表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/107

第48話 蔵前の倉庫番


 翌朝、喉の渇きで目が覚めた。

 酒飲んだら水を飲んでから寝ないとアカン。


 カウンターのおばちゃんに大浴場に水持って入っていいかお伺いしてみると、大丈夫との事だったので500mlのペットボトル2本持ち込みで、性懲りも無くサウナ水風呂3ターンした。


 本日の予定はお客様(田辺さん)と魔法の購入だ。ついでに独立起業の意思は伝えてしまおう。



 待ち合わせ場所に指定されたのは、浅草線蔵前駅からほど近い精華公園だった。京急蒲田駅まで歩けば一本で行けるので気楽だ。



「お疲れ様です」

「お疲れ様です。さいとーさん。場所はすぐ分かりました?」


 干上がったビオトープ前にいた田辺さんはビジネスカジュアルだが靴はランニングシューズだ。もう1人は若めの小柄な男性。


「はい。大丈夫でした」


「こちらが蔵前界の主で、チームウェアハウジングのリーダー。ワイズマンです」


「初めまして、さいとーです。今日はお世話になります」


「カイザー。彼が例の?」


 ⋯⋯か、かいざー?


「⋯⋯そうです。魔法使いのさいとーさんです」


 俺の隠しきれなかった驚き顔に、バツの悪そうな顔をした田辺さん(カイザー)は頷いた。

 道理でフレンド登録を求められない訳だ。


「よろしく、さいとー。今、調整する」


 スマホを操作するワイズマン。悪い人ではなさそうだが、名前ほど賢くはなさそうだ。

 とりあえず、見猿聞か猿言わ猿案を採用してこちらもアプリを立ち上げる。ここはアクティブな敵はいない初級エリアだ。


「魔導書の値段変更完了。よいぞ、さいとー」


「はい。お手数かけます」


 画面のNPC商人さんをタップして、水と風の中級までの魔法をカートに入れていく。六万六千円だ。来月のスマホ料金が怖い。


 鳴り響く決済音に、何か大事な物を失った気がした。⋯⋯お金か。


―Skill―

 火球 cost: 8

 消火 cost: 10

 火矢 cost: 15

 耐火 cost: 18

 石礫 cost: 10

 耐土 cost: 15

 土槍 cost: 18

 土壁 cost: 22

 力水 cost: 10 new

 濃霧 cost: 15 new

 癒水 cost: 20 new

 霧域 cost: 22 new

 突風 cost: 6 new

 無風 cost: 10 new

 竜巻 cost: 16 new

 風幕 cost: 20 new


 ⋯⋯増えたな。


 水魔法は、10分間自然回復量が倍になる力水パワーウォーター、敵味方関係なく局所的に視界を塞ぎ敵意を落とす濃霧ヘビーミスト、HPを即時回復する癒水ヒーリングウォーター、広範囲を霧で包む霧域ミストフィールドと攻撃魔法がなく回復魔法があるのが特徴。

 風魔法も行動阻害やノックバックをメインに風幕ウィンドベールが遠距離攻撃や初級魔法攻撃無効と強力そうに見えて遠距離攻撃なんてあったっけ?という微妙なラインナップだ。ノックバックも詠唱時間とタイミング合わせるのは至難の技だと思う。


 ⋯⋯原価だという事で購入してしまったが必要あったんだろうか。ただの貧乏性な気がしないでもない。


「中級魔法までをコンプできました。ありがとうございます」

「カイザーの頼みだ。否やはない。礼ならカイザーに」

「ワイズマン。私からも礼を言う。じゃ、さいとーさん、ちょっと打ち合わせしましょうか」


 食い気味に入ってきた田辺さん(カイザー)。照れなくてもいいのに。


 このゲーム⋯⋯迂闊な名前付けると中々の羞恥プレイを強要されてしまうが、何故かサブ垢作成もプレイヤー作り直しもできないのだ。謎パワーで既存キャラにログインされてしまい、プレイ中に他の人にスマホを渡すとアプリが落ちてしまうらしい。


 ワイズマンに軽く会釈して、そそくさと立ち去る田辺さん(カイザー)の後を追うように公園を離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作の異世界トイレもよろしくです!

拙著ファンタジーには馴染めないコミカライズ第一巻、フロンティアワークスさんのFWコミックスから発売中!

再掲してますのでファンタジーには馴染めないもよろしくです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ