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試験の難易度


 アイ・アム! ナンバーワーン!!!



 前回の試験と同様、ちゃんと満点からは落としておいたというのに、私の成績は特別クラスで一番となってしまった。


 誠に残念な結果である。ああ、なんと不幸な私!!


 でもこれは私の不手際じゃあないんだなぁ。


 なぜそう断定できるかって?

 それは私の成績、すなわち評価点の合計値が前回とほぼ同一だという事実が証明してくれている。


 そう、私の成績は以前と変わらないのに、突然順位だけが上がったのだ!


 つまりこの結果は、クラスの平均点が下がったせいだと断言できる。


 私が間違って上がったのではなく、みんなが何故か勝手に下がったのだ。


 リチャード先生はクラスの平均点を教えてくれたりはしない。教えてくれるのは順位のみ。


 なので一緒に勉強をした仲間たちを集めて、それぞれの総合評価点を聞いてみることにしたんだ。


 その結果がこちらになります!


「我は780である!」


「え、と……737点……」


「俺は586点」


「くっ、……俺は530だ」


「462点よ……」


 順に、ネムちゃん、カレンちゃん、カイル、ウォルフ、最後がミュラーの点数である。


 ちなみに私は839点。

 魔法学、魔法実践が満点と、他が全て90点から92点という好成績の優等生……というか、クラスで一番の成績。大変不本意ながら、そういうことになってしまった。


 試験は修辞学、歴史、算術、礼儀作法、魔法学の筆記科目五教科に、剣術実践、魔法実践、芸術実践、礼儀作法実践の四科目を合わせた計九科目。

 それぞれ100点が満点の為、総合評価の最高得点は900点ということになる。


 つまり……私の平均点は93点で、ミュラーの平均点は51点。


 ……私が、私たちが、あれほど献身的に協力して、時間を費やして、ミュラーの成績の向上に努めたというのに……ミュラーの平均点は51点。


 私の心に寂寞の風が吹いた。


 が、事はそう単純ではないようだ。


「ソフィアはやっぱりすごいのだ!」


「うん……。ソフィアは本当に、すごい……!」


「いや異常だろ」


「うん、すごいってよりは……」


「あんな内容の試験で、なんでそんな点数が取れるのよ……!?」


 みんなの成績を聞いた時点で感じていたある疑惑が、ミュラーの言葉で確定した瞬間だった。


 要はあれだ。

 なんか、試験の難易度が爆上げされてたっぽい。


 冷静に考えれば当たり前のことだよね。


 このクラスには剣術実践で確実に100点の評価になるだろう剣姫様と、魔法実践で上級生のクラスに混じって学ぶ異才が二人もいる。


 普通に優秀程度の者と、国内で五指に入るだろう剣姫様を同列に100点としない為には、試験の難易度を上げるしかない。


 クラスで最優の者を100点、その他の者を100点未満になるように調整するなら、前回は100点だった人でも今回は50点しか取れなかったなんてことも……まあそれは極端な話にしても、近いようなことが今回起こったってことだね。

 それなら平均点なんてガタ落ちして当然だ。


 つまり私の失敗は、目標設定を難易度ではなく点数を基準にした時点で確定していたとそういうことだね!


 疑問が晴れてあースッキリした! とはならないよね! そーゆーことは先に言って欲しいよね!!


 あーもー……ミスった。


 みんなの賛辞をなんとも言えない気分で受け取っていると、その態度を不審に思ったのかカイルからとんでもない因縁をつけられた。


「ソフィア、なんかズルしただろ」


「してないよ!!?」


 それは酷い言いがかりだ!!

 っていうか習った通りに答えるだけで満点取れるテストの難易度がどーとか、そんなの事前に言われてでもないと分かんないんだよっ!!


 学校側が平均点を調整するってのは前世でもあったりはしたけど、ネムちゃんやカレンちゃんまでもがこんなに落ちる調整するとか想像できるかぁ!! 特別クラスに所属してるミュラーが平均点51点とかこれもう大惨事じゃないの!? どうなの!!?


 なぜ私が一位になったのかは理解はしたけど、到底納得はできない。


 できないけど、一位を取っちゃった私が「なんで今回の試験はこんなに難しかったんですか!?」なんて文句を言うことはもっとできないのもよーく分かる。どう考えても、完全に煽り文句になっちゃいますよね。


 なので今の私に出来ることはただひとつ。


「もう試験の事は忘れてパーッと遊ぼう」


 過ぎたことは、忘れましょう!!


 そう思っての発言だったのに、またまたカイルが邪魔してきた。


「いや今日のうちに復習した方がいいんじゃねーの? 間違えたとこ確かめとけって言ったのお前じゃんか」


 ……人にはズルだとか言っておきながら、自分だけ真面目アピールとかなんだコイツ。


 しかもカイルの言ったことにみんなが追従するもんだから、遊びの話は流れちゃうし。


 みんながいいなら、復習はそりゃ、いい事なんだけど……。


 カイルに正論で諭されたのがなんだかモヤモヤする。


 …………むぅ!


 後で人をズルっこ扱いしたの、ちゃんと謝ってよね!!


……試験に関する、とある噂がある。

特別クラスの試験が超難問へと変貌した理由は、ある学生が入学時試験の時に教師陣を挑発したからだというものだ。

その学生は教師にだけ分かるように、難問を数秒で解き、簡単な問題だけをわざと間違えて答えるらしい。


真偽も出処も定かではない、ただの噂である……。

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