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シフォンケーキ

 しとしとしとしと……この擬音を作った人は凄いよなぁ、雨が降ってる様子がありありと頭の中に浮かぶ。ってか、朝からずっとしとしとしとしと……畑仕事も出来ないし暇だなぁ、最近忙しかったからたまには休息も必要かとは思うが……。

 まぁ、同じく暇に飽かせたノルンが尻尾を巻き付けて拘束してきてるのでどっちにしろ身動きは出来ないんだけどね……。


「お前様~、暇じゃ~暇すぎる~……何か無いかの?」


「チェスやオセロならあるぞ~?」


「嫌じゃ、お前様が強すぎて勝負にならん」


「ちゃんと手加減するって、ナイトとルークとキャッスル落ちでやるか?」


「手加減されるのも嫌なのじゃ! まぁ……キング落ちならやってもよいぞ?」


「それ始まった直後に俺の負けじゃねーか……ってか暇なのは分かるが尻尾をほどいてくれよ、身動きできねーだろ……」


 両手を挙げて降参をアピールするもしっかりと腕に抱き付き尚も尻尾で締めつけるノルン、暇だ暇だと言いながら身動き取れなきゃ何にも出来んでしょーが。


「はぁ~っ……仕方ない、んじゃ美味いもん作ってやるから離してくれよ」


「なぬっ? 美味い物とな? なんじゃなんじゃ? 今日は一体何を作るんじゃ??」


「現金だなぁ……まぁ動けなくちゃ作れない、そろそろ離してくれよ」


 一瞬『しまった』といった表情をしたノルンが渋々といった感じに拘束を解く。う~、あばらがギシギシ言ってる……ちったあ加減を覚えて欲しいもんだな。


「むむぅ……もう少し密着しておりたかったのじゃがのぅ……してお前様、何を作るんじゃ?」


「昨日マヨネーズで余った卵白があるからな、シフォンケーキを作ってみるか?」


「シフォンケーキ? ケーキは好物じゃぞ♪ さてさてどんなものなのかの? こないだのパウンドケーキみたいな物かの?」


「材料は変わらないけどな、配分が変わる。パウンドケーキはずっしりとしたケーキだがこっちはフワフワのスポンジケーキだ」


「前回のも美味かったが楽しみじゃのぅ、さぁ作ろうではないか!」


 さっきまでの鬱々とした雰囲気はどこへやら、……チョロい……とは口に出さないでおこう。


「ぬぬ? お前様、何か妾の顔についておるかの? それとも何か良からぬ事を……」


「いやいやいや、なんでもありませんよお嬢さん♪それじゃあ材料揃えていくぞぉ」


「ぬぅ……怪しい……」


 毎回変なとこで勘が鋭いんだよなぁ……そんなに読まれやすい顔してるかな? さて、材料材料……小麦粉、ベーキングパウダー、卵、砂糖にバターあと牛乳っと。


「ふむ、今回は卵が多くてバターが少ないんじゃな?」


「スポンジ状の生地を作る際にはメレンゲが肝だからな、たっぷりのメレンゲを混ぜ込んで焼き上げる事で空気を含ませてフワフワにするんだ」


「そしてこの型は……初めて見る形じゃの? なんで中央に煙突のような物があるんじゃ?」


「中まで火を通しやすいようにって聞いたな。まぁ小さい型で焼けば問題ないが、こういう大きい型で焼くときは中心に火が通らず生焼けになるんだ」


「ふむぅ、よく考えられているんだのぅ」


 まぁ俺もそこまで詳しいわけじゃないが……でもこの型を作ってくれって言ったとき鍛冶屋が首捻ってたっけなぁ……。町救ったお礼にって色々作ってもらったけどあのおっさん達元気かなぁ。


「お前様? 手が止まっておるぞ?」


「ん? あ、あぁ、そんじゃ作るか! まずは卵黄を泡立て器でほぐして砂糖を加えてすり混ぜるっと。ノルンは前と同じ、メレンゲを頼むよ、今回は砂糖を一緒に混ぜてくれ」


「あい分かった、任せるのじゃ」


「……床壊すなよ?」


「さ、さて、何の事やら? お、お前様! 口ばかりで手が動いてないぞ! 早くするのじゃ!」


「ククク……はいはい!」


「はいは一回なのじゃ!」


「は~い」


 さて、すり混ぜた卵黄に少しずつ溶かしバターを加えて混ぜて、続いて牛乳を入れながら混ぜていく。


「お前様! 出来たぞ!」


「よし、こっちに入れていこう、泡を潰さないようにさっくりと……と」


「粉も振るっておいたぞ」


「おぉ気が利くな、流石ノルン」


「ふっふ~♪もっと褒めてくれていいのだぞぉあああぁ!?」


 あ~あ、褒められたのが嬉しかったのか制御不能の尻尾が粉を……はっくしょん!! あ~あ、全身粉塗れ……。


「うぬああぁぁぁあ……お前様すまぬぅ……」


「まあ仕方ない、さっと生地を作って焼いてる間風呂に入ろう」


 さあ、改めて振るった粉類を混ぜて型に流したら数回型を落として空気抜き。予熱したオーブンに入れて焼き上げるっと。



……



「ふう、いい湯じゃった、雨を眺めながらの露天というのも乙なものじゃのう」


「風呂に屋根作っておいて良かったな、さて、焼き上がりはいかほどに……」


「おお~! 溢れるほどに膨らんでおる! それに良い香り……ぬあっ!? お前様! ケーキが萎んでゆくぞ!?」


「中の膨らんだ空気が冷えて縮んでるんだよ、大丈夫、これが普通だ」


 クーラーの上に逆さに置いて粗熱をとって……と。あとはこいつを……。


「お前様、何をこそこそしておるのじゃ?」


「ん~? 秘密♪」


「ぬぬぅ……秘密と言われたら見たくなるのが人情じゃのう、ちょっとだけでも見せてくれぬか?」


「まぁそれは出来てのお楽しみだな」


「む~! ケチなのじゃ! 夫婦の間に隠し事などと……お前様はそんなに薄情な夫だったかえ?」


 なにやら話が大きくなってしまっているが……泣きまねしてるノルンは置いといて、これ以上うるさくされてもなんだしまだ温かいけど盛り付けるか。


「おお、切った感じもフワフワしておるの! ん? なんじゃ? その白いのは?」


「ホイップクリームだよ、生クリームを泡立てた物だ。そして更に……」


「ぬぬっ? イチゴにイチゴジャム! 更にはラズベリーにブルーベリーまで!」


「シフォンケーキ三種のベリートッピング、完成だ」


「うむ! これは絶対に美味しいやつ! いざっ! いただきま……っなんじゃ? なぜ皿を下げる!?」


「いや~、俺ってケチで薄情な夫ですから? どうしようかな~?」


「ぬうぅ! 意地悪はよすのじゃ! いつでもお前様は最高に格好いい妾の理想の旦那様なのじゃ! じゃから……おおぉ!」


 誘導したのは俺だがそうまで言われると照れるな、ってかこいつケーキに夢中でもうこっち見てねぇな……果たして本音か??


「フワフワで口の中でホワッと解れるのじゃ! 生クリームの滑らかさとフルーツの酸味と甘味と……そう、これは絵画、皿の上に描かれた絵画なのじゃ……」


「そんな大層なもんでもないがな、だが、うん、美味い!」


 風呂上がりの火照った体に雨で湿った空気が心地良い、昼間っから風呂に入って優雅にティータイム……贅沢な時間だ……。雨の日ってのもたまには悪くない……んん?


「? ノルン、どうした? 固まって」


 ピチャン


「いや、ケーキの中の無数の気泡然り焼き型の煙突穴然り、穴のあいとる事には意味があるのじゃなぁ……とな」


 パタタッ


「? ああ、そういう事は多々あるもんだな、急にどうしたんだ?」


 パラパラッ


「いや、その理論からするとあの穴にも何か意味はあるのかの? とな?」


 ピチャンピチョン


「あの穴って……!? あ、雨漏り!? うっそだろ? マジかよ!!」


 いつの間に屋根壊れてたんだ!? 急いで塞がなきゃ……っ……あ~っもう! これだから雨は嫌なんだ!!

シフォンケーキ


 こちらも基本の洋菓子ですね、最近は百均とかでも型を売ってますなm(・ω・m)


17cm型1個分


卵黄:3個分

卵白:4個分

砂糖:70g

バター:30g

牛乳:50ml

薄力粉:70g

ベーキングパウダー:3g


1.卵を卵黄と卵白に分けておく、小麦粉とベーキングパウダーは合わせて振るっておく。


2.ボウルに卵黄と砂糖の1/3程を入れ泡立て器で白っぽくなるまで混ぜる。


3.室温で柔らかく戻したバターを加えて混ぜ、混ざったら牛乳を加えて更に混ぜる。


4.別のボウルに卵白を入れ泡立て器で泡立てる、途中で残りの砂糖を半量ずつ加えていき、柔らかい角が立つまで泡立てメレンゲを作る。


5.メレンゲの1/4を③に加えてしっかり混ぜ、残りのメレンゲを入れ底から掬うように泡を潰さないようにヘラで混ぜる。


6.粉を加えて切るようにさっくり混ぜ込む。


7.170℃に予熱したオーブンで30分焼く、焼けたらケーキクーラー等の上に逆さまに置き冷ましておく(逆さまにする事で焼き縮みを緩和できます)



 注意点としてはメレンゲを泡立てる際には綺麗な泡立て器を使うこと、泡立ちが悪くなり苦戦します。しっかりふわふわのメレンゲにする事でふわふわなシフォンケーキが出来上がります、お試しあれ(*´ω`*)

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