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バレバレ秘め事


 リンゼちゃんは口がとーっても軽い。聞かれたらなんでも喋っちゃう。


 だからお母様との会話の内容も簡単に教えてくれた。


 そのリンゼちゃん曰く。


「ソフィアの様子を聞かれたのよ」


 との事。


 いまいち要領を得なかったので詳しく聞けば、私が普段はどんな様子で過ごしているのか、何を考えて過ごしているのかを聞かれたらしい。


 なのでリンゼちゃんは聞かれるままに答えたそうだ。


 リンゼちゃんが知っている事を、全部。全て。包み隠さず。


 目眩がしたわ。



 ……いや、それ以前にさあ。


「なんでリンゼちゃん、私が夜中にシてること知ってんの?」


 リンゼちゃん私の事知りすぎでしょ。


 てかそれ知ってたとして、普通親に言う?


 娘のそんな話、聞かされた方だって困るでしょうよ……。


「それは、以前部屋から声が漏れていたのを聞いて……」


「ないね」


 はいそれダウトー! 嘘だー! 部屋でする時は防音の魔法かけてるから音は漏れませーんー!!

 実は私が一人でするのを狙って覗いてたんでしょう! お母様は騙せても私の事は騙せないよ!!


 リンゼちゃんのえっち! おませちゃんめ! 覗き見とか趣味が悪いよっ!


 と鬼の首を取ったようにリンゼちゃんの隠れた趣味を暴いた気になっていると、予想に反してキョトンとした顔をしたリンゼちゃんの口から、信じ難い事実が知らせられた。


「……何を言っているの? アナタの声、部屋の外まで響いていたわよ?」


 ……リンゼチャンハ、ナニヲ、イッテイルノカナ。


 ……部屋の外まで、響く?

 ああ、そうね。みんなが寝静まった夜中だもんね。声は良く響くよね。

 そもそも私、防音の魔法があるからって、声とか抑えて、なかった、し……、…………。


 え、マジで? え? なんで聞こえてんの? え、いつから!!?


 …………まさかとは思うけど、あの、こう、盛り上がっちゃって頭真っ白になっちゃってる時とかにその、防音の魔法が、切れてたりした感じですかね……?

 だ、だとしたら、二回目以降のとか、その、今日は思いっきり声出してみようみたいな事やってた時とかも、あの……、……………………。


 鬱だ死のう。


 全身から力が抜け、ベッドの上で崩れ落ちた私は、死体のように脱力した。


 身体中の骨が溶けたようにふにゃふにゃで、もう起き上がれる気がしない。その意思すら湧いてこない。


 うっっっそでしょ……?

 あれが、全部、筒抜け……。今までのも、全部、部屋の外に、なん、て……。


 絶望に打ちひしがれる私の姿を見て、普段から無遠慮な言葉を投げかけてくるリンゼちゃんも流石に言葉を選んでいる気配を感じた。


 はは、笑ってよ……。この愚かで恥ずかしい女をさ……。


「……もしかして、そういう趣味という訳ではなかったの?」


「ちがわい!!!」


 そんな訳ないでしょーがっ!!!


 リンゼちゃんってば私の事どんな目で見てんの!!?

 そりゃ性欲は人より強いかもしれないけど、こちとらノーマルな純情乙女なんだよっ!!


 あまりの言い草に思わず本気でツッコミを入れてしまったが、その勢いも長続きはしなかった。


 ……そりゃ、私が魔法の制御ミスったのが悪いんだけどさぁ。


 でもできれば気付いた時にすぐ忠告して欲しかったよなぁ……。


 うああ……マジでへこむ……。


 ……ぐんにゃり。


「そういう趣味でないのなら、声はもう少し抑えた方がいいわよ」


 そーねー。言われなくても分かってますよー。


 というかそんなの聞いちゃったらもうしばらくやる気しないし。

 今晩もお兄様の匂いとか感触とか思い出しながらたっぷり(たの)しむつもりだったけど、なんかそーゆー気分じゃなくなっちゃったもん。


 はー、辛いわぁ……。


 ぐだぐだといじけるだけの生物となった私は、我ながら鬱陶しい溜息を吐きながら思考を停止。

 もう何も考えたくもないので、いっそこのまま寝てしまおうと思い立ち、もそもそとベッドに潜り込む事にしたのだった。


 その様子を見ていたリンゼちゃん。


 驚いたように言いました。


「……今からするの? わざわざ言う必要も無いと思ったから言わなかったのだけど、他人が部屋にいる時にするものでは無いと思うわよ?」


 するわけないだろ。


 リンゼちゃんって私の事どんだけ変態だと思ってるんだ。この流れでするわけないでしょ。


 大体普段してる時だってフェルたちが寝たのを確認してから――と、そこまで考えて、気が付いてしまった。


 ……防音が効いてなかったなら、フェルたちが起きてた事もあったんじゃないか?



 ――秘め事は、秘めてやるから秘め事なんだよ?


 ――それが実は、声は外に漏れまくりで、ペットには気付かない振りをしてもらいながらやってただなんて、そんな事、はは、そ、そんな、事……。


 私の頭は、今度こそ真っ白になった。


自らの変態性を否定したソフィアですが、彼女はきっとロランドがやれと言えば犬の真似でも喜んでやります。彼女はそういう人です。間違いない。

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