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どのくらい成長するべき?


 魔法。


 魔力を蓄え、願い、想像し。


 えいやーーっ!!! ってやると、なんか出来る。そんな魔法。


 さて、では止まった成長を正常に戻す魔法とはどのように使えばいいのだろうか?


 お母様やお姉様を参考に「きっと本来はこのくらいの体型になっていたハズ!!」と理想の体型を想像するのは簡単だけど、それでは自然な成長とは異なる可能性が出てくる。しかも、その後普通に成長するかも分からない。


 成長する魔法。

 本来成長していたであろう状態に治す魔法。


 その解決の糸口は、未だ見えない。



「悪さしてた魔法を使わなくすれば戻るんじゃないの?」


「そう簡単な話ではないのよ。人の身体は環境に適応するようにできているの。寒い場所に長く留まれば寒さに強くなるし、暑い場所に長く留まれば暑さに強くなる、といった具合にね。ソフィアが自分の身体の成長を阻害し続けてきた年数と、ここ数年の停滞具合を見れば、おそらく身体は現在の状態が最適であると認識している。このままではこれから先も、成長することはないでしょうね」


 アイラさんとリンゼちゃんの会話を聞きながら、発現すべき魔法の方向性を探る。


 リンゼちゃんに言われると本当にもう成長する可能性はないんじゃないかという気分になってくるけど、魔法とは一見不可能な事を可能にしてしまう超自然的現象だ。不可能と思った時が本当に不可能になる時なのだ。希望はまだある。


「ならソフィアちゃんは、大人になっても今のかわいい姿のままってこと?」


「その可能性が高いのではないかしら。もっとも、ソフィア自身は現在の体型に不満があるようだから、また変な魔法を作り出してなんらかの結果は出すのでしょうけど。……明日になったらソフィアが大人になっていた、なんて可能性も、私はありうると思っているわ」


「ええっ!?」


 そんな急激な変化をしない為に今こうして頭を悩ませているんでしょーが。


 正直なところ、成長するだけなら、多分できる。


 変身魔法で色々試行錯誤していた時に、身体の芯を掴む感覚というか、「自分の身体」という境界を明確に理解した瞬間があったのだ。


 あの時は、その境界を踏み越えることに本能的な恐怖を感じてやめたけど。


 多分あの先に踏み込んでいたら、自分の身体の有り様を好き勝手に弄ることが出来るのではないかと思う。


 ……どっかに身体の作り替え方の説明書みたいな本落ちてないかな。あるわけないか。


「ソフィアちゃんってそんなことまでできるの?」


「そんなことまで、と言う表現は適切ではないわね。ソフィアが今使える魔法を考えれば、身体の変化はむしろ簡単な部類のものだと思うわよ」


「そうなの!?」


 ふむ、やっぱりそうなのか。


 それなら魔力を変質させる時の要領で、肉体も少し巻き込むような感じにすれば、変化自体は起こせそうだ。


 やはり魔法自体に難はない。


 となれば、問題となるのは調整の部分。

 どの程度、どのように変化させるのが良いのかという話に戻ってくる。


 ……良いか悪いかで言えば、そりゃあお兄様が思わずドキッ! と反応しちゃうような魅力的な美少女が理想なんだけども。


 昨日まで何の変化もなかった自分の妹が、ある日突然理想の姿に急成長して現れたら……って考えると、なんだかそれって妖怪っぽくないかね? もしくは悪魔か。

 どっちにしろ、それは「妹」としては見れないよねぇ。


 私の理想としては、ずっとお互いの成長を誰より間近で見てきたはずなのに、ある日ふとしたことで今まで家族としてしか見ていなかった妹に「異性」を強く感じてしまい、それからは妹の肢体や挙動を自然と目で追うようになってしまって、そんな行動に気付かれて「お兄様?」なんて無垢な瞳で見てきた妹を思わず押し倒した時になってようやく自分の本当の気持ちに気付き、その後は「僕が責任を取るから……」と禁断の愛を自らの意思で選び取ったお兄様とそんなお兄様を献身的に支える妹の大恋愛叙事詩的なね、そんな展開をね、ちょっぴり期待していたりなんかしてみちゃったりしてきゃーっ!


「ソフィア、何か良い案が浮かんだのですか?」


「いいえまだです」


 脳内に充満していた情熱的な愛の熱量は、お母様の一言によってきれいさっぱり取り払われた。


 やっぱお母様ってすごいわ。最新型の冷蔵庫よりすごい急速冷凍機能を搭載してるわ。


 まあ私のお兄様への愛は、その程度じゃ全然燃え尽きたりしないんだけどね♪


「ソフィアの魔法の作り方に問題があるとは言いませんが、やはり考えていることは言葉に出して共有した方が良いのではないですか?」


「そうですねー……。うーん、それもそうなんですけどぉ……」


 なんせ私の思考ってほら、しょっちゅう寄り道とかしちゃうからさ?


 お母様との合作って「目的の魔法をすぐに作りたぁい!」って時ならいいかもだけど、ぶっちゃけあんまり楽しくないんだよね。怒られながら魔法作ってる感じで。


「もう少し一人で考えてみます」


「……そうですか」


 うーん、不満そうな気配を感じる。


 これは早めに結果を出した方が良さそうな雰囲気だねー。


「ロリ巨乳。一定の需要があることは認めるけど、お兄様と並び立つには相応しくない。却下」

「お姉様の完コピは……悪くはないけど、お兄様の目を引くにはインパクトが足りないような……」


自分の身体を作り替えようというのに、もはやファッション感覚に近い。

そしてさりげなく胸の増量は決定事項。

何せ「成長」する魔法なので。成長させないと成長しないからね。

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