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認識がズレてる予感


 さーてさてさて、問題です。

 魔物を効率よく倒すためにはどのようにすれば良いのでしょー、かっ!


 その答えは……ずんたかたったっちゃん!


 私にもよく分からないので、まずは魔物を知ることから始めましょうねっ!



 ――というわけで、今日は魔物の事をもうちょっと勉強しようと思いまーす。


 いやさ、本当ならこんなのリンゼちゃんに聞けば一発なんだけどさ、それってなんかズルじゃん? クイズの答えが分かんないからってクイズの製作者に答え教えてもらうようなやり口じゃん? そーゆーのって私…………効率良くて最高じゃん! って思うタイプなんだよねー、ふっはっは。


 うん、言い訳です。


 いやこーゆーのは言い訳とは言わないのかな? まあいいや。


 あのね、一昨日騎士の人達が魔物をリンチしてる場面とか見せてもらったし、私も久しぶりに魔物と戯れながらトライアンドエラーで調べてみようかなーなんて思いましてね。


 昔に比べて魔法の扱いもだいぶ上達した自覚あるし、ちょっと魔物の生態……生態でいいのか? を調べるついでに、傷付いたお兄様を見ちゃったストレスの発散をしようかなーって。そんな感じの不純な動機で、こう、魔物に八つ当たりしたいなーって。てへり。


 正直な話、こっちにいる間にこの心のモヤモヤをなんとか発散しておかないと、王都に帰った時にお兄様を痛めつけたであろう剣聖お爺ちゃんに喧嘩ふっかけたくなる気がするんだよね、私。


 もしお兄様にあんな酷い怪我を負わせたのがバルお爺ちゃんだと確定して、その上で「軟弱だから怪我をするんだ」的なことでも言われたら、私、ぷっつんしちゃう自信があるよ。年寄り相手だろうが大人気なくぶちのめす自信があるよ。そのくらいお兄様の怪我した姿は私にとって衝撃的だったんだからね!


 でもお兄様だってある程度の怪我くらいは承知の上で訓練に励んでるんだろうし、私も【剣聖】と呼ばれるようなバルお爺ちゃんをそうほいほいぶちのめしたくないし、理想を言うなら普通にお菓子とか食べて「おいちー♪」とか能天気なこと言ってたい。お兄様と優雅なお茶会を満喫したい。


 その為にも、フラストレーションはすぐさま発散するのがいいと思うの。


 ほら、旅の恥はかき捨て! みたいな。


 ……なんか違うか? まあいいや。


 今日もお父様は書類の山と格闘するのがお忙しそうなので、私はお父様の邪魔にならないようひとり遊びをする少女の気持ちで「少し魔物相手に試したい事があるのですけど」とそれとなーく魔物狩りの許可を求めたんだけど、残念ながらお父様の許諾は得られなかった。ついでにエンデッタさんにも猛反対された。


 まあ、そうですよね。許してはくれませんよね。


 騎士の人達ですらチームで当たる魔物狩りに子供と護衛一人とか、普通は許可なんて出るはずありませんよね。そう、表向きには。


 なのでお父様にこそっと近付き「では勝手に行ってきますのでエンデッタさんの方はお願いします」と耳打ちすれば、お父様は快く了承を……返してはくれなかった。


「何を言ってるんだ。勝手に行くな、危ないだろう」


 危ない? 危ない要素イズ何処?


 あんな野生の獣以下の魔物しか出ない森で、一体何が危険だと言うのか。


「魔物以外に気を付ける事でもあるんですか? 何にせよ、私に対処出来ないほどの危険があるようには思えないのですが……」


「ソフィアならなんだって対処できるのかもしれないが、それでももしもということがあるだろう。ここにはソフィアの事情を知っている者はいないし、森の中には他にも人が――」


 ひそひそ、ひそひそとエンデッタさんの目の前で内緒話を交わすことしばし。


 お父様の言い分に納得がいった訳ではないが、お父様が私を森に行かせたくないのだけはよーく分かった。


 実物で色々と試したかったんだけど、どうしても今やらなければならないということも無い。先に既存の情報を整理しておいて、リンゼちゃんへの質問をまとめておくのも良いだろう。


 そう思い直した私は、それなら魔物の生態などの魔物討伐に役立ちそうな情報を提供してくれるようにとお父様に頼んだのだけど……なんとお父様はこれを拒否した。


「そういった情報は教えられない。機密性の高い情報は、定められた階級以上の――」と、うだうだなんか言ってたけど、よーするにお父様には、魔物に関する詳しい情報を話す権限がないのだそうだ。


 でもお父様。こっち来た初日に思いっきり、魔物の話してたよね。


 そう指摘すれば「あれはいいんだ」だってさ。もうワケわかんないよね。



 あの話をしたのは私を魔物狩りに協力させたかったからだと思ってたのに、そういう訳でもなさそう。


 どういうことなの? 私の危機感を煽って魔物の討伐に動くようにと(そそのか)すお母様の作戦じゃないの? と混乱の極みですよ。私、今まで通りに平穏を貪ってていいんですかね。


 ひそひそひそとなおも内緒話を続ける私たちに、エンデッタさんは控えめに告げた。


「あの……私、邪魔なようなら出ていましょうか……?」


 ごめんねエンデッタさん。そうしてくれると助かります。


母の思惑を受けて動いたつもりが何故かわがままを言った感じになって困惑の巻。

ソフィアの空気を読む能力って、本人が思ってるほど高くない。

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