表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/1407

魔法陣の中心で魔法を唱えよう


 いつのまにか癒し系フェレッターズと戯れていたヘレナさん。


 実は私の年齢を低く見誤っていたそうだ。


 成長が遅くってごめんね!!


 普段はそんなに気にならないのに、申し訳なさそうに言われると地味に傷つくこの現象って名前あるのかな。


 いや、大丈夫だ。お母様はナイスバディだしお姉様だって美人だし。胸は……そこそこだけど。


 私はちょっと大器晩成なだけ。

 むしろ思春期に色目で見られないというメリットがある。何も問題ない。


 よし。


 いい加減実験しよ?



「この魔法陣の上で魔法を使うと、魔力の流れが見えるようになるの。いつもと同じように魔法を使ってみて」


 研究室から重そうに運んでいたモノの正体は魔法陣の描かれた敷物でした。


 魔法陣って、生贄の血とか金属の粉とかで地面に直接書くイメージがあったけど、こんな方法でいいんだね。


 確かに魔法陣の面倒そうな模様を覚えて一々手書きするより、陣の描かれた敷物とかを持ち運ぶ方が楽だし使い回しもできるし合理的だよね。


 魔法の使い方に慣れてきてなんとなく魔法の流れとか、法則みたいのが分かってきた今、魔法陣の仕組みなんて魔法以上に謎だけど。


「この中心に立てばいいんですか?」

「そうよ。頑張ってね!」


 ヘレナさんって純朴っていうか、全く擦れてないよね。

 なんでこんないい人に恋人がいないんだろう。男共は見る目がないね。


 さて、応援されてしまったし、頑張りますか!


「頑張らないでいいですからね」


 ムンと気合を入れていたらお母様に気勢を削がれてしまった。


 ううむ、言いたいことは分かるけど。

 調子にのりそうだったことは否めないけど、使おうとしてたのはただの風魔法だし、ここは魔法を使うことを想定して作られた体育館だし問題ないと思うんだけどなぁ。


 この思考がフラグには……まぁ、ならないよね。


「偉大なる風の精霊よ。その御力を持ちて、大空にそよぐ風をここに!《風よ来たれ!》」


 ちゃんと今日の為に初級魔法の練習したもんねー。五分くらい。


 いやあ、詠唱付きの魔法なんて久々だけど、やっぱり人前で詠唱って恥ずかしいね!?

 しかもなんか、足元から光が立ち上ってくるし! これが魔力の可視化ってやつ? 中二(りょく)高すぎぃ!


『アナタが中二病の患者ですね。では進行度を測りたいので一番好きな呪文を唱えてください。演出も付けますので思いっきりどうぞ』って病院で言われてる気分! そんな病院絶対行かないけど!

 人が呪文唱えてるのを見てるだけでも恥ずかしいのに、母親と! その友人に! 見られながらの呪文詠唱って、それどんな罰ゲーム!? って叫びたいくらいの羞恥プレイだよ!


「ソフィア、止めなさい。止めなさい!」


 お母様の声で我に返った。慌てて魔法を止める。


 ……もしかして、やっちゃった?


「ソフィアちゃん……って、本当に、凄いのね」


 ヘレナさんがちょっと引いてる気がする。


 いやっ、でも、壁が壊れてるとか、誰かが吹き飛んだとかないし! 大丈夫! ……なはず。


「だから頑張らないでいいと言ったのに……」


 お母様には呆れられてしまった。


 ぐうの音も出ない。


 だけど、私にだって言い分はある。

 確かに我を忘れたのは悪かったけど、ひとつだけ言い訳をさせて欲しい。


 演出効果ってすっごく気分アガる。SEがあったらヤバかったかもしれない。


〜今日の単語説明〜

「癒し系フェレッターズ」……ソフィアのペット、フェルとエッテによる鳴いて踊れるアイドルユニットの通称のひとつ。寂しい人を感知すると寄り添い慰める。


「中二力」……中二病という不治の病の罹患者が喜ぶ言動・現象を示す値。この値が高いほど現実に還った時のダメージが増す。


「SE」……効果音・音響効果の意。ミトの御老公様や日曜朝のヒロインたちが活躍する時に流れて気分を最高に盛り上げてくれるアレ。お約束の時に流れないと不完全燃焼感が漂う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ