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女神視点:世界の綻び

あけおめことよろ&二回目の元旦祝い神様編!

今年も毎日投稿できるよう頑張りますよーう!


 是れはいつから在ったのだろうか。


 其れはいつから消えたのだろうか。



 世界は常に闇に覆われ。



 狭間は常に、闇に阻まれていた。




 ――だが、()()()()()()()()



 私はいつから間違っていたのだろうか。


 私はいつから(わか)たれていたのだろうか。



 闇は闇であり、闇でしかない。


 闇は闇でしかなく、私ではない。


 私は私でしかなく、()ではない。



 ――本当に?


 ――絶対に?



 闇が()であるのなら、闇は永遠である(ない)のだろう。


 私が()であるのなら、闇は永遠でない(ある)のだろう。



 ならば、永遠では無い闇とは。



 ――何処から生まれ、何処へと消えているのだろうか?



◇◇◇



 世界は(はこ)だ。正六面体の匣だ。


 匣の中には私の世界が広がっている。



 ――ならば、匣の外には?



 匣の外には、何も無いのか。


 匣の外には、何が有るのか。



 匣の外には闇が無い。



 闇が無ければ、観測はできない。



◇◇◇



 闇が産まれた。



 闇を産む、人が生まれた。



 ――彼女は人なのだろうか。


 ――彼女は闇なのだろうか。



 (ある)いは、人こそが闇なのだろうか。



 光から生まれた人が、闇を産んだ。


 闇から生まれた光が、闇を産んだ。



 ――闇が、闇を産んでいる?



 その有り様には覚えがある。


 その不条理には覚えがある。



 匣の内側に(あまね)く存在する闇を意思の力で塗り替える者。


 匣の内側に遍く存在する闇を意志の力で()げ替える者。


 私が()になる前の世界より、如何なる方法でか渡り来た者。



 彼女の存在が、いつの日にか匣を開けるのだろうか。



◇◇◇



 世界は動いている。


 世界は続いている。



 だが、それは許されているからに過ぎない。


 彼女に(ゆる)されているからに過ぎない。



 彼女がひとたび望むだけで。



 世界は止まる。


 世界は―わる。



 闇でさえも例外ではない。



 ――闇が止まっているのなら、何が止めているのだろうか?


 ――全て止まっているのなら、何が動いているのだろうか?



 人が止まり。


 光が止まり。


 闇が止まり。



 ――けれど、彼女だけが止まらない。


 ――けれど、彼女だけは止まらない。



 彼女は闇ではない。けれど、闇の加護で生きている。


 彼女は光ではない。けれど、光の庇護で生きている。



 ――本当に?


 ――絶対に?



 闇に満たされた匣の中で、光の加護で生きている。


 闇に満たされた匣の中で、闇の庇護で生きている。



 ――本、当に?


 ――絶、対に?



 彼女は闇ではない。けれど、闇を()っている。


 彼女は闇ではない。けれど、闇を産んでいる。



 彼女は――――なんだ?



◇◇◇



 光ではない。それは、光でない証明にならない。


 闇ではない。それは、闇でない証明にならない。



 闇は、闇から産まれた闇なのだろう。けれど、光にある闇だ。


 闇は、光から産まれた闇なのだろう。けれど、光にある闇だ。



 闇が強くなっている。



 闇が産まれ、闇が増え、闇が膨らんでいる。



 これまでは、変容し、変貌し、変質するだけだった闇が、増殖している。



 世界は匣だ。正六面体の匣だ。


 匣の中には闇の世界が広がっている。



 ――ならば、世界に()たされた闇が、永遠の速度で産まれ続けたなら。


 ――ならば、世界を覆い尽くす闇が、永遠の速度で増え続けたのなら。



 ――匣は、いつまで永遠で在り続けることができるのだろうか?



◇◇◇◇◇



「シン」


「現状では問題は観測できない、としか……」


「そう」


 世界は祖だ。祖から世界が生まれた。


 永遠の時間の果てに世界が崩壊するのが確実だとしても、()を隔離するこの匣こそが世界だと認識する私では、終わりが始まるその時まで前兆にすら気付くことは出来ないだろう。


 祖が崩壊するのは、最後の最後。


 祖の崩壊の予兆として、末端が最初に崩壊するはず……なのだけど。


「シンでも観測できないのならお手上げね」


 シンは、世界()の祖だ。世界()の管理者と呼んで差し支えない。


 そのシンに観測できないのなら、まだ崩壊による影響が出る段階にはないのか。あるいは……。


「ヨル」


 シンの魔力が私の魔力を撫で、甘えるように纒わり付いてくる。


 その行為を咎める気は無いが、魔力から伝わった彼の意志は、とても許容出来ないものだった。


「何故あの人間を消さない? ヤツさえ消えれば、ヨルの心配も」


「シン」


 これは、経験の差、だろうか。


 彼女に会うまで私以外の全ての上位存在として君臨していたシンにとって、彼女は未知で、恐怖の象徴なのだろう。

 けれど、()()()()()()()()()()()()


 彼女の価値。危険性。

 それらを、シンが理解出来ていないのだとしたら――


「彼女とは敵対しない。それが守れないのなら、アナタはもう必要ないわ」


「……悪かった」


 素直なのは美点だけれど、念の為に作り直した方がいいかもしれない。


 そう考えたところで、永遠が永遠でなくなった今、もうそんな余裕はもう無いのだと気付き、自然と笑みが浮かんだ。




 彼女は価値を示した。

 人の身でありながら、私を滅ぼせるという価値を。


 その可能性をどれだけ待ち望んだ事か。


 彼女の力があれば永遠を待たずして、匣の外に出られる。……そんな期待をしてしまう。



 崩壊が先か。


 解放が先か。



 ……明日が待ち遠しいというのは、とても、懐かしい感覚だった。


シンくんはヨルちゃんに絶対服従の良いワンコです。

ヨルちゃんは人間として生きていた事がある為シンくんよりもちょっぴりお姉さんです。

あとシンくんのママでもあります。

でも母性は無いみたいです。

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