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カイルが悪くなくてもカイルが悪い


 クラスに妙な話が出回っていると聞いて、すぐにピン! ときたよね。


 ふーん。へえー。ほほーう。

 どーおせまたカイルが何かしたんでしょお〜? ってね。


 で、話の出処を探ってみた結果。


 発信源はカイルではありませんでした。真犯人はカレンちゃんでした。


 まあカレンちゃんなら仕方ないかな!!!


「俺の時と対応が違いすぎねぇ?」


 面倒事を引き起こした犯人と真っ先に疑われたカイルが何か言っているけど、こーゆーのは普段の行いが大事だからね。文句を言う前に自らの行動を悔い改めるのがいいと思うよ。


 それにね。


「なんだか大事になっちゃってて……。ごめんね、ソフィア」


 見なさい、カレンちゃんのこの殊勝な態度を。微かに垣間見える(おび)えが醸し出す、このアブナイ雰囲気を。


 例えこれが、どーせまたカイルの仕業だろうと決めつけて犯人探しを始めた私がちょっぴり怖かったからとかそんな理由で怯えられているのだとしても、これはこれでありなのではないかと思わされちゃう倒錯的な魅力溢れる姿を。


 カレンちゃんは怯えるといじめを誘発するフェロモンでも放出してるんじゃないかと思うね。


「いいんだよ」


 許そう。私はカレンちゃんの全てを許すよ。


 そのかよわく(はかな)げな雰囲気に釣られふらっと寄ってきた男どもを、容易くメキャッとできちゃう握力も。


 自信なさげにおどおどしてるのに、思った事は意外とはっきりズバズバ言っちゃうその容赦の欠けらも無い素直さも。


 私はカレンちゃんの全てを受け入れるよ。


「私こそ、犯人を突き止めるような事をしちゃってごめんね」


 いいかい、カイル。


 これは対応が人によって違うだとか、えこひいきだとか、理不尽だとかいった話では断じてない。そんな簡単な話じゃないんだ。


 これは、ただ一つの真理(心理)によって導かれる、当然の結末。必然への帰結。


 かわいいは正義。


 カイル……。かわいいは正義なんだよ!!!


「俺を犯人扱いした事への謝罪はねーの?」


「カイルは普段から疑われるような事してるのが悪い」


 カレンちゃんのかわいさを堪能するついでに未だぶーたれてるカイルにはぴしゃりと現実を突きつけておく。


 カイルは顔は割とかわいいのに、態度が全然かわいくないよね。あと空気の読めなさとかが致命的。


 私にかわいい認定されたかったらまずは謙虚さを覚えると良いと思うよ。


 お兄様だったらまずしないような不満げな顔を隠そうともしないカイルを見て、本当に惜しいと思う。


 ……本当に、態度さえまともだったら……いやでも、生意気さもカイルのウリかな……?


 カイルはお兄様に少し似た雰囲気の、穏やかで優しそうな顔の造りをしている。


 まあ、草食系のかわいい男子って感じだ。黙ってさえいれば、という条件は付くが。


 普通この顔だったら、料理上手で女の子には優しいとかが鉄板だと思うのだけど、でもそんな顔をしたカイルが割と粗暴でオラオラ系なのも、それはそれでありというか……まあうん。


 あっ! でも女装は正直ありだと思う!!

 女装してくれたら私の評価がぐーんとアップする、絶対する!! どうかな!? 興味あったらいつでも……いやむしろ、興味を持たせるように積極的に動くべきかな? 動いちゃうべきかな!?


 カイルに似合う女装……中性的な見た目を活かしてボーイッシュに仕上げてもいいけど、いっそがっつりガーリーで攻めたみるのも……? とか考えてたら、カイルとの話がひと段落したと見たのか、大人しく待っていてくれた子が私の手の甲をこしょこしょしてきた。

 やめてぇゾワゾワしちゃうぅ。


「それでー? 結局ソフィア理論って嘘なの? やっぱり地道に毎日勉強するしかないのかなあ?」


 私の手を弄びつつ、言葉とは裏腹にとても期待してそうな目を向けてくる彼女……と、その他クラスメイトが複数人。みんな勉強苦手なのね。


 さて、どうしたものか。


 期待されたなら応えたいけど、ミュラーみたいに付きっきりで見るのは私の負担が大きすぎてできない。というかミュラーレベルの勉強嫌いじゃなければ付きっきりになる必要も無いか。


 みんなの言うソフィア理論というのがなにかは知らないけど、勉強の苦手な人達が、勉強の得意な人達と何が違うのかはそれなりに知っているつもりだ。


 前世でも勉強嫌いの相手は良くしてたからね。


「もちろん毎日勉強するのが一番大切だけど、勉強したことを効率良く覚えておくコツなら色々とあるよ?」


 そしてこーゆー発言に対する反応は、どこの世界でも変わらない。


「「「あるの!!?」」」


 ありますとも。言葉の前半を聞き流されるから、あんまり進んでは言わないけどね?


 さて、聴衆のボルテージは最高潮。ミュラーも聞いてるから手間も半減。


 それでは始めましょうか。


 ソフィアちゃんが語る「勉強のコツ」。はじまりはじまり〜。


カレンちゃんの悪口?いいえ違います。

あれはチャームポイントと言うのです。

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