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森の中の洞窟


 換金して、おやつ&持ち帰り用の食材を買って、この街での準備は完了。


 人通りの少ない道から空へと上がり、次の目的地へと直行した。



 ……私、ちょっと人見知りになったかもしれない。

 学院で知り合いとばかり話す生活をしていたせいか、街の空気に慣れない。大きな声で話しかけられただけで萎縮しちゃうし、何より男の人に対して苦手意識があるという事が街を歩いていてよーく分かった。


 男の人ってお兄様以外、本当にろくなのが居ないなとずっと思ってきたけど、これは私の方にも問題がありそうな気がするね。


 理想にして至高の男性であるお兄様と比べてしまったらどんな男でも劣っているように見えて当然だという大前提を私はきちんと理解していなかったように思う。

 これからは普通の男性の基準としてお父様を参考にするくらいでちょうどいいのかもしれない。


 ……でもお父様も、私には結構甘いよね。


 そうなると、知り合いの男の人で、私に特別甘くないもない普通っぽい人となると……うーん、ウォルフとか?


 そう考えると、ウォルフに対してたまーに感じていた嫌悪感にも似た感情は、ある程度付き合いのある男の人全てに感じる感情なのかもしれないと思った。


「……てゆーか、見つからないっ!」


 そんなことを考えながら森の上空から目的の洞窟を探していたんだけど……これ上からじゃ無理だ。たぶん木に隠れて見えない。


 空からの発見を即座に諦めると、私は大人しく地に降りたって別の方法で探すことを決めた。


「えーと、どうしようかな。とりあえず魔力を広げて、地下に流れる場所を探して……」


 呟きながら薄く伸ばした魔力を地に沿って広げる。

 距離も不明な全方位ともなれば中々に大変な作業だ。


「おお、あった」


 あったけど、確かに洞窟っぽいのあったけど、どれだ……?


 私の感覚には現在二つの洞窟が引っかかっていた。あ、三つ目発見。この分だとまだ増えるな。


 アネットから聞いていた通りだとすれば、この辺りの洞窟ならどこからでも見つかる可能性はある。ただリンゼちゃんの話では光の届かない奥深くで得た方が品質が良くなるそうなので、見つけた中で一番奥が深くまで続いていそうな洞窟を探索することにした。


 垂れ流していた魔力を適度に回収し、隠蔽魔法がかかった状態のまま低空をスイスイ飛んで行く。


 ……これ楽なのはいいけど、朝走ってる風景と一部が被ってるせいか、飛んでるとズルしてる気分になるね。


 筋力を衰えさせない為にも走った方がいいかとちらりと思ったけれど、すぐに考え直した。


 もし走るとするじゃん? 足音するじゃん?

 そのせいで人に見つかったら撒かないといけなくなるし、獣や魔物に見つかったら倒さなくちゃいけなくなって、倒したなら素材や魔石を回収したくなるのは当然の流れだし、そんなことするんだったらせっかくの遠出なんだからもっと大量に効率良く狩りをしたくなるのも当たり前っていうかもっと自由にできるお金が欲しいというかなんというか。


 街近くの魔物を倒して魔石を得るのは騎士団の仕事だから私が横取りしちゃいけないって分かってはいるんだけど、貴族の子供が誰にも怪しまれずに容易に換金出来るのって正直クズ魔石くらいしかないんだよね。お母様がマジ策士すぎてつらい。


 ともかく、今日の目的は鍛錬でもお金稼ぎでもなく素材採集なので、余所見はせずにこのまま行くことにした。


 木々の隙間をスーイスイと進んでゆけば、やがて目的の洞窟が見えてくる。中には光が届かない事が容易に想像できたので、暗闇でも見えるように視力を強化してから突入した。


 ……うーむ、ちょっと意外。

 洞窟って暗くてジメジメしてるイメージあって、それが不快感の元だと思ってたんだけど。明るく見えるようにして快適な状態を保つようにしてても、なんか怖いわ。オバケとかでそう。


 天井と壁に囲われていて出口からも遠く、奥へと続く道はどこまでも続いている……みたいな雰囲気が潜在的な恐怖心を煽るのだろうか。

 よく分かんないけど、とりあえずこの洞窟がそこそこ広そうということだけはよーく理解出来た。私がこれだけの魔力を垂れ流してるってのに最奥が全然見えてこないんだもん、嫌になっちゃうよね。


 すれ違う魔物や動物たちを観察しつつ、私は更に奥へ奥へと進んで行った。


行く先々で嫌でも目に入る魔物、魔物、魔物!!

全狩りできたらいくらになるのかと想像しながら手を出したくなるのを頑張って我慢しているみたいですよ。

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