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街で休憩しよう


 お父様にフェルを預けて、私とお母様は森を散策していた。


「まっものーまっものーまっものーはどーこだー」


「ソフィア、真面目にやりなさい」


「ごめんなさい」


 野生のクマと会わないためには歌が有効と聞いたけど、実際どうなんだろうね。

 死んだふりが逆効果だって聞いたことはあるけど。


 テレビの情報なんてみんな無責任に好き勝手言うんだから話半分で話の種にするくらいが丁度いい。


 でもこの歌は一応意味があってやってるんだよね。


 広範囲の悪意を探知する魔法を走らせているから、歌は呪文詠唱の代わりみたいなものと言えないこともなかったりする。

 魔法ってほんと便利だ。


 お父様は見つからなければそれでいいと言ってたけど、既に何体もそれらしい反応を感知している。


 どの範囲まで探すか、どうやって倒すかを考えながら、息抜き程度の散歩もたまにはいいんじゃないかな。



 そう思ってたけどすぐに飽きた。


 奥に進むほど木々が鬱蒼と茂って日は差さなくなるし、道無き道を通れるようにするの面倒になってきたからそろそろ魔物を駆除して戻ろう。


「お母様は魔物の気配って分かるんですか?」


「目視できる範囲にいれば分かりますが、気配となるとどうでしょうか。私もそれほど多くの魔物と対峙したわけではないですから」


 そうだよね。別に魔物ハンターとかじゃないどころか、貴族夫人だもんね。


 一応薮や小枝を払うついでに土が服に跳ねないように固めたりしてるけど、そもそもお母様が森を歩くのが似合わない。

 湖のほとりで小動物と戯れるくらいしか森と接点なさそう。


 でも虫とかも平気そうだし、研究とかで森に入ることもあるのかもしれないね。


「エッテは魔物の気配とかって分かる?」


「キュイッ」


 やっぱり分かるのか。

 そういえばアンちゃんたち姉妹を助けた時はフェルが一人で魔物狩ってたみたいだし、もしかしてフェルたちいれば私いらないんじゃないかな。


「エッテも魔物倒せるの?」


「キュイ!」


「あ」


 ちょっと聞いてみただけなのに森の中にすっ飛んで行ってしまった。


 うーん、フェレットってこんなに好戦的なものなの? それとも妖怪側の特性?

 いや、よく考えたら別にフェルたちはフェレットじゃなかったっけ?


 見た目が似てるからついフェレットだと思っちゃってたけど、魔物ベースに私の想像力でカマイタチ成分を加味された謎ペット……しかも魔物っぽい反応もう3つも消えてる。うわあ。


 倒せるかなとは思ってたけど、それよりも移動速度がエグい。

 反応が消えた数秒後に数百メートルは離れた位置の反応が消えている。


 さすがはカマイタチ。風のように早い討伐速度だ。


 これなら本当に私たち、お父様と一緒に待っててもよかったんじゃないかな。


「ソフィア……あの悪意は」


「エッテですね」


 そして反応がひとつ消える度、その分を吸収しているのかの様にエッテの纏う悪意が増える。


 目視で分かるくらいなんだから探知魔法の反応はもう特大級。

 魔物が雑魚ならエッテは歩く災害、フィールドボスだね!


 それにしても結構魔物いたね。

 普段どの程度いるものなのか知らないけど、こんなにいたら近くの村の人が森に入るのは危ないんじゃないかな。


 それもこの森に限っては無用の心配になったんだけど、ね。


「キュイッ」


 結構範囲広げて探ってたんだけど、範囲内に魔物の反応無し。その代わり、付近に特大の反応。

 戻ってきたエッテの放つ悪意がすごい。


 悪意を可視化した視界に、漫画でいう魔王のオーラ? まさにあんな感じの黒い魔力っぽいものを纏わせるエッテの風格よ。


 この魔法少女のマスコットが実はラスボスでした感。いいね。


「ん、ご苦労さま。えらいねー」


 でもお母様がちょっと警戒してるから、昨日のフェルと同じように溢れ出る悪意を結晶化してアイテムボックス内にポイしといた。

 今回はピンポン玉くらい。大漁だったねーよしよし。


 気持ちよさそうに撫でられるエッテはかわいい。

 強くてかわいいし役にも立つ。なんて素敵なんだろう。


「さて、エッテのおかげで魔物も簡単に駆除できましたし、次は街に行くんでしたよね? 少し休憩できると嬉しいなあ」


「そうですね」


 うん、知ってる。

 冷静を装ってるけど、お母様にまた呆れられてしまったようだ。


 だがあえて私は自慢したい。

 フェルもエッテも自慢のペットです!


魔物は駆除するもの。


そしてアイリスお母様は気付くのだ。飼い主が非常識ならペットも非常識たと。

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