最終話〜思いを抱き。新たな旅立ちへ
シグムラカンはブラットが新たに創り出した杖が気になり見ていた。
そして旅立つ。
ここはシェイナルズ近郊の森の中の空き家の外。
シグムラカンはテントの中でブラットを見ていた。
“さて、ブラットが創り出した杖とはあれの事か”
シグムラカンはブラットが握っている杖の側に来た。
すると、フェリアはそれに気づき、
“シグムラカン、どうされたのですか”
“フェリアか。変更がありそれを伝えに来たのだが。ガルドにブラットが新たに杖を創り出したと聞き気になったのでな”
“では、それを見るために、ここへ”
“ああ”
シグムラカンはブラットが握りしめている杖を興味深く見ていた。
“ふむふむ。これは、確かに不思議な杖のようだが。ただ、この杖はまだ未完成のようだな”
“それはどういう事なのですか?”
“うむ、未完成と言うより。フェリア、この杖はブラット以外は触れる事が出来ないのだったな”
“はい、そうですが”
“ふむ、なるほど。だが、まだ確信は持てぬが。この杖の先端の水晶を白と黒の翼が閉じた状態で覆っている、それにブラット以外はこの杖に触れる事が出来ない。そうなると、恐らくこの杖はブラットと共に成長、もしくは今のブラットの力を意味しているのか?それとも両方なのか?”
シグムラカンは考えていたが、
“やはり、ここでこれを考えていても埒が明かぬ。明日旅立ち城に向かい、そこでこの杖の事を調べてからの方がいいだろう”
“明日城に向かう。変更とはその事だったのですね”
“うむ、そうなるな”
“そうなると、ビスカ達にもこの事を伝えなければいけませんね”
フェリアはシグムラカンに軽く頭を下げ瞼を開いた。
シグムラカンはそれを確認すると空き家の方に向かった。
フェリアはビスカ達にシグムラカンからの伝言を伝えた。
フェリア達はしばらく話をしていたがビスカとレヴィとフリックは空き家に向かった。
フェリアとヴィオレとコトネはテントの中でブラットの寝ている脇でしばらく話をしていたが眠くなり眠った。
……そして、翌朝……
ブラットは目を覚まし背伸びをし辺りを見渡した。
「ふぁ〜、ん?ここはどこだ……」
フェリア達はブラットの声がしたので慌てて起きた。
「ブラット、目が覚めたんだね。なかなか、起きないから心配したんだよ」
「ん?ヴィオレ。あーそっか。心配かけてごめん」
「ブラット。私は見てなかったけど、大変だったね。それとフェリアから色々聞いた」
「コトネ、ありがとう。でも、まだ何がなんだか未だに頭の整理が出来てない。これからの事も……」
「ブラット、目が覚め安心しました」
「あっ、フェリア。うん、心配かけてごめん。それに、昨日はありがとう。そっか、あれからずっと寝てたんだな」
「ええ、それとなのですが」
フェリアはシグムラカンの伝言をブラットに伝えた。
「そっか、じゃこれから城に行くのか。そこで……本当にやるのかぁ〜。何か不安なんだけど」
「ブラット。前から思ってたけど」
「ヴィオレ、どうしたんだ?」
「んー、ブラット。昔、私とグレンとよく親や大人の目を盗んで、外に出て3人で鍛えてたよね?」
「んーそれは夢の中で見て思い出したけど」
「何がきっかけかは分からないけど。今のブラットと昔のブラットを見比べるとね。確かに昔も弱かったけど、今のブラット昔より弱く見える。あの頃のブラットの方がまだ頑張ろうって気持ちがあったと思う」
「んー、そうなのか。でもな、そう言われても」
「ブラット、仕方ない。こんなブラットを、これ以上見たくないし。それに心配だしね。話を聞く限りだと昔と変わらない所が1つ。弱いくせに人が困ってると身体が動く。だから、私がついてないと心配なので、私も城に行く事にする」
「んー、私も行こうかなぁ。やる事無いし、それにブラットが今よりマシになる所を見てみたいしねぇ」
ヴィオレとコトネに言われブラットは苦笑し何も言えず撃沈していた。
「じゃ、そろそろ城に向かう準備もありますし、空き家の方に行きましょう」
ブラット達は頷き空き家の方に向かった。
そして、ブラット達は空き家の中に入ると朝食が並べられていた。
「ブラット、やっと起きたみたいだな」
「あー、うん。それより親父、この料理って材料どうしたんだ?てか、大体の予想はつくけど」
「なら聞くな!それより飯が冷めちまうから早く食べろ」
ブラット達はそう言われ朝食を食べ少し話をした後、旅立つ準備を始めた。
「さて、いよいよここを出て城に向かわないとな。それと、俺はカトレアを迎えにティールの街に行ってから城に向かう」
「あー、そういえば、グレンとヴィオレッタの事すっかり忘れてた。あの2人どうすんのかな」
「そうだな。来るのか来ねぇのか俺が聞いてやる。それで来るようなら連れて来る」
「私はね……」
「ん?ビスカ。どうせ、俺の後をついて来るなって言ってもついて来るんだろ?」
「ガルド。うん当然、ついて行きま〜す」
ガルドは深い溜息をつき呆れながらも微笑んでいた。
その後、空き家を出てガルドとビスカとレヴィはティールの街に向かった。
そして、ブラット達は二手に別れる事にした。
レオルドは怪我であまり歩けない為、マリアンヌの馬車に乗り、マリアンヌとドルマノフとハングと共に行く事になった。
ブラットはフェリアとヴィオレとコトネとサアヤとフリックと共に城に向かう事にした。
「では、城で会いましょう」
マリアンヌはブラット達に手を振った後、馬車に乗るのを確認するとハングはブラットを睨み付け、その後御者としてそのまま操り城に向かった。
「なあ、ヴィオレ。何か今、あのハングに、俺、凄く睨み付けられていたように見えたんだけど」
「ブラット、何も知らないんだね。多分、ブラットのお父さんは気づいてたみたいだけど」
ブラットはヴィオレが何を言いたいか分からず困惑していた。
「仕方ない。歩きながら教えてあげる。それに急がないとね」
「あー、うん。、そうだな。俺達も行こうか」
そしてサアヤが地図を広げると、ブラット達はそれを見ていた。
「そうだな。ここから城までは距離がある。ひとまず何処かで休憩を取り、そこから城に向かうのがいいのだが」
「サアヤ。それなら、ここで休憩した方が、距離的にも丁度いいんじゃないのか」
「じゃ、そこで休憩って事で、久々に冒険の旅に出発〜」
「そうですね。そろそろ行きましょう」
ブラット達は空き家を出て城に向かったのだった。
そして、ブラット達が城に向かった直後、シェイナルズ城では、皇帝マグドが城からいなくなり大騒ぎになっていた。
その頃マグドはシェイナルズの森の空き家にいた。
マグドはマリエスと共に夜中気づかれないように物陰でガルド達の様子を伺っていた。
「マリエス。悪いが、私もその城を見たくなった」
「今、何と仰せに……」
マグドはマリエスの腹部を軽く殴り気絶させた。
マリエスはその場に倒れた。
そして、マグドはバッグから服などを取り出し変装し、ブラットの後を追ったのだった…。
その後、ブラット達は城に着くまで色々な事がありながら旅を続けた。
一方ガルド達は、ティールの街でカトレアとチビドラゴンとグレンとヴィオレッタとルルーシアを連れ城に向かった。
その頃、クレイデイルはキリア城を出て城に向かっていた。
そして、この後城に皆が集まるのだが……しかし今回のお話はここまで。では、またお会い出来る日まで………【 第一部 ・《 完 》 】
皆さんここまで読んでくれてありがとうございます。m(__)m
無事何とか第一部終了する事が出来ました。
第二部の予定は少し待ってください!
間を置き予定では城に着いてからの話から書く予定ですが場合によっては変更もありますのでよろしくお願いします。
では、第二部もよろしくお願いします(*^ω^*)
では、またお会い出来るまで^_−☆