表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
札幌でクソゲーを攻略するお仕事ですが、残業代は出ますか?  作者: nov


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/117

第114話 主の権限

 狼は俺を見た瞬間、なにかに吠えた。


 やばい。

 その一声だけで分かる。

 こいつ、想定より大分狡猾だ。


 直後、AR画面の境内周囲に散っていた黒い歪みが一斉に明るくなった。

 湧きポイントだ。


「社長、何か変ですわ!」


 佐藤女史の警告と同時に、AR画面の寺の外周から大型モンスターが三体、四体と這い出してきた。

 見覚えのある形だ。さっき北側で倒していた上位クラスが、ほぼそのまま再配置されている。厄介なことに射線が遮られている。


「湧き直しが早すぎるだろ……」


「……そちらに!?無法ですわね!」


 インカム越しに佐藤女史が珍しく半ギレである。


 狼がもう一度吠えた。

 どうやら雑魚をけしかけるだけでなく、ススキノ全域の再配置を直接いじっているらしい。

 本当に管理者気取りだ。


「田辺さん、北側は!?」


「今、再湧きで押し返されています。ですが持ちこたえます」


 持ちこたえる、で済ませるあたりがカイザーである。

 心強い。


 俺は一歩踏み込み、正面の大型モンスターを避けて右へ回った。

 だが、次の瞬間、横から別の個体が割り込んでくる。

 最短距離で狼まで行かせる気がない。


 スマホの警告表示が鬱陶しいほど点滅する。


『WARNING: System Overheat. Force close in 00:34』


「社長! 一旦引いて下さい!」


「引いたら次は無理です!」


 ここまで皆に無理をさせておいて、やっぱりダメでしたは通らない。

 それだけは嫌だった。


「モモカ! 境界を押せるか!」


「お、押しますぅ! でも長くは無理です!」


「一瞬でいい!」


 インカムの向こうで、モモカが何かを叫んだ。

 次の瞬間、AR画面の東側表示がぶれた。

 ススキノ領域の端から、創成イースト界の境界データがせり出してくる。


 イースト界の干渉だ。

 界の主にしかできない力技である。


 その表示が重なった瞬間、横から飛び込んできた大型モンスターの動きが鈍った。

 狼もAR画面の中で嫌そうに首を振る。


「今ですわ!」


 佐藤女史に言われるまでもない。

 俺は止まった敵の脇をすり抜け、境内の中央へ飛び込んだ。


 距離、五メートル。

 ようやく必中の射程圏内だ。

 あとは、この一撃が通るかどうかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ