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私の努力を返してぇ!


 魔力を複製、こーねこね。


 揃えて並べて、こーねこね。


 リンゼちゃんのー魔力をー読み取ってー、ドーン!!


 分けてー増やしてーいっぱい増やしてー、ドーン!!


 私、めちゃくちゃ頑張りました。

 過去一番に精密な魔力操作したんじゃないかってくらい頑張りました。


 リンゼちゃんの魂から、記憶という情報をコピーして。別の魔力塊に刻み込んで、刻み込んで、刻み込んで……。


 ここの違和感はどーだとか。こっちの複写が完璧じゃないとか。あーだこーだ言いながら必死に精巧な偽物作って。


 よっしゃこれが匠の技じゃーい!! って完成品を供出したら、「抜けが多くない?」ってダメ出しされて。


 そんで最終的にはリンゼちゃんとヨルが直接繋がって以前と同じように同調する方法を選ぶとか、それもう私の努力全否定だよね!! 私が頑張って作った偽物の魔力要らなかったよねえ!? ってなるのも当然だと思うの! この徒労感をどうしてくれよう!!


 はーもー疲れた。もう何もしたくない。早く帰って寝たい。家に帰ってグースカピーするぅ……。


「ソフィア、シャキッとなさい」


「そう言われても……」


 お母様に(たしな)められようと、やる気は微塵も回復しない。


 そりゃあね、今までのことを考えたらね。リンゼちゃんとヨルは魔力的に繋がりがある状態の方がいいんだろうなーってのは分かるよ。分かるけどさぁ。


 それするなら私が頑張り始める前にやれば良かったんじゃないかなって、どうしても考えちゃうよね。


 リンゼちゃんの魂を欠損させることなく記憶まで内包した複製作るの、本当に本当に、ほんっと〜〜に大変だったんだからね!!? 本来なら技術料ふんだくったって罰は当たらないレベルなんだからね!?


 ヨルが本当にいい人……もとい、いい神様? になってるかどうかなんて分からないまま、リンゼちゃんと直接繋げちゃうのは危険なんじゃないかとかさ。私が頑張るだけでリスクを回避できるなら安いものなんじゃないかとか、色々と考えてさ。自分から勝手に苦労を背負い込んだと言われたらそりゃ否定はできないよ? でもさあ。


 最終的には良い結果を得られたことだし、その結果に辿り着くためには必要な苦労だったって考え方もできなくはない。できなくはないけど……でもさあ!?


 神経すり減らす作業を頑張ってやり遂げた私に対して「やっぱりそれいらない」なんて結末は、あまりにも酷じゃないかと思うんですよお!!

 いくらソフィアさんの心が仏のように寛大だとは言っても限度があります! せめてリンゼちゃんからの労いの言葉を、プリーズ! プリーズ!!


 ……と、いくら視線で訴えかけてみても、ヨルとのお話が弾んでいる様子のリンゼちゃんは私の方を見てもくれないので。


 もはや寂しさが天元突破した私は直接おねだりをすることにしました。


 お母様の呆れ顔? それはきっと疲れが見せた幻覚だね!


「ねえねえリンゼちゃん。リンゼちゃんの為に頑張りすぎてお疲れな私に、何か言い忘れていることはないかな?」


「? 疲れたのなら休んでいていいわよ」


 ……間違ってない。返答としては何も間違ってはいない。優しい気遣いであるとさえ言えるだろう。


 むしろリンゼちゃんがそんな気遣いを見せてくれたことに対して驚きすら覚えるけど、でも私が求めていたのはそうじゃない。リンゼちゃんはやっぱりな〜んかズレてるんだよねぇ。


 私としては、もっとこう、努力が報われるような感謝が欲しい。


 具体的には……そうだなぁ。朗らかな笑顔を浮かべたリンゼちゃんが「私の為に頑張ってくれてありがとう! やっぱりソフィアは最高のご主人様ね!」と私に抱きついてくるような……そんな感じの愛情表現を……。


 ……いや、やっぱ今のなし。リンゼちゃんに限って今のはないわ。想像しただけでちょっと寒気してきた。リンゼちゃんがそんな豹変したらヨルに精神侵食されたかと疑うしかなくなるよね。


 リンゼちゃんにはリンゼちゃんの良さがある。それを否定するなんて間違っている。


 幼女に抱き着かれたいのなら親友の妹をおもちゃで釣れば済む話だし、ましてやリンゼちゃんから抱き着いてくる可能性なんて……そ、そんな、抱き着きだなんて……そんなのっ! ……私にだって心の準備が必要になる!! 録画魔法とか録音魔法とか、準備が色々大変になるのが目に見えている! でも正直かなり見たいです!


 素直で可愛いリンゼちゃんも、かなりアリだとは思うんだけど。


 それでもやっぱり、リンゼちゃんは、ちょぴっと生意気なくらいの方が何倍も魅力的に見えると思うんだよね。


「――では魔力を一瞬にして奪い去られた訳では無いと?」


「そうね。私の身に何が起きたのかは分からないけど、一瞬にして、というのは考えづらいと思うわ。私が記憶を失う理由にもなっていないことだしね」


 リンゼちゃんとヨルは、さっきからなんか大事な会話してる気がする。ちょっと工作に力を使いすぎた私は、もうまともに聞く頭も残ってないけど。正直早く帰って寝たいとしか考えられん。


 これもうリンゼちゃんさえいれば私いらなくない? 帰っても問題ないんじゃないかな? ねえ?


「お母様」


「ダメです」


 何も言ってないうちから却下された。私の疲労を認めてくれる者はこの場にはいないらしい。


 私、結構頑張ったと思うんだけど……。

 魔法の作業って大変さが伝わりにくいのが難点だよね。しょぼぼんだよぅ。


他人の魔力を弄る行為→喘ぎ声がやたら上がる→ソフィアの趣味では?

ソフィアさんの信用無さすぎ問題。

まずは普段の行いから見直しましょうね。

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