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ミランダ様の嘆きを聞こう


「えへへ」


 天国は身近にある。


 そのひとつが今いる場所。お兄さまの膝の上だ。


「……ソフィアは恥ずかしくない?」


「恥ずかしくありません。仲のいい兄妹では普通のことです」


 ふふり、照れるお兄様、かっわいー。


 こんなことばっかりしてるからさっきみたいな手痛い反撃を受ける羽目になるんだと分かってはいるけど、やめられないよねえ。


 反省はしている。

 でも我ながら、真面目な私って想像つかないし。


 人生楽しいのが一番だよね。


「えーと、なんの話をしていたんでしたっけ?」


 このままお兄様に埋もれて眠りたい気もするけど、お姉様が大変だったはず。


 えーとたしか、お姉様の結婚が……ああ、男か。


「アリシアの婚約者がどんな人か知りたいのでしょう?」


 答えてくれたのは散々ぱら私の痴態を楽しんでくれたミランダ様だ。

 この人もメンタル図太いというか、結構いい性格してたんだね。意外だった。


 にしても、お姉様の婚約者か。


 そうねー気になるねー。

 とってもとっても気になるねー。


「いい人なんですよね?」


 でもなーんか、誰も警戒してなくて私の独り相撲感あったよね、冷静になってみると。


 実際お兄様まで認めてるんだからいい人なんだろうな。


 これで万が一、お姉様とお兄様を騙すほどの悪党でしたーなんてことになったら心置き無くソフィアちゃんの『人には試せなかった精神魔法』の練習台にできる。

 善良で無害な残りの人生を強制的に送らせてやろう。


 ま、無用な心配だろうけどね。


「そうね」


 そう思ったのに、ミランダ様の口調は思いのほか平坦なものだった。


 少なくとも、友人を任せるに足る男を肯定する響きでは無い。


 お兄様と重なった手に、力が入った。


「ようやくアリシアの婚約者になれたというのに恋人らしいことのひとつもせず、デートも全てアリシアに任せてご自身は頷くだけ。決してアリシアの嫌がることはしないし、しようともしない。アリシアを大切に思ってもいるでしょう。いい人ではあるのです」


 力が抜けた。


 先が読めた。


「でも、婚約者とは将来夫婦となる二人なのです。頼りあって支えあって生きていくべき人なのです。妻を思い遣る夫は素敵ですが、妻は夫を立てるものなのです。支えられたら立ってください。頼りになるところを見せてください。優しさだけでは、安心して一緒になることが出来ないのが女というものなのです!」


 私の将来のお兄ちゃん候補はヘタレだ。


 というか、お姉様の婚約者の話だよね? ミランダ様の婚約者の話じゃないよね今?

 感情篭もりすぎじゃないでしょーか。


「もういっそアリシアを取られそうになっちゃえばいいんです。必死になれば積極性だって出てくるに決まってます」


 そうかな? 漫画だと大抵……まあいいか。

 すぐに結果分かるもんね。


 だって今がその状況だから!


アリシアは婚約者と幼馴染。

ミランダは恋バナが好き。

在院中の三人の関係は推して知るべし。

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