第98話 岩石の怨念
結局、賢者のローブを追加で500回叩き、+3まで強化した。
賢者のローブ+3(被ダメージ10点減少、MP自然回復率+50%、MP消費軽減+12%、重量5)
強化内容は『被ダメージ軽減強化』と『MP消費軽減強化』だ。
『被ダメージ軽減強化』を行うと3点増えたが、他のメニューで強化しても1点は増えるため長い目でみると微妙なのかもしれない。
とはいえ失敗するとロストしてしまうため、そもそも長い目でみれないのかも知れないが。
ここから先の強化はロストの可能性があるので慎重にいきたい。ローブ系の+5などの追加効果はMP消費軽減、MP自然回復率、最大MPが多いらしく中でも最大MPは大変魅力的だ。
頑張って後900回叩いてみたい。暇な時に。
今使っている『炎術の杖』(火魔法の消費MP1点減少、魔法ダメージ3点追加、重量2)の強化は、今後もベースとして使っていくか迷ったため見送った。
『アイテム作成』をみると、やはり手持ちの素材で作れるものの一覧に『獄岩の杖』があったからだ。
上級エリアの素材ならばもっと良い杖ができそうだと調べてみれば『獄岩の杖』(魔法ダメージ23点追加、土魔法ダメージ15%追加、最大MP+25、重量35)というちょっと重いが素敵な杖だった。
欲しい。
ちなみに獄岩系防具は鎧しかなく、ローブは見当たらなかった。でも鎧も最大HPがもりもり増えるようでちょっと惹かれる。しかし今の自分のステータスなら普通にEPで増やした方がお得だ。というか装備枠少なすぎなのではないか。普通アクセサリ枠くらいあるだろう。
防具は当面『賢者のローブ』でいいだろう。
杖だ。ソロ狩りが捗る平均ダメージが高い杖が喉から手が出るほど欲しい。
鍛冶場の話を聞きつけたイーストメンバーがやってきたので挨拶もそこそこにこっそり抜け出した。
……また苦行を押し付けられる予感がしたからだ。
「土槍、土槍、土槍」
もはや作業と化した獄岩石狩りだ。土属性領域となっているこの創成イースト界で、土槍の詠唱破棄を手に入れた俺は鼻歌混じりに狩りができるようになっていた。
敵を倒し終わり、ふとステータスに目をやるとさっきまで余裕があったLCがほぼ枯渇していた。
なんぞやと思いつつ装備欄にあったのは『炎術の杖』ではなく『獄怨の杖』(被ダメ軽減無効、重量65、装備変更不可)だった。
どうやら怨まれたらしい。
はたして特殊効果の被ダメ軽減無効とは……対象は自分なのか相手なのか。
このゲームに呪いを解いてくれる神官なんているんだっけか。
筋肉痛予備軍の怠さを訴える右腕をさすりながら、そんなことを益体もなく考えるしかなかった。
