表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/107

第8話 買い物


 NPCの猫の人をタップし、購入のウィンドウを開く。

 魔導書はリアルマネー決済の目立つタブに即時回復アイテムと一緒に並んでいた。


「三千円って言ってませんでしたっけ?」

「ん? 今いくら?」


「初級の火の魔導書で五千円なんですけど」


「⋯⋯あいつ、ボリやがって!」


 言葉使いが汚くなってきたルイさんを放置して決済に進む。界の主同士はあまり仲が良くなさそうだ。


「とりあえず火を買えばいいです?」


「⋯⋯そうね。火は必須だけど。いいの?」


「19時から会社の飲み会があるんで。時間ももったいないですよね?」


「うーん。確かに他の界まで行くのも時間も交通費もかかるけど」

「なら、オッケーです。買います。他にイースト攻略で必要なのあります? 」


「火の中級ね。いくらになってる?」


「⋯⋯四万円ですね」

「うーん。ちょっと高いけどホクダイでもその位かも」


 行き場のない思いを抱えつつもポーカーフェイスを装い決済ボタンを押すと、しばらく経ってからスマホのアプリ決済の音が鳴り響く。俺のステータスに初級と中級の火魔法が追加された。


―STATUS―

 Name: さいとー

 HP: 30 / 30

 MP: 30 / 30

 LC: 10

 EP: 0

―Skill―

 火球 cost: 8

 消火 cost: 10

 火矢 cost: 15

 耐火 cost: 18


「後は⋯⋯MPの即時回復ポーションが欲しい所だけど」


「一個五百円ですね。もう、十個買っときます」

 半ばヤケクソに決済ボタンを押した。

「あっ。ちょっと待って」


 鳴り響く決済音。


 俺のLCはそれだけで枯渇し、ケバケバしい黄色と黒のワーニングと行動ペナルティが表示されていた。


 ⋯⋯普通、課金アイテムって無制限に持てるもんじゃないの? 運営アホなの?


「とりあえず、エーテルで買える魔法使いの杖は私が買うからMPポーション6個渡して」

「⋯⋯はい」


「このゲーム、レベルが足りなくても物を持ってくれるポーターが意外と重要なのよね」

「⋯⋯でしょうね」


 火魔法使用時のcostを1点下げる効果のある炎術の杖と、何故か一個あたりLCを2も使うMPポーション6個をルイさんとトレードする。やはりと言うか、トレードも近くにいる人としかできない仕様だ。


「イースト攻略でのお兄さんの役回りは、耐火バフと消火がメインだから」


「攻撃は不要です?」

「メンバー10人、耐火バフを切れない様に運用できてMPが余るなら考えてもいいかな」


「なるほど⋯⋯金に糸目をつけずにMPポーションをジャブジャブ使えば現状でも不可能じゃないんですね」


「いや、流石に今のままだと死ぬし」


「流石に無理ですか」

「リスク高過ぎ」

「⋯⋯お金もかかり過ぎですしね」

「そういうこと。メンバー集めるのだって意外と大変なのよ」


 さもありなん。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作の異世界トイレもよろしくです!

拙著ファンタジーには馴染めないコミカライズ第一巻、フロンティアワークスさんのFWコミックスから発売中!

再掲してますのでファンタジーには馴染めないもよろしくです!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 8話まで読み、 業務なので魔導書やバフは経費で 精算できるのではと思いました。 自費持ち出しならフリーランスで 働いてるのと変わらないような気がする。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ