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ソフィアは呪われてしまった!


 ソフィアさんは考えました。とってもとっても考えました。


 何故、世界に悪は蔓延るのかと。

 何故、私がこんな辛い目に遭わねばならないのかと。


 そして、ソフィアさんは気付きました。


 全てはお兄様に救われる為だったのです。



◇◇◇◇◇



「というわけで、お母様が酷いんです」


「それは災難だったね」


 怒ったお母様は紛うことなき鬼の化身。


 ならば鬼に(さら)われ暴力を受けた私は、紛うことなき姫ポジション!


 鬼から開放された姫君は王子と仲睦まじく暮らし、めでたしめでたしのハッピーエンドを迎えるのが古くから続く伝統ってやつなのですよ。


 そんな姫に、私はなりたい。


 そう思い立ったので、あの恐怖の大鬼が生まれた翌日。

 私はお兄様の元へと赴き愚痴を聞いてもらっていたわけなのである。


 ……とはいっても、どんな罰を受けたかとかは言えないんだけど。


 いやね、自分で思ってた以上に大分溜まってたみたいでね? 愚痴が次から次へとすっごい出るの。いくらでも吐き出せそうなくらいお母様への不満が止まらないの。


 お兄様に嫌われたくないから自重したけどすんごいよ。我が事ながらびっくりするくらいの不満のオンパレード。


 でも悔しいことに、今の私にはその不満を返すことは出来なくて。結局のところ愚痴を言うくらいしか出来ることがないんだよね。


 ――お母様に叩かれて赤く腫れ上がったお尻は、その日の内に治療した。


 鏡でも確認したし、お母様もリンゼちゃんもちゃんと治ったって言ってくれたのに、未だに幻痛が続く私のかわいいお尻ちゃん。


 しかも私に刻み込まれた傷痕はそれだけじゃなくて。


 実は、あの暴力を受けた後からね。……お母様がめちゃくちゃ怖いんです。怒ってる、怒ってないとか関係なく。


 私ってほら、普段から魔法を常時発動させてるじゃん。防御付きのやつ。

 あれのお陰で今まで普通に痛い思いって殆どしたことないんだよね。


 そこにきてお母様のおしりペンペンよ。

 情け容赦無しの平手打ち百連発ですよ。


 普通に泣くよね、っていうか泣いたよね。

 今までの人生で本来感じるはずだった痛みが纏めてお尻に去来したかと思う程度には痛かったよね。要は死ぬほど痛かったってことなんだけど。


 前世でも母親に怒られた記憶はそれなりにあるけど、中学時代に泣いて許しを乞うほどのおしりペンペン食らった記憶とかあるわけない。てかそんなの小学生の時だってなかったわ。

 精々数日間、食事に必ず嫌いなものが混入されるくらいだったよね。牛乳にセロリとか混ぜられて普通に吐いてたから向こうの手間も相当だったろうに、よくやるもんだと変な感心してた記憶しかないよ。あの大笑いは忘れたくても忘れられん。


 ……で、そんな娘への嫌がらせを楽しむ母さんよりもさらに凶悪な今世の暴力お母様。


 娘の意志を暴力で曲げようなんて親の風上にも置けなくない? そんな理不尽に私は負けたりしないんだからっ! って、くっ殺な気分でいられたの、最初の三発目くらいまでだったよね。同じ場所を連続で叩かれるの本気でキツかったんだもん。泣き出したのだって十発もしないうちだった気がする。


 こんなにかわいい娘が泣いて許しを乞うてるのに無慈悲に折檻を続けられるお母様は、きっと人をいたぶるのが好きな真性のサディストなんだと思う。


 変態いじめっ子なお母様の魔の手に囚われ泣く事しか出来ない哀れな私。


 助かった後にも心に深く刻まれてしまった傷痕は、お兄様の熱ぅい愛でじっくりねっとり癒して貰うのが最良だとは思いませんか。思いますよね、思うでしょう!


 しかし! なんとあの巨悪は、私に呪いを掛けていたのですそれは!!


「よしよし」


「……っ、ぅん♪」


 なんかね、さっきからお兄様に頭撫でられるとお尻が疼くんだよね。変態かな?


 ――そう、お母様の呪いとは、事ある毎にお尻が気になって仕方なくなるやーつ!


 私だって健全な女の子。

 愛しい人の愛撫で乙女な部分がキュン♪ としちゃうことはこれまでにもあったけど、お尻はない。あるわけない。だってお尻と乙女は関係ないし。乙女と言ったらせめて胸でしょ。


 だというのに、私は刺激を受けるとお尻が疼く変態にされてしまった。お母様に肉体改造されてしまった。変態調教されてしまった! こんなのってないよ!!


 お兄様も普段と変わらない顔で変わらない対応をしてくれてはいるんだけど、明らかになでなでの回数が少ないんだよね。おねだりしたら普通に撫でてはくれるんだけど、継続時間がいつもより短いの。すぐ終わっちゃう。こんなの全然満たされないよ!!


 これはこれで焦らしプレイみたいで悪くないなって思わなくもないけど、それでキュン♪ と疼くのお尻だからね。お兄様のお膝に乗せてるお尻だからね。

 今日の妄想お尻尽くしとかアブノーマルな性癖に目覚めるのも時間の問題っぽくてめっちゃ怖いよ。


 それもこれもお母様が悪い。


 だから私は、改めて心に誓った。

 いつの日にかお母様を打倒して、必ずやこの呪いを打ち破ると!!


え?リンゼさんのお尻ですか?

ソフィアのお尻に手を伸ばしたら何事もなく開放されたみたいですよ。

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