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第1話 異次元のクソゲー


「ぐっ......このクソゲーめ」


 復活リバイバルまでの12時間がカウントダウンされているスマホを握りしめ、俺は思わず天を仰いだ。


 これで3度目の死亡。なすすべもなく全て瞬殺だった。

 札幌に異動になり、3日経ったが攻略の目途はまるで立っていない。敵の1匹すら倒せていないのだ。


「お外で遊ぶ、恥ずかしいスマホRPG」がキャッチコピーのARリアルタイムアクションRPG「AnotherDimension」。ポケモンG〇やドラ〇エウォークのようなAR型スマホゲームでありながら、リアルタイムに殴り掛かってくる敵の攻撃をリアルに走って避ける。攻撃したければモーションセンサーに規定のモーションをスマホを振って入力。魔法攻撃をしたければ音声入力で呪文詠唱。......等々とリアルにアクションを要求してくる頭がおかしい(と思われる)人しかプレイしないハードRPGだった。しかも外で。


 攻略Wikiを参照してみても、初心者がまずやるべき事は「走り込みをする事!」という名高いクソゲーだ。


 この怪しい離島で作られた悪名高いゲームがただのゲームではなくなったのは、電子機器の誤作動や電波障害の多発がこのゲーム内の「界」と呼ばれるエリアと連動している事が判明してからだ。犯罪率にも関連しているらしい。


 放置され、エーテルと呼ばれる物が暴走している界の場所。それが電波障害の頻発するエリアだったのだ。



 ここ、ススキノ界隈もその暴走エリアの一つ。


 関東以北で最大の歓楽街ススキノも、携帯の電波やWifiも繋がりにくく、停電も頻発と電気・通信事業社にクレームが山のように来ている状態だった。


 下請SEとして携帯電話交換機システムなどを開発していて、実家のある北海道に異動希望を出していた俺に、対策人員として白羽の矢が立ったのは何の因果だろうか。試してみる大地で「界の保守者=専属ゲーマー」を試してみるらしい。単価の安い北海道単価で。お偉いさん達のアホくさい会議風景が目に浮かぶようだ。


 そもそも、実家があるのは札幌ではないんだが......。


 SEとしてのキャリアパスはへし折られてしまったが、あまり将来に魅力も感じていなかったため30才になった契機でモラトリアムとしゃれこむ事にしたのは失敗だったかも知れない。


 致命的なのは、ソロでやるゲームじゃないのにもかかわらず就業時間帯にゲームをしているのは俺くらいだった。ススキノにも昼間からプレイヤーはいない。当たり前だ。仲間も見つからない。1人でやるとより恥ずかしいのも致命的だ。


 俺は今日から提出せよと言われている日報に書く内容に頭を痛めながら、足取り重く知り合いもいない札幌のオフィスに戻る事にした。


 溜め息しか出てこない。


 人として大事な何かをゴリゴリと削られている気分だった。


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