103話〜部屋の中には
クレイデイルが鍵を使い扉を開け中を見るとそこには……
ここはキリア城の図書館。その奥の鍵がかかった部屋の扉の前にクレイデイルはいた。
「さて、この鍵でこの扉が開く。だが……あー、考えても仕方がない」
……扉の鍵を開けた。……クレイデイルは扉を開け中を見た瞬間奇声をあげ、
「げっ⁉︎うっ、これは……」
慌てて扉を閉めた。
(あー、いやまさか。何でこんな所に……いくらなんでもあり得ない。いや、あり得るか?鍵の方は、いとも簡単に封印が解けた。って事は、封印された部屋の方を疑うべきだった。うむ、さてどうする?あの怪物が眠っている間にどうにかしなければならないが……)
そう部屋の中で眠っていた怪物とは、スプリガンだった。
……スプリガンとは、極めて醜くずんぐりしたドワーフの姿をしていて、小柄で可愛いのだが体の大きさを自由に変える事ができ、普段は遺跡や古墳などの宝物庫を縄張りとしていて、縄張りを荒らされると怒り、巨大化したり大嵐や雷を起こすと言われている。
スプリガンは本来、このような場所にいる筈がないのだが、この部屋にある書物類を守らせる為に、眠らせて部屋に鍵をかけたのだ。
「うむ、これは厄介だ。今は眠っていて小さいが、あの怪物が目を覚ましてしまえば、俺を見て自分の縄張りを荒らされたと思い巨大化し、この城が崩壊してしまう」
クレイデイルは何かいい策はないかと考えながら辺りを見渡した。
(んー、流石に魔族の王の俺でも、自分は被害に遭わないだろうが、間違いなくこの城に被害が及ぶだろう。さて、どうしたらいい……)
そう思い考えていると、いつの間にかデルカがクレイデイルの目の前にいて、
「クレイデイル様。こんな所で眉間にしわを寄せ、どうなされたのですか?」
クレイデイルはいきなり話かけられ、
「うわぁ!?デ、デルカ。いつからそこにいたのだ?」
クレイデイルは驚きヨロケ尻餅をついた。
「あっ!?クレイデイル様。大丈夫ですか?私は、今ここに来たばかりですが。それよりも、そんなに何を悩んでおられるのですか?」
クレイデイルはホコリを払い落としながら立ち上がり、
「デルカ、いい所に来た。お前に折り入って相談があるのだがな」
「ご相談とは、何でございますか?」
「相談とはな。実は、この部屋の鍵を見つけ封印を解き鍵を開けたはいいが、よりにもよって、この中にスプリガンが眠っていた」
クレイデイルがそう言うと、デルカは徐々に後退りしていた。
「クレイデイル様。ス、スプリガンって……ま、まさか起こしては、おりませんよね?」
「ああ、起こしてはいないが。それよりもデルカ、何故後退りしているのだ?」
「いえ、ただスプリガンと聞き、怖くなっただけですので」
「なるほど。ふむ、だがどうしたらいいと思う?」
「クレイデイル様。何故この部屋にお入りになりたいのですか?」
「ふむ。もしかすると目当ての物が、この中にあるかもしれない。それで、倉庫に行き鍵の封印を解き、扉の鍵を開けたのだがな」
「なるほど。そうなのですね。ですが、クレイデイル様。私は、諦めた方がよろしいと思いますが?」
「うむ。ここまで来て諦めるのもな……」
そして、クレイデイルとデルカは少しの間部屋の前でスプリガンをどうするか話し合っていたのだった…。
読んでくれてありがとうございます(*^ω^*)
さて…この話はいつまで続くのか?
では、次話もよろしくお願いしますヽ(^o^)







