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次のドキドキ入りまぁーす!


 愛。


 それは尊き感情。


 世界中の人々の誰もが愛し合う誰かを見つけられたなら、この世から不幸なんてモノは駆逐されるのだろう。


 愛には、それだけの力がある。



 愛。


 それは、家族の絆をも超える、魂の(しるべ)


 迷える魂の安息地である。



◇◇◇◇◇



「――つまり?」


「お兄様が相変わらず最高だったってことですよ!!!」


 余所事をしながらも律儀に相槌を打ってくれるリンゼちゃんに、私はありったけのお兄様愛を語っていた。


 ああ、お兄様。

 お兄様ってばどうしてあんなに素敵なんだろうか。魅力的なんだろうか。


 今までだって端正な顔立ちの子ばかりがひしめく学院においてさえ隔絶した存在感を放っていたのに、最近ますます頼り甲斐とか男らしさに磨きがかかっちゃって、もう、もうっ辛抱たまらんっっ!! ってなもんですよ。

 いい加減無差別に魅力を振り撒くのを気を付けていただかないと、そろそろ男の人にすら襲われるんじゃないかと妹としても心配になるね。


 それにそれに、お兄様がいつだってさいきょーに素敵なのはもはや宇宙の真理ともいうべき絶対不変の真実だけど、今日のお兄様はまたいつもとはひと味もふた味も違ったね! 新しい魅力発見だったね!!

 いつもはふわっと優しく受け止めてくれる感じなんだけど、今日のはなんだか、こう……、……優しさ成分がいつもの五割増くらいだったね! 優しさに埋もれて常にお兄様の愛に包まれてる感じだったね!! 更には色っぽさも当社比アップしてて、正にお兄様の本気の甘やかしの片鱗を見た!! って感じでさすおに(流石はお兄様)でした!!!


 今日はもうこれ、興奮し過ぎてて眠れるかもわからんね。


 今でもちょっと思い出しただけで身悶えする程に熱いお兄様の愛情が私の身体の中で燻り続けてて、もうこれって実は想像妊娠でもしたんじゃないかってやぁだーもー恥ずかしーいー!!


 ほんっともう、身体があっついのなんのって!


「はあ……お兄様」


 いつまでも冷めやらない熱量を吐息に乗せて吐き出してみても、動悸は一向に収まる気配を見せず。


 自分がこんなにもお兄様ラァヴ!! な事を改めて感じて、とても嬉しく思った。


「可愛がってもらえて良かったわね」


 そして狙いすましたかのようなタイミングで放たれるリンゼちゃんの絶妙な合ーいーのー手ー!!


 そう、私たちは相思相愛!


 あんなに素敵なお兄様からの愛を惜しみなく注がれ、ソフィアちゃんはもう幸福の絶頂なのです。枕だって抱きしめちゃうし、足だってパタパタしちゃうのです。パタパター。


「……そういえばっ、今日はヨルがいないね!?」


 恥ずかしさのあまり話だって逸らしちゃったりなんかしちゃったりして。


 私とお兄様が相思相愛なのは純然たる事実なんだけど、こんなにドキドキしたままじゃあ寝不足になっちゃうー! 嬉しいけど困るぅー!


「ああ、彼女ならあなたが帰ってくる前に帰ったわよ」


 あ、ちょっと冷静になった。

 興奮のあまり縦横無尽に跳ね回っていた私の心が一瞬でスンッてなった。


 え、私がいない時にはいたの? ヨルが? 私の部屋に? なんで??


 あの女神様ほんと行動が読めない。

 話を振ったのは私だけどさ、もうちょっとこう普通のさ、例えば「そう毎日来るわけないじゃない」的なのを少しばかり期待していたというか……つかホント、なんで毎日来るんだあの女神。


 まあ、もうヨルが私の部屋に出没するのは諦めたけどね。


「……二人で何かしてたの?」


 でもそれはそれ。これはこれ。

 いつもとパターンが変わったとなれば気になるのは当然、私がいない部屋で一体何が行われていたのかって話になる訳で。


 私がいる時はいつもあれこれお喋りしてるだけで大したことはしてないけど……ん? あれ、ひょっとしてヨルって、もしかして私に会いに来てるんじゃなくて、リンゼちゃんに会いに来てる? 思い返してみれば、いつも私が帰った時には二人でなんだかリラックスしてるし……?


 ……もしかして私って、空気読めてなかった?


 ……い、いやいや。そもそも私の部屋で私が空気読むのおかしいでしょ……とたった今思い至った可能性の一つでしかない話に勝手にそわそわしていると、リンゼちゃんがまたもや爆弾発言をしてくれました。


「二人でというか……アイリス様と三人で話をしていたわ」


 なんだその恐ろしい組み合わせ。


 え? どういう状況? なにがどうなればお母様とヨルが話し合う事になるわけ??


 それにリンゼちゃんも、って……まさか、私の話か? お母様が訊いて、リンゼちゃんがバラして、ヨルが煽る的な? やばい、悪寒がしてきた。


「その話、詳しく教えて?」


 リンゼちゃん口が軽いから……って、ん? でも叱られるなら帰った時に叱られてるハズ……。なら何の話だ?


 そもそもお母様ってリンゼちゃん苦手そうだったのに、どういう心境の変化だろうか。



 すっかりお兄様フィーバーから覚めた私は、今度は嬉しくないドキドキを感じながら、リンゼちゃんの話に耳を傾けるのだった。


眠りから覚めても兄愛フィーバー継続中。

ソフィア曰く「愛が溢れて止まらない」らしいですよ。


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