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第27話 強過ぎた薬


 朝一にマスターから流されたチームメンバーへの同報メッセージは「さいとーさん、盾志望の未成年女子をナンパ。明日お披露目」と、やはり茶化したメッセージだった。

 実物は、見た目が完全に未成年女子なので全然シャレになっていないのだが⋯⋯。


 今日は家探しとゲームの調査だけで狩りには出ない予定だ。来週には出張扱いではなくなってしまうので、ホテル住まいを続ける訳にもいかない。


 担当の彼(お客様)に、状況報告とホクダイ界に住んで家に居ながらレベル上げ案を提案してみたが、低難易度界は意図せず主を乗っ取ってしまう事があるのでおススメしないと返答があった。

 乗っ取らないまでも長時間滞在しているだけで、主に乗っ取りを疑われる可能性大なので、主に挨拶必須だそうな⋯⋯なんて面倒な。


 プレイヤーが主をやっていないその他の界は、出現モンスターが雑多になるので、リスク高く引き篭もり活動(レベリング)案は却下。


 担当の彼(お客様)は家賃が安いが電波障害のススキノ推しだ。個人的には徒歩五分内に独り飲みできる場所があって、スマホが使えて寝られればどこでもいい。


 ドーリかイーストか。他の地下鉄駅の近くでも飲み屋くらいはありそうだ。ススキノは電波障害があるのでなるべく避けたい。


「斎藤君だったね? ちょっといいかね?」

 ノートPCで賃貸住宅サイトを漁っていたら声をかけられた。この胡散臭い威厳を纏った風の人は⋯⋯札幌事業部の部長だったかな。ほとんど顔も合わせる事もない北海道のトップが何の用だろう?



 パーティションで区切られたミーティングルームで向かい合わせに座る。接点のない上司とこういう場はあまり良い予感がしない。大抵がロクでもないお願いと言う名の指令だ。


「斎藤君の所属だが、関東から札幌に移管が朝の役員会で決まってね。裁量労働制のテストケースという事で、私の直下の所属になるから。後、住居はススキノ界?で探して欲しい」


「⋯⋯はっ?」

「ススキノの界とかいうのがあるんだろう? あのゲームだかの」

「それは分かりますが、住む所まで指定されるのですか?」

「いや、指定している訳じゃない。これはお願いだ。なるべくそうして欲しい」


 出たー! 伝家の宝刀「これはお願いだから」。ハラスメントコードを回避しているだけでやってる事は変わらない。


「つまり、従う必要はないと?」

「何か理由があるなら考慮しよう」

 ⋯⋯この狸親父は話通じないパターンやな。


「なるべく善処します」

「頼むよ。お客様から契約変更のドラフトが届いて、そういう要望があったらしいから」


 弱ぇー客に弱ぇー。客の要望を吟味せずに下々の者に丸投げェ⋯⋯。


「辞令は以上だ。メールで日報と、週に一度は出社して報告してくれ」

「⋯⋯承りました」


 面倒なタイプの上司に付いちゃったなー。これは日本酒でも飲みに行くしかないな。ツマミは何が良いか⋯⋯。


「後、今晩、親睦を兼ねて飲みに行こう。まだ札幌は詳しくないだろう? 出社してる時しか行けないだろうしな」

「あ、はい」


 逃げ出そうとしたが回り込まれた。


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