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協力、しよう


 お姉様の結婚問題はロバートさんがプロポーズさえすれば即解決のお手軽案件だった。


 その流れでお父様を呼んでプロポーズ指南をしてもらおうだなんて、すっごく楽しそうじゃない?


 ミランダ様グッジョブ。


 ここに来てお父様の参加。

 我らがパーティもかなり大所帯になってきたね、そのうちお母様まで巻き込むことになりそう。


 お母様の役割はなんだろう? プロポーズの受け方とか、夫の支え方とか?

 なんにしても楽しみだ。



 扉を叩く音。


 待ち焦がれた返事は予想よりも早く、しかも想定外の人物のものだった。


「ソフィアはいますか」


 お母様が突然やってきた。こんなに慌てているのは珍しい。


「なにかあったのですか?」


 尋常ではないお母様の様子に、部屋の主であるお姉様が代表して尋ねた。


 私? 冷静さを取り繕ってはいるけど内心バクバクである。


 なんか怒られるようなことしたかな。


「ここではちょっと。邪魔をしてごめんなさいね、ソフィアを借りていきます」


 うっそでしょ。

 これから楽しくなるのに一人だけ別室でお説教とか勘弁してください!


「お待ちくださいお母様。今、お父様を呼んできてもらっているところなんです。せめてお父様のお話が終わってからではいけませんか?」


「そうなのですか? あの人にも関わる用事なので……代わりにブライを寄越しましょう。ソフィアは早く来なさい」


 ブライって誰よ。

 そして私の扱いがぞんざいすぎる。ソフィアちゃん泣いちゃうよ。


 心の声は、当然無視された。



 連行された先はお父様の執務室。


 何故か人払い用の人員が扉の前に立っていたし、お父様も家宝の花瓶を割られたような顔をしてる。気分は被告席に向かう犯罪者。


 さあ、私の罪を教えよ! お手柔らかにね!


「領地で魔物が出て、広範囲に影響が出ています。事態の解決の為にソフィアの空を飛ぶ魔法と、荷物を収納する魔法を使わせてください」


 ……あれ、叱られるんじゃないの?


「極力ソフィアの力は外に出したくなかったんだが、人命には替えられんと判断した。が、それはこちらの都合だ。もしお前が、それでもその力を隠し通すべきだと判断するなら、その意見を尊重しようと思っている。これはアイリスも同じ気持ちだ」


 お母様が重々しく頷いた。


 叱られると思ってたのに、急にそんな話されても困る。

 人命だなんて、そんなの、重すぎるよ。


 どうすればいいのか分からなくなる。


「協力、します」


「感謝する」


 お父様ってカッコイイことも出来たんだな、なんて場違いな思考に逃げだした。


「俺とアイリスが同行者だ。まずは食料を積んで――」


 お父様が何か言ってる。


 ちゃんと聞かなくちゃと思う一方で、お父様とお母様がいるなら私は言われたままに魔法だけ使えばいいんじゃないかとも思う。



 人命。


 その言葉があまりにも自然に扱われたことに、私は恐れを感じていた。


どうせ次話ではケロッとしてる。だってソフィアだし。


あ、ブライさんは執事長さんの名前です。普段はお父様の補佐もしてます。

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