表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/107

第4話 不人気職をお勧めされる


 魔法使いはお金(リアルマネー)がかかる。

 端的に言うとそういう事らしい。


 魔法を覚えるための魔導書はNPC商人しか売っておらず、初級魔法でも一つ3千円。魔法使いとして活躍したいのであれば最低限複数属性の魔法を保持するのがセオリーとの事。

 恐ろしいのが中級・上級魔法になると桁が一つずつ増えていくのだそうだ。ゲームの魔法一つに30万円とかアホか。

 経費で……落ちる訳ないな。


「上級魔法を複数持っているのは金を持ってる人だけね」

 ため息をつく様に言っているが、その魔法アタッカーになる事を期待してるっぽかったのだが……。そんな金はない。


「まぁ……そうですよね」


「使いこなせてる人は滅多にいないけどね」

「そうなんです?」

「詠唱内容は毎度変化するし、音声入力だからある程度の声量と滑舌の良さが必要かな」


「……音声入力?」

「そう……割とガチ目な詠唱を、公衆の場で」


「難易度高ぇーな」

「高ぇーっしょ? でも、属性が嵌れば火力凄いんだよね……」


「物理アタッカーはどうなんです?」

「物理は……短距離と長距離走れて……尚且つ正確なスキル入力できる素振り練習が必要なんだけど、お兄さん体力に自信ある?」

 視線がムリでしょ?って言っている。もちろん体力に自信などあるはずもない。


「見ての通り、ないですね」

「ですよねー。体力付けるか、それとも供給過多のタンクかポーターか、引く手あまたな魔法使いか」


「つくづくムリゲーな仕事だなぁ」


「仕事?」

「ススキノエリアを開放しろと」

「ああー電力会社の懸賞金か~」

「いえ、別口で」


「うーん? まぁいいか。ススキノ開放が目的なら魔法使いになってウチのチームに入りなよ!」

「魔法使い決定なんですかそれは?」

「どうしても魔法使いが必要なの。私の界を取り戻すために……」


 彼女は暴走しているススキノエリアに隣接したエリアの主だったらしい。界の主とは、プレイヤーも主となる事ができる界の管理者で、出現する敵を決めたり、課金アイテム売上から収入を得たりもできる様だ。この辺は後で担当の彼(お客様)にも確認した方がいいだろう。


「ススキノの前に橋頭保が必要でしょ?」


「よく分かってないですが……そんな気がします」


「隣接界を押さえて、間引きしていればススキノ界のエーテル暴走も少しは治まると思うし……育成手伝うからそうしよう!」


 願ってもない協力者だが、このまま勢いで押されて決めるのも危険だ。


「相談して決めないといけない相手がいるので、決定するのは相談してからでもいいですか?」


「もちろん。私はルイ。フレンド登録してね」

「さいとーです。しかし何で自分なんかを?」


「……ちゃんと働いていて昼に動ける人は意外と貴重なの」

「そうっすか」


 営業職にも見えないだろうし、どんな風に彼女の目に映っているのだろうか? ちゃんと働いていて収入がある=魔法使い適性なんだろうか。嫌な適性だな。


「ちなみに魔導書とかの課金はどこからするんですかね? いまいち画面見てても見当たらないんですけど」

「NPC商人に会いに行かないと買えないよ。他のゲームと違って」

「えっと……どこに?」

「今はこの辺にはいないね。ここ(ドーリ)も多分、週末夜には呼ぶんだろうけど」

「はぁ……」


 フレンド登録を行い、また連絡しますと挨拶もそこそこにルイさんと別れ、ホテルに戻ることにした。

 しかし、何でもかんでも面倒なゲームやなぁ……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作の異世界トイレもよろしくです!

拙著ファンタジーには馴染めないコミカライズ第一巻、フロンティアワークスさんのFWコミックスから発売中!

再掲してますのでファンタジーには馴染めないもよろしくです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ