』
「……てめぇ……晩酌用の取って置きを……!!」
『ごふっ!? ちょ、ちょっとまて! 剣を仕舞え! そもそもこの酒は兄上の酒蔵にあったものだろう!? 兄上亡き今儂にも相続の権利がある!』
「……ぬぐぐ……。? っつーかその大荷物は何だ? 昨日までは無かっただろう?」
『奥の部屋が空いておるようだしな、儂も根無し草では辛いので借りるぞ? なに、生活の邪魔はせぬ、都合が悪い夜は言ってくれれば席を外……』
「『聖剣』」
『んなっ!? ちょっ……ちょっとまて! 流石にそれは儂でもヤバい! 話せばわかる!! な? 対話は大切だ!』
「……その言葉……戦争してた時に聞きたかったよ……」
『いっ……嫌っ……ぎっ……ぎぃゃあああぁぁあぁああぁあ!!』
……
「治った~~! ようやく喉の痛みと倦怠感が消えたのじゃ!」
「まだ治ったばかりだからな、無理したらぶり返すから気を付けろよ?」
「うむ! これも毎夜毎夜お前様が手を握り愛の言葉を囁いてくれたおかげじゃ……愛の力は偉大じゃな!」
……全く覚えが無いんだが……幻聴を聞くほど不安だった?? そこまで高熱が出た様子は無かったが……??。
「ぬぬ? 伯父上は帰ったのかの? 姿が見えぬな??」
「あ、ああ、逝く所があるって還ったヨ?」
「そうか、それは重畳重畳、伯父上のことじゃから恩に着せて居座りかねんからのぉ」
「ソウダネー」
「……? そしてなぜ壁が一面無くなっておるのじゃ? 風通しを良くするにせよこれじゃと雨が吹き込んでしまうぞ?」
……子細は伏せるが……原因を話すのは憚られる……う~む……よし!
「部屋数を増やそうと思ってな、壁を先に抜いておいたんだよ」
「……! お前様!! そうか……そうか! ようやくその気になってくれたのじゃな?」
「……? 何の事か分からんがまぁ、喜んでくれてるなら良かった」
あんなに喜んでくれてるってことはもしやノルンも自室が欲しかったって事か? そうかそうか、なんだかんだお年頃だしな、気合入れてきちんとした部屋作ってやるか!
「さて、それじゃ飯にするか! 何が食べたい?」
「うむ! 今後のこともあるし精のつくものがよいの!」
「……?? あぁ、病み上がりで体力落ちてるしな。よっし、快気祝いに豪勢にいくか!」
色々あったがなんにせよ何事も無くて良かった、繰り返さないように体調管理には気を付けないとなぁ……。




