110話〜後悔と不安。そして動き出す
シグムラカンとガルド達はブラットの事について結界を張り意識の中で話をしていた。
ここはシェイナルズの森の中の空き家。ガルドは何があったのかを説明していた。
「じゃ、そのシグムラカン様とかいう神様が、フェリアとブルーノア様に話があって、ここに来た所を、親父が警戒して結界を貼り、その中で話をしていたって事なのか」
「ああ、そういう事だ」
「やはり、目的はブラットの事なのでしょうか?」
「そうなるが。だが、まだ話は終わってねぇ。これは、シグムラカンの提案なんだが。サアヤとブラット以外の者達だけで、この事を話し合いたいらしい」
「なるほど、そういう事ですか。私なら構いませんが。ただ、起き上がる事が出来ませんので、申し訳ありませんが、このままで瞑想させて頂きます」
「親父。俺はこのまま待機してればいいのか?」
ガルドはブラットを見て溜息をつくと、
「ああ、そうなるな」
「私も、このままブラットと共に待機をしています」
「サアヤ。すまねぇな」
ドルマノフは結界を張り、外部と遮断した。
「話って何なんだろうな……」
「ブラット。お前、気づいたか?」
「ん?どうしたんだ?」
「ガルド様の事。お前は気づかなかったのか?あの叫び声の後から、気の流れや威圧感……そして、雰囲気も少し変わっていたように見えたが」
「ふぅ〜ん。そうなのか……俺には、いつもの親父にしか見えなかったけど。サアヤがそう思うならそうなんだろうな」
「……ブラットお前……まぁいい。じゃ、少しこれからの事を話そうか」
「ああ、そうだな」
サアヤとブラットは色々と話をしていた。
その頃、結界の中でフェリアとガルドとドルマノフとレオルドは瞑想をしていた。
するとガルド達の意識は1つの場所に集まった。
そこには、シグムラカンの呼び掛けでブルーノアが先に来ていた。
“さて、皆が集まったようだな。これから、ブラットの事について話をしたいが。その前に、我はお前達にも問う。お前達から見たブラットはどうなのだ?”
“シグムラカン。私は、少しの間ですがブラットの近くにおりました。今のままでは、もし仮に王となったとしても、名ばかりの王となり、この世界の流れを元に戻す事も、恐らくは困難だと思います”
“フェリア…なるほどな……”
“……直接見てた訳ではありませんが。弱い私から見ても、今のブラットではどうかと、思うのですが。ただ、あの力が何なのか。それさえ分かればと……”
“フム。レオルド、確かに我もその力を見て確かめたいと思っている”
“シグムラカン。私は陰から見て来たのですが。そして、ブラットの事もある事が切っ掛けで知りました。ゲリュウデスの企みを知り、ブラットの運命を……しかし、気になる事があるのですが。何故、運命がこうも悪い方に向かって行ってしまうのでしょう”
“ブルーノア。その事なのだが、要因自体は複数と見た方がいいかもしれんな”
“それはどういう事なんじゃ!まさかとは思うが。ブラット自体に複数の術が掛けられているというのか……”
“ドルマノフ。いや、それは違う。確かに見る限りだと、ブラット自体にも複数掛けられているようだが。他の者に掛けられた術も何故か分からぬが、ブラットの運命を悪い方へと向かわせているようなのだ。現に先程、その元凶の1つであったガルドの術を解いた”
“そうなのですね。それで、少しですが雰囲気が変わられたのですね”
“ふむ。確かに、今のガルドは以前のような気の流れをしとるようじゃな”
“ドルマノフに問う。ブラットからお前の魔力が感じられたが、何をしたのだ?”
“ただ、ワシはブラットの為に力を封印し、その場で起きた事の記憶を消したのじゃが”
ドルマノフはその時何があったのかを事細かに説明した。
“なるほど……そういう事か。後ブラットから感じるこの魔力は、恐らくはゲリュウデスとネリウスのものだな。そして、残されたこの魔力の持ち主は……”
“何か分かったのか!?”
“ガルド、そう焦るな。うむ……残る魔力は1つではなさそうじゃ。数名の者がブラットに、この術をかけているようだな。だが、何故だ……”
シグムラカンは手を顎に添え考え始めた。
“シグムラカン。話はそれだけじゃねぇだろう”
“うむ、そうだったな。では、本題に入るとするか”
シグムラカンはキリア城であった事と、これからそのスプリガンとブラットを戦わせ力を確認したいという事をざっと話した。
“シグムラカン。さっきも言ったが、反対という気持ちは変わらねぇ。ただ、さっきは何故反対していたのか自体うやむやで分からなかったが、今なら分かる”
“なるほど。ガルド、それならば問う。何故、反対なのだ?”
“今のブラットじゃ、勝つか負けるか五分五分。いや、下手すればその力が使えるとは限らねぇ。それに、今のアイツの根性で倒せる相手だとは到底思えねぇ。そう考えりゃ今のアイツじゃ死ぬ確率の方が高い”
“確かにな。だが、先にも聞いたが。何故、お前はブラットに戦い方を教えなかった?”
“シグムラカン。確かに、アンタのいう通りだ。クッ!今に思えば、俺は何でブラットに何もして来なかったのかと思っている”
“ガルド。やはり、お前に掛けられていた術のせいらしいな。恐らくは、ブラットに関わるであろう者全てとは言わんが、その術を掛けられている可能性がある。うむ、この結界の中にはいないようだがな”
“ああ、そうみたいだな。だが、ブラットの為なんだよな。これは……アイツは俺とは違う。1人じゃない。出発点も違う。俺は見守るしかねぇよな”
“うむ、そうなるな。それでだが、ガルドに頼みがあるのだがな。ドルマノフがブラットに掛けた封印を解き力を解放させてみようと思っている。これはないと思いたいが、その力がもし暴走するようであれば、お前の力で阻止して欲しいのだがな”
“……シグムラカン!?何言ってるのか分かってるよな。ブラットを止めるって事は、その力具合によっては、俺は手加減出来ねぇんだが”
“ガルド……まぁいい。それはその場になってお前が判断すれば良いだけの事だからな”
“ブラットとスプリガンを戦わせるにしても、シグムラカン様が言われた場所なのですが、確か、シェイナルズの遥か東南東の広い荒れ果てた土地と言われましたよね?”
“ああ、レオルドそうだが、クレイデイルの話だとそう言っていた。何か不都合でもあるのか?”
“ええ、あるといえばあるのですが……”
“レオルド。もしやそこは?”
“はい、ブルーノア様が察した通り。そこには現在城が建っております。ああ、よりにもよって、それも何故そこなのでしょうか”
“レオルド。その場所にブラットの為に建てたっていう城があるんだな”
“ええ、その通りです”
“そうなると、そこはもう広い土地とはいえないのだな?”
“そうですね。そこでなくてもいいのであれば、その土地から北に広い草原がありましたが”
“そうか、そうなるとそこでという事になるな。では、そろそろ外の者達にもこの事を話さねばならないだろう。我はクレイデイルにこの事を伝えに行く。我は準備が出来次第呼びに来る。それまでに、人を集めて欲しい、見届け人は多い方がいいだろうからな。それに、何が起きるか分からんしな”
ガルド達は頷きドルマノフは結界を解いた。
そして、シグムラカンはそれを確認するとキリア城に向かった。ガルド達はサアヤとブラットにその事を話した。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
…さて…そろそろかなぁ…ブラットとスプリガンの戦いは…でも…どうなるのかなぁ…
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)







