不貞腐れて復活しよう
えー、魔力を流すと何が起きるか。
光ります。
大きい光、小さな光の二種の円盤それぞれのオンオフを切り替えて、三通りの光量を選べるようになってる。
以上、授業の余録。
そしてお母様はそそくさと部屋に戻って行った。
私はご不満である。
後半のいまいち納得のいかないクイズ。
「私の好きなおでんの具は何でしょう?」と聞いといて「答えはおでんの汁でした〜♪」と答える並の酷さだと思う。
慰謝料として魔石をせびったけど拒否られたので、部屋でメリーとマリー、そしてフェルとエッテにも愚痴った。
こういう時はメリーたちに話す方が心の安寧に繋がる気がする。
フェルたちも可愛くて癒されるけど、ぬいぐるみに話すことで自分が何に対してもやもやを感じているのか整理するのだ。
でないとめっちゃひきずるからね、私。
恨みとか絶対忘れないから。多分。
覚えてることは覚えてるけど、忘れてることは忘れてるから忘れてるって言うんだしね。
それに今回は恨みってほどじゃない。
自己分析してみた結果は、「そんなのズルいよ!」って拗ねてみせたのに上の空のお母様にスルーされたから「気付いて! そして慰めて!」って更に拗ねてるだけだ。
自爆とも言える。
我ながらかなり甘えん坊だけど、あんまり恥ずかしいと思わないのは幼女の演技に慣れすぎたからかな。
親離れとか反抗期って何歳くらいでなるものだっけ?
このままではいつまで経ってもソフィアちゃんはお子様だと揶揄されてしまうかもしれない。
小さい頃からおねしょはしなかったからそれで相殺されないだろうか。されないだろうな。
そもそもだよ。
私って子供っぽいかなあ? ってぬいぐるみを抱きながら悩んでる時点でどこからどう見ても子供にしか見えないでしょこれ。
考えるだけ無駄な気がしてきた。
甘えん坊でもいいじゃない、愛情深いってことですよ。
子供っぽくていいじゃない。可愛らしいでしょ?
……可愛らしいよね? やばい、何歳から痛々しくなるかな。
いや、考えない。考えたらダメだ! それを考えてしまったら甘えるのに勇気がいるようになる。
甘やかされる快楽を知った今、我慢しないで存分に甘えたい。
そうだ、今頃お母様は私の知識から得たメモを持ってウキウキと研究しているんだろうし、私もウキウキすることをしよう。何をしようかな。
みんなと話して気分も上々だし、このご機嫌をみんなに還元したいくらいだ。
楽しくトランプでもしたいけど、メリーもエリーも心があるだけのぬいぐるみ。動けない。動けてもトランプを持つ指がない。ついでにトランプもない。ないない尽くしでなぜトランプなんか思いついたんだろうね。
でも不思議な脳みそ、嫌いじゃない。
あっそうだ。
自由時間にまったりとアホなこと考えるのも好きだけど、忘れないうちにメモしとかないとね。
私は机に向かうと、紙とペンを取り出した。
現時点でありえないほどの甘えん坊だと自覚しようね。この世界の成人15歳なんですよ。




